[教皇フランシスコ] ケリュグマの社会的影響

ケリュグマ、すなわち福音の最初の告知は、それを伝え受け取る、個人の次元のみではなく、社会的次元もまた、十分考慮される必要がある。

教皇フランシスコの使徒的勧告『福音の喜び』から、ケリュグマの共同体的・社会的影響について学んでゆきたい。

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ケリュグマは必然的に社会的な内容を含みます。共同生活も他者とのかかわりも、福音の神髄に属します。最初の告知の内容は直ちに道徳的影響をもたらしますが、その中心にあるのは愛です。

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救いをもたらす告知の受容と、実際的な兄弟愛との分かちがたいこの結びつきは、聖書のいくつかの箇所に表されています。・・・

「わたしの兄弟であるこのもっとも小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」(マタイ25:40)

「あなたがたは、自分の量るはかりで量り与えられる」(マタイ7:2)

「あなたがたの父があわれみ深いように、あなたがたもあわれみ深い者となりなさい。人を裁くな。そうすれば、あなたがたも裁かれることがない。人を罪人だと決めるな。そうすれば、あなたがたも罪人だと決められることがない。ゆるしなさい。そうすれば、あなたがたもゆるされる。与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられる。・・・あなたがたは自分の量るはかりで量り返されるからである」(ルカ6:36-38)。

これらの福音書の箇所が述べているのは、「自己から出て兄弟姉妹に向かうこと」が絶対的に優先であるということです。これはあらゆる道徳規範を根拠づける主たる二つのおきての一つであり、神からのまったく無償の恵みにこたえて霊的に成長する道での識別の、とても明確なしるしです。

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福音の提言は神との個人的な関係だけで成り立つものではないということも、聖書を読めば明らかです。・・・神の国を求めましょう。

「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる」(マタイ6・33)。

イエスの計画は御父の国を建てることでした。彼は弟子たちに命じています。

「行って、『天の国は近づいた』とのべ伝えなさい」(マタイ10・7)。

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神の国はわたしたちに先だつもので、わたしたちの間に広がってすべてに及び、わたしたちに識別の原則を思い出させます。その原則とは、パウロ六世が真の開発との関連で提示したもの、すなわち「個人としての人間全体、および人類全体」のためということです。・・・イエスの愛の命令は、存在のすべての側面、すべての人、社会生活のすべての分野、すべての民族に及びます。人間的なもので、その対象になっていないものはありません。

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教皇フランシスコ 使徒的勧告『福音のよろこび』カトリック中央協議会  P.145-160

ケリュグマは個人の心の内奥だけでなく、社会、そして全存在に響き渡り、包み込み、充満してゆく、喜びの告知。そのようなものとして理解が深められるよう、少しづつでも祈りと実践、相伴(あいともな)ったものにしてゆきたい。

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