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"心"で語る株価下落

はじめに

相場を見てニヤニヤすることが最近の日課となっている経済系の院生です。専攻は会計で、普段は色んな会社の経理・決算申告・労務・M&A実行フェーズ~PMIをやったりしています。お仕事募集しています(乞食)。

さて、8/5(mon)の株価暴落が起こった理由を自分なりに考えてみたので、備忘録も兼ねて文字に起こしてみたいと思います。また、この記事ではマクロ経済・金融の話をちゃんとしません。心で語ります。理由は以下の通りです。
⑴理論やモデルの話は、一般的に面白くないとされている
⑵noteで数式入力する方法をよくわかっていない
⑶図表を作るのが面倒(何時間も記事を書きたくない)
⑷マクロや金融の専門家から指摘されるのが怖い
⑸心で語らねえと、何も始まらねえ
本編へレッツゴー!!

なんでこんなことに……理由は4つ!

⑴米国経済に対する妄信の崩壊

まずは「アメリカの景気の雲行きが怪しくなったので、日本の株価が下がった」という分かりづらい言説を、自分なりに丁寧に読み解いていきます。では開始!

少なくとも市場関係者の一定割合が「アメリカの景気はサイコーだぜ!だから金利は高いままでいいんだぜ!」と考えていたはずです。ぼくも数か月前まで似たようなことを考えていました。アメリカの景気が最高だと考えられる理由はたくさんあります。パッと思いつくだけでも、移民流入による人口増、保護主義政策により半導体や電池分野で投資増加、株高による家計の金融資産の増大など…… グレイト・アメリカですね。

しかし、米国経済に対する妄信は8/2の夜に崩壊することとなります。

サームルール関連のやや難しめの話は飛ばしましょう。ひとまずは「米国の失業率が思ったより悪かったら、景気悪くなるかも」ということを理解していればOKです。
今回の場合、予想以上に米国の失業率が高かったので「アメリカも景気後退入りだ~」という見方が強くなりました。そうなると、FRB(米連邦準備制度理事会)としては
⑴金利を下げる
⑵お金を借りやすくする
⑶投資促進
⑷好景気
といったシナリオを望み、大統領選を待たず、利下げを目論む可能性があります(これ以外のシナリオも無数に存在しますが、ひとまず無視)。
FRBが金利を下げるとなると、次は投資家たちが次のようなシナリオを想像します。
⑴米金利下げ
⑵金利下がれば、当然米ドルを有することの旨味低減
⑶日本円でも持つか~となる
⑷円高ドル安
⑸「円安に支えられていた日本企業の業績悪くなるのでは」「円安だと日本株は割安だったのに」と考える投資家が増える
⑹日本株売り進行、そして日本株安へ……
こうして、米雇用統計が米金利へ、そして日本株へと影響していくのです。

⑵日銀の金融政策と総裁発言

日銀は、7/30~7/31の重要会合で「追加の利上げ」と「国債の購入を減らすこと」を決定しました。
これらはどちらも日本国内の金利上昇に寄与しますので
⑴日本国内の金利上昇
⑵金利上がったので円の旨味UP
⑶ドル売り円買いするか~
⑷円高ドル安
⑸「円安に支えられていた日本企業の業績悪くなるのでは」「円安だと日本株は割安だったのに」と考える投資家が増える
⑹日本株売り進行、そして日本株安へ……
という感じで、円高ドル安をもたらす可能性があります。また、しつこいですが「日本で金利上昇→お金借りづらくなる→企業の投資減少→景気減退→株価低迷」といった別のシナリオも考えられます。
とにかく、日銀の政策は金利の上昇と円高を促進するもので、その政策内容を知った投資家が日本株の下落を予想した、ということを抑えればOKです。

また、国民民主党代表の玉木雄一郎さんは「上のような日銀の政策を、投資家たちはある程度予想していた。なので、今回の政策内容自体が株価下落に大きく影響したとは思えない。どちらかというと、植田総裁の『引き続き金利を上げていく』という旨の発言が投資家にとってサプライズだったのではないか」という旨のご発言をされています。これは興味深い考察だなあと思いました(小並感)。
玉木さんの発言を理解していただくため、基礎中の基礎の話をしますが、政策決定等のニュースが株価にどう影響するかは、事前の投資家の期待と政策内容によって決まります。例えば、投資家たちが「日銀は政策金利を0.25%上げるだろう」と予測しているときに、0.25%上昇させる旨を発表しても株価にはそれほど影響がないのです。玉木さんの考えだと、日銀の政策内容は投資家にとってNon-Surprisedだった、ただし植田総裁の発言がSurprisedであり、株価に影響した、ということになります。

⑶中東情勢

端的に述べると、イスラエルと戦闘を続けるイスラム組織ハマスの最高幹部が訪問先のイランで殺害されたことを受け、イランはイスラエルによる攻撃だとして報復を行う考えを示しました。つまり紛争の激化が予想されるわけですね。このため投資家の間ではリスクを避ける姿勢が強まり、リスク資産であるところの株式が売却された……というのがニュースとかで良く言われているロジックです。

まとめると
⑴紛争激化予想
⑵投資家はリスク回避的に
⑶リスク資産である株式売却
なのですが、⑴と⑵の間に多少の飛躍がある気がするんですよね。なぜ⑴ならば⑵になるのか、一緒に考えていきましょう。
まず、紛争が激化した場合、中東の海峡利用の危険性向上(下画像の「サプライチェーンの混乱」)・石油供給不足(下画像の「予期できない供給不足」)が見込まれ、それらの影響を受ける企業の株価は下がると見込まれます。ゆえに、投資家は株価の下落を予想し、リスク回避的になるのですね……

リンク先より引用

⑷「ここで儲けてやろう」と考える投機筋

株価下落局面で「この下落相場を利用して儲けてやろう」と企図する投機筋の影響も無視できません。彼らは更なる株価の下落を予想し、空売りといった株価を更に下落させうるポジションをとります(実際に下がれば、彼らの勝利)。
バカバカしいと思うかもしれませんが、投機筋の影響は無視できません。現に、為替介入で話題になった神田真人財務官は、為替介入にあたっては投機筋の動向を考慮していた旨を47NEWSのインタビューで明かしています。

まとめ

書いているうちに、NHKの記事とかより詳しくなりました。これ最後まで読んでいただいた方とはめっちゃ議論したい(批判や間違いの指摘大歓迎)ので、何らかの形で連絡ください……
「よくわからん部分をもう少し詳しく」といった要望も大歓迎です。

追記
ここは本当のお気持ち表明ですが、8/5の暴落は明らかに過剰反応です。「就職氷河期が来る」「リーマン以上!」などと騒いでいる、雰囲気で相場を語る不勉強者は、とりあえず青チャートで数3まで勉強した上で、学部レベルのマクロ経済と金融の教科書を通読してください。根拠のない、無教養な騒ぎ方が、さらなる相場の混乱をもたらすのです。

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