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櫻坂46 7th Single『承認欲求』フォーメーションの考察、または小池美波の反撃に向けて

一触即発のセンターライン

小池美波が三列目に後退してしまった。
とはいえ、7th Single『承認欲求』のフォーメーションは概ね順当なものだ。
森田ひかるは櫻坂の“基準”センターである。『Nobody's fault』『BAN』は櫻坂の最初期を形成した楽曲であり、今なおライブでの軸となっている。今回、初めて三期生をミックスした選抜制として、森田をセンターをするのはいろんな意味で順当だろう。
今回のフォーメーションは、久しぶりに森田の後ろに小池が立つ。センターライン全体で見ると、次期センター候補の三期生谷口・山下のバチバチを抑えつける森田を先頭に、櫻坂の二大猛獣小林・藤吉、三期生トップの座を狙う中嶋・村井の背中を押す形で小池がフルバックを務める。
乃木坂だったら普通に谷口・山下のダブルセンターにしていたのかもしれない。谷口・山下は実際にバチバチしてるわけではないと思うが、必然的に比較と批評の目にさらされる。そこに、もう一つの比較対象の森田を置いて、どのように化学反応を起こすかが見どころとなる。続く小林・藤吉は、たぶんもうポジションはどこでもいい。どころか油断するとフロントを喰いにかかってくる猛獣コンビだ。
そして、三列目。谷口・山下の背後を狙うように、中嶋・村井が配置される。こうして見ると成長著しい三期生の中でも後列二人は競争心が特に高い二人なんだろうと思う(遠藤の負けず嫌いはまた別の性向だ)。三期生は横のラインも縦のラインも緊張感があふれる。
森田・小池というと、ラジオ等で一緒に呼ばれるなど、結構セットにされている印象がある。さくみみか何かでライブ前には握手するというほんわかルーティーンがあることも語られていたが、森田にとっては、小林とは違う意味で、背中を預けられる信頼できる先輩&メンバーという思いがあるかもしない。森田が“基準”センターならば、小池は“基準”裏センターである。今回のフォーメーションは、森田・小池で全メンバーを挟む『BAN』の間奏の体勢でメンバー一体となるユニゾンの瞬間である。

循環する桜を体現する

最初のショックは『流れ弾』だった。1st〜4thまではエイト落ちすると、MV参加数が激減することが何より辛い。ただし、櫻坂においては最初のフォーメーションの順位と、振り付け、MV、ライブでのパフォーマンスとカメラワークが一致しないことがままある(他グループもそうなのだろうか?)。『流れ弾』はフロントの田村と森田・山﨑の次に重要なのは、エイトよりも三列目の小池・藤吉で、特に本作から髪をさらに明るくした小池はMVにハマりまくって、とにかく目を惹いた。

『流れ弾』

ライブでもBACKSメンバーのほうが表に出ていて、3rd楽曲群は1st・2ndと明確な対比を見せており、1st・2ndのフロントメンバーに一息つかせるために用意されたのかと思ってしまう。『美しきNervous』も割とBACKSメンバーがフィーチャーされる振り付けだと思う(そのためか、人気ある曲だと思うのに、ライブではあんまり演らないし、オリジナル振付でもない)。3rd表題のフォーメーションは、ミーグリ等の人気順でいけばそれなりに順当な選抜なのに、なんかモヤモヤする構成だった。
小池が初めての正規センターを務めた『ソニア』を聴くと、彼女にセンターを与えるために敢えてエイトから外したのかと思う。『ソニア』はもともと良曲だと思うが、彼女によってさらに高みに引き上げられる。欅坂9th選抜に落ちたときにも、当初のフォーメーションは不明だが、小池センター曲として再構成された『コンセントレーション』も言わずもがな。選抜落ちから櫻坂1stではエイトメンバーへ。小池美波は一度落ちることで、さらに高く這い上がってくる。散って、また咲き誇る桜のように。
そして、3rd Single BACKS LIVE!!の座長として、藤吉とともにメンバーを牽引する。小池版『流れ弾』は、大沼とともにオリジナルを喰う怪演ぶりで、それが3rd TOURでのセンターリレー版につながった。スペシャルBANが強烈すぎて、あんまり話題になってないと思うが、大沼→小池→田村とセンターをリレーさせる画期的な演出があって、メンバーの自由度が演出の幅を大きく広げてくれるというBACKS LIVE!!の可能性を見せてくれるものだった。

『五月雨よ』の変化をもたらしたもの

4thで再びエイトメンバーとなるが『五月雨よ』MVでは、小池はほぼ背景の一人だった。楽曲世界とマッチしない部分もあったのだろうか、土生・大園の方が目に留まる構成になっている。ライブパフォーマンスはJAPAN JAMが初披露で、続いて渡邉理佐卒業コンサートを経て、オリジナルメンバーが一人変更となる。そして、コロナ罹患でいったん中止となるものの、W-KEYAKI FES. 2022が開催となった。2日目は尾関・原田の卒業セレモニーがあったが、前半のハイライトは『五月雨よ』だ。私は初日のみ現地で、2日目は配信だったのだがモニタを通して、小池のフィーチャーぶりにびっくりしてしまったのだった。1番のサビをはじめ、2番頭の小池・藤吉・守屋で並ぶところも小池だけが抜かれるなど、小池のパフォーマンスがこの曲を体現しているかのようだった。後日、『桜月』収録の特典映像を見ると、メンバー全員がノっていて、特に小池・藤吉が突出していたことが窺える。

W-KEYAKI FES. 2022『五月雨よ』
W-KEYAKI FES. 2022『五月雨よ』

『五月雨よ』は今後、センター山﨑の成長にあわせて、さらに変化していくと思うが、変化のきっかけは、藤吉・小池によるものである。その意味では、グループに変化をもたらす者として、前作『Start over!』の藤吉のように、小池もまたウェーブを起こす者である。7thシングル『承認欲求』のフォーメーション、MV、ライブパフォーマンスにおいて、小池が果たす役割に期待したい。
土生、潮の卒業が彼女に与える影響は計り知れないが、小池にとって、皮肉なことながらそれすら飛躍の糧にしてしまう強さがあると思うし、そう信じている。

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