HUMANLOST 人間失格 感想

11月29日公開の、[HUMANLOST 人間失格]について観賞してきたので、その感想を書いておこうかなと思いnoteを開いております。備忘録に近いかな。ネタバレも発生するかと思いますので嫌なヒトはバックでお願い致します。


まずは簡単にあらすじ。舞台は近未来の日本。遺伝子工学、ナノマシン医学、ビッグデータ解析、再生医療の四分野の目覚ましい進歩によって日本の寿命は120歳を越え、超健康社会が誕生していた。人々は1日19時間仕事し、健康が阻害されれば直ちに上記医療が施され健康に戻される。下半身が吹っ飛んでも数日たてば元通り。健康の代わりに死を奪われた社会。120歳を迎えた時、ヒトは初めて[人間合格式]というセレモニーで祝福される。そんな世界。

主人公のユウゾウは孤児であり、絵を書いては薬を過剰摂取し仮死状態に陥り、そこを治される日々を送っていた。そんなとき、ユウゾウは堀木という男に出会う。堀木の持つ薬は、健康を維持するネットワークから離れることが可能な薬で、これを飲むことにより人はlost体と呼ばれる怪物に変貌する。しかしそれはネットワークの庇護下に居なければヒトの姿を保てない現状において真の姿と呼べるもので、そして死ぬことが出来る状態だ。

一方政府側は健康寿命のさらなる推進をはかり、そのために堀木を追う。政府職員柊美子は主人公ユウゾウを保護する。堀木、美子、ユウゾウはそれぞれ人類の未来を示唆するアプリカントと呼ばれる存在であり、特別な能力を持っている。また、その三人が持つ社会の未来を示した文明曲線と呼ばれるビジョンを巡り、堀木と美子は共に自分の見る世界こそがあるべき未来だと述べ、ユウゾウを誘う。

とまぁこんな感じのあらすじです。舞台はハーモニーの世界観に近いものの、今の日本に寄せている形なのかなと。そんななか、話の中心は堀木、美子、ユウゾウの3人とそれぞれの持つ未来へのビジョンをどう捉えるかという話に収束します。いいですね、セカイ系ですね(雑決めつけ)。

堀木は既に人類は医療によって本来の姿を保てなくなっているとし、一度文明を崩壊させて人類の歴史を1から始めようとする。

美子は今は過渡期であり、人類の文明はlost化を克服してさらなる繁栄を手にするというビジョンのために奔走する。

その間で揺れるユウゾウという構成です。進みすぎた文明に対し人がどう選択肢を選ぶのかというテーマはアニゴジに近いのですが、そこに焦点を当てて神とかは出さなかったことと美子自体の暗い感情にも言及したことは違うのかなと。かなり散らかったアニゴジとは違いしっかりと話を2時間弱の中で完成させてます。

そしてユウゾウがとった選択。ネタバレになるのですが、ユウゾウが取った選択は堀木の滅亡する未来を否定し、美子の未来を選択しつつも美子は喪われます。その時ユウゾウは美子と供に死のうとするが、ユウゾウは生き残ってしまう。まさに人間失格です。結果美子は死に、支配層である老人も供物にした美子に拒否され亡くなり、美子自身はlost化の顕現として世界に残る。文明のビジョンは不明瞭となり、残された人間は現状を維持することしかできない。

それでも、ユウゾウはlost化した美子を狩り続ける。対症療法的に世界を良くしていくという選択肢を取ります。

堀木のビジョンは悲観論であり革命のビジョンです。また美子のビジョンは進歩主義であり、理想主義なのかなと。よく日本の社会でもこのような対立はよく見掛けます。政権批判、原発批判に対しての日本礼讃、保守主義。キレイな対立ではありませんが、どちらも一つの幻想を追っているのは一緒です。それが未来にあるか過去にあるかの違いでしかない。

ユウゾウの選択は世界に絶望もせず、遠く理想を見ながらも一度挫折しつつも、粛々と目の前の問題を解決していくというものです。映画としての爽快感はなく、正直消化不足になる人もいるかと思います。しかし、選択としてこれほど誠実なのはないのかなと。目の前の問題を解決していくしかない。一つ一つ処理していく。この泥臭さが冲方さんの答えなのかなーと感じました。そこを踏まえての恥の多い人生を歩んできましたという台詞、どんな風に皆様の目には映るでしょうか。

映像演出に関しては言うことないです。素晴らしいの一言。かっちょいい戦闘シーンは多いしメカもかっこいい。そういうのが好きな人はぜひ。



この一歩一歩人生を、社会をやっていくというのは押井守監督のスカイ・クロラとかにも通じているなーと思いだしたり。そんな感想を抱きました。と、こんなところで締めたいと思います。久しぶりに日記書いたらガバガバでひどいすね。最近本もぼちぼち読んでますのでその感想も書いていけたらなと。それでは、この辺で。


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