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CHASER.異星人に追われる男第一話[大失業時代]

ハローワークの窓口相談所で仕事の
相談を受ける高山

高山「えーーーーーー。仕事がない?」

ハローワークで声を出す。高山

相談員「ええ。申し訳ありませんが、貴方に合う仕事がありません、残念ですが。」

高山「そんな。なんかあるでしょ?」

相談員「残念ですが、貴方に紹介する仕事は
ありません。」

高山「なんでですか?。何かあるでしょ?倉庫作業員とか?清掃員とか?」

相談員「今はそういった仕事は、人型アンドロイドがやってくれるから、人間は必要ないです。
すみませんが。」

高山「わかりました。又来ます。」

相談員「ありがとうございました。次の方。」

椅子を立ち、ハローワークを出ていく高山

高山「はぁ、牛丼屋にいくかぁ。」

街を歩くと、商店街は異星人向けの店が
軒を連ねていた。そこで買い物する異星人達、

高山「なんだよ。あいつらばかり金持っていやがって。不公平すぎるだろ。」

島田「お〜い。高山、高山。」

手を振りながらかけてくる島田。

高山「なんだよ。島田じゃないか?どうした?
久しぶりじゃないか?」

島田「高山こそ、久しぶり。高校卒業以来だなぁ。元気にしてるかぁ。」

高山「まぁなぁ。元気にやってるけど、島田はどうだ?」

島田「俺は平気こんなところで話すのもあれだから、ファミレスに行かないか?」

高山「わりぃ、俺金がないんだよ。」

島田「大丈夫、ここは俺が出すから行こうぜ」

島田が言うと2人はファミレスへと歩いていく

場面転換・ファミレスの中・座る2人

アンドロイドのウェイトレス「ご注文は?」

島田「コーヒー2つで。」

ウェイトレス「かしこまりました。」

高山「悪いなぁ、奢ってもらってさぁ。」

島田「いいよ別に。気にするなよ。で?最近はどうだ?」

高山はコーヒーを1杯飲んで。数秒黙り
話し始める

高山「駄目だよ。仕事は見つからない。なんとかバイトで食いつないでるけど、」

島田「そっか。」

高山「お前はどうなんだ。確か異星人が好む野菜を製造して、輸出してるって話、あれは本当なのか?」

島田「あぁ、本当だよ。おかげさまで、輸出は絶好調だよ。利益は右肩上がり。これから忙しくなる。人も設備も増やさないとなぁ」

高山「そうか、そりゃ良かった。じゃぁ、俺は帰るよ。」

島田「おい、ちょっと待てよ。これを受け取れ。」

名刺を渡す島田。それを受け取る高山

島田「いつでも、連絡待ってるからなぁ。」

高山「あぁありがとう。」

名刺を受け取り、ファミレスを出る

高山「あいつ。どうしてだよ。どうして上手くいかないんだよ。くそ。調子に乗ってんじゃねえよ。クソがぁ。」

名刺をビリビリに破き、家路に急ぐ高山

ボロいアパート。今にも崩れそうな部屋
電気もつけず。ビールを飲みながら天井を
見る

高山「俺はこれから、どうしたらいい。あーー、わかんねえ。」

目を閉じて寝る、高山


今日も朝早くから、高山は建設工事のバイトをしていた。

作業員「おい、高山早く資材持ってこい。」

高山「はい。わかりました。」

忙しく走り回る高山。お昼休憩で

飯を食べていると。アルバイトの先輩

石田が話しかけてくる。

石田「なぁ。高山。お前は就職とか考えてるのか?」

高山「え?それどういう意味ですか?」

石田「あれみろよ、あのビルを。」

石田が指をさす方向を見ると、自分達が

途中まで建設しているビルが見える

高山「あのビルがどうかしましたか?」

石田「どうかしましたじゃねえよ。あのビルは異星人向けの高級住宅ビルだ。俺達が一生懸命働いて建設したビルに、どこの惑星から来たかもわからない異星人が鎮座する。ふざけんなよ。朝から晩まで働いても毎日生きるのもやっとなのに、お前はそれでいいのか?」

石田の言葉に言い返す言葉もない高山

高山「それでいいのかと言われても、じゃあ、どうしたらいいですか?」

石田「お前、地球を出る勇気はあるか?」

高山「え?地球を出る?それってどういう意味ですか?」

石田「政府が推奨してる。宇宙で働きたい人間のための講習があるらしい。来週の水曜日にあるから、暇なら行ってこい。」

高山「先輩は行かないのですか?」

石田「俺はいい、宇宙には興味がないから。けどお前はまだ先があるし、まだ若い。こんなところで一生終わらせるな。」

昨日の出来事が頭をよぎる。

高山「わかりました。俺行きます。来週の水曜日。」

石田「そうしろ、そうしろ。よし。午後の仕事行くぞ。高山。」

高山「はい。」

日が過ぎ石田先輩の言っていた。宇宙で働きたい人のための講習へ行くために。朝早く起き、宇宙センターへ向かう。

高山「着いたけど。ホントにここか?」

宇宙センターの中へ入ると

数十人大広間にいるが、まずは受付の女性の所へ小走りで近づく高山

高山「すいません。受付いいですか?」

受付の女子「はい、いいですよ。こちらの紙に名前を。」

名前を書く高山

受付の女子「それでは、こちらの番号をお持ちになって、あちらの部屋で待機していて下さい。」

番号40番を持ち、案内された部屋に入ると

様々な年齢の人々がいた。

すると一人の男が近づいてくる。

謎の男「おい、兄ちゃん。」

後ろに振り返ると、柄の悪そうな男が

こちらに近づいてきた。

高山の心の声「なんだ?コイツ?」

高山「なんですか?」

謎の男「お前も参加すんのか?」

高山「あんた、誰だよ。」

舎弟A「お前、この人をだれだと思っている。

この方は。」

謎の男「おい、辞めろ。」

舎弟À「すみません。」

謎の男「まぁ、後で話そうや。」

謎の男と舎弟は奥に消えていく

高山は首を傾げる

高山「なんだ。あいつは?まぁ、いいか。」

部屋に待機していると

一人の男性が入ってくる。

富山「お前らは、静かにしろ。」

壇上に立つ富山。その声に

静かになる。

富山「私はこの試験を監督する富山である。

ここにいるお前らは死んでもいい覚悟はあるか?」

その言葉に周りは動揺する

高山も動揺を隠しきれない

男A「おい、どういう意味だ。」

男B「そんなの聞いてないぞ。」

周りの人間が騒ぎ出す。

富山「黙れお前ら。お前らごときがガタガタ言うな。その程度で。宇宙はもっと厳しい環境で、地球なんか生ぬるい、けれど強者には最高の環境である。どうだ。今の環境を抜け出したいなら、リスクを取れ。」

その言葉に周りがザワザワと騒ぎ出す。

男C「俺はやるぞ。」

男D「あぁ、俺も」

ザワザワと騒ぎ出す民衆を止める富山

富山「わかったわかった、君たちの情熱はわかった。それでは誰1人試験を受けない人間はいないと見ていいのだね?」

受付の女性「それでは。来週の同じ時間にきて下さい。それでは皆様解散してください。後は配られた番号は無くさずに保管してください。それでは解散。」

その言葉におのおの、部屋から出ていく

番号札をカバンに入れて外に出て

家に帰る途中。また謎の男に会う

謎の男「おう、また会ったなぁ」

高山「何なんだよ。オマエ。あっ!」

舎弟A「おい、なんだよ。さっきから、その言い方は。」

高山「思い出した。お前って、まさか、相田か?」

相田「あぁ、そうだよ、相田だよ。」

高山「なんだよ。相田。久しぶりだなぁ。何年ぶりかなぁ?」

相田「お前は相変わらずだなぁ。昔から。」

高山「ごめん、ごめん。それで相田。お前
試験受けるのか?」

相田「あぁ、受けるさぁ、宇宙に行きたいからなぁ。俺は絶対に行かなきぁならない理由があるからなぁ。」

高山「理由?」

相田「いやぁ、何でもない。おい、行くぞ。」

舎弟「へい。」

高山「おい、待て。はぁ。帰るか俺も。」

相田と舎弟は消えていく。後ろ姿を見送ると、高山も家路を急ぐ

数週間後、宇宙センターの試験会場にギリギリに入ると、ダッシュで大広間に入る

高山「ハァハァハァハァ、間に合った。」

チラッと横を見ると、数メートル先に
相田と舎弟がいた。

富山「お前ら、よく来たな。逃げずに。その心は褒めてやる。だがこれから行われる試験で合格できるのは3人だけ。」

隣にいる女性がマイクで話し始める。

受付の女性「えーーー、ここからは私が説明させていただきます。今から試験の内容をお知らせします。皆様にはこの3人を捕まえてきてください。」

壇上の大型モニターに3人が映し出される

受付の女性「まず最初の異星人は、不法滞在の
チャンネ星人。地球人の奴隷売買の罪で、今は逃走中。二人目の異星人はグラブ星人。こちらも不法滞在で、人間を40人殺して、今も逃走中。
最後の3人目の異星人は、カメレ星人。結婚詐欺師の常習犯。二人と違うのは、変身能力があり人間社会に紛れこんでおり、見つけるのは困難。
以上、今言った、3人の中の1人を捕まえてきてください。」

富山「それができたら、宇宙滞在・宇宙で就職もできる。このギャラクシーカードを授けよう。
タイムリミットは1ヶ月。1ヶ月だ。」

1ヶ月の言葉に周りがどよめく
男E「おい、1ヶ月は無理だろ?」
男D「時間がなさすぎるだろ?」

富山「1ヶ月誰も捕まえられなかったら、今年の試験はそれで終了だ。それでは、試験開始」

富山の声に、受験者達が一斉に
会場の外に出る。

高山は悩んでいた。

相田「おい、誰を捕まえる?」

高山「結婚詐欺師かな?簡単なのは、そいつぐらいだし。」

相田「確かに、でもこいつは、人間になれる能力があるからやっかいだなぁ。」

高山「あぁ、そうだなぁ、」

相田「高山。俺と組まないか?」

高山「どういう意味だ、それは。」

相田「この試験は1人じゃあ。絶対に無理だ。絶対に受かりたいなら。俺と組め高山。」

高山「わかったよ。相田。ただし、この試験だけだからなぁ。いいな」

相田「あぁ、わかった。」

高山「あのさ、あいつどうした?」

相田「あいつ?あぁぁ、あいつはなんか忙しくて。今日は来ない。」

高山「そうか、じゃあ、どうするかぁ。名前なんだっけ?名前。」

相田「カメレ星人だよ。カメレ。」

高山「そのカメレをどうやって探すか、検討はついているのか?」

相田「まお一応。けどかなり危険な橋を渡るが、それでもいいのか?。」

高山「あぁ、そうしないと。捕まえられないだろ?で?何処に行くんだ?」

相田「異星人街だ。」

高山は口をあんぐりさせて
頭を抱える。

高山「異星人街ーーーーーーーー!ハァ?馬鹿言ってんじゃねえよ。あのエリアは警察や軍隊でも入れない、ヤバい危険地帯だって事を忘れてるわけじゃないだろうなぁ?死ぬ気か?。」

高山は相田の服の襟を掴み、顔を近づける 

相田「じゃあ、高山。他にどうやって情報を掴むのさ?」

高山「そ、それは。確かに、異星人街に行けば情報は掴める。問題は異星人街はどこにあるんだ?」

相田「それは俺に任せろ。あっ、そうだ。スマートウォッチを出せ。」

高山はスマートウォッチを前にだすと。相田は
高山のスマートウォッチの上に重ねる

相田「よし、これでいつでも。連絡できるなぁ。
結婚詐欺師と異星人街は任せろ。俺に。」

高山「俺はなにをしたらいい?。」

相田「返事が来るまで待機していてくれ。」

高山「わかった。それじゃ俺は帰るわ。」

相田「あぁ。じゃぁなぁ。」

宇宙センターからオンボロアパート
へ帰ると。せんべい布団に横になり
ビール缶のフタを開け、一口飲む。
 
高山「ふぅーーーー、ん?誰だ。もしもし。」

石田「もしもし、高山。」

高山「石田先輩。 どうしました?」

石田「いや、最近お前を見てないから心配になってなぁ。」

高山「俺は大丈夫です。」

石田「そうか?明日は来るのか?現場には。」

高山「明日は行きます。大丈夫です。」

石田「そうか、明日待ってるからなぁ。それじゃ。」

そう言うと、通信が切れる。高山はビールを
一気飲みして、眠りにつく。

宇宙センターの試験開始から4日目が経ち
いつもどおり建設工事のバイトをしていた高山

作業員のおじさん「おい、高山。」

高山「はい、なんですか?」

作業員のおじさん「お前に用だって、早く行け」

高山は急いで、建設現場の外に出ると
外に相田がいた。

相田「よう、またせたなぁ。」

高山「相田、どうだ?」

相田「ビンゴだよ。最近カメレ星人は異星人街にいたって情報を掴んだ。けど。」

高山「けど?」

相田「異星人街の場所がわからないんだ。
アイツラは口が固くて、だれも言わないからなぁ。くそ。」

苦虫を噛み潰したよう顔をする相田

高山「あの情報屋に頼んでみるか。」

相田「情報屋?誰だよ。そいつ。」

高山「俺の同級生なんですけど、クセが強すぎて、会いたくないけど、情報屋は一流なんだよ。」

相田「そうなのか。じゃあ明日の午後1時、場所は後で連絡する。」

高山「わかった。それじゃまた。」

相田「あぁ、またなぁ。」

相田は走って、その場から消えていく
高山も仕事場に戻っていく

相田と会った次の日、高山はボロアパートから
ほど近いファミレスで相田ともう一人を
待っていた。

相田「わりぃ、わりぃ、またせて。」

高山「いや、大丈夫だ、」

相田「悪いなぁ、いつものファミレスで。」

アンドロイドのウェイトレスが注文を聞きに来る

アンドロイドのウェイトレス「ご注文は?」

高山「コーヒーを3つ」

アンドロイドウェイトレス「わかりました。」

相田「誰か来るのか?」

高山「あぁ、久しぶりに連絡したけど、嬉しそうにすぐ来るってさぁ。」

澄岡「おーい、久しぶりだなぁ。高山。」

ファミレスの入口から小走りで
高山と相田の席に近寄りドンと座る。

相田「こいつが、情報屋なのか?」

澄岡「どうも、はじめまして。澄岡といいます。
君は誰?」

相田「俺の名前は、、、、」

澄岡「相田くんだよね。君は。」

相田「あぁぁ、」

高山「澄岡、要件を話してもいいか?」

澄岡「異星人街だろ?わかってるよ。」

高山「なら、話が早い。異星人街の場所を
教えてくれないか?」

澄岡「教えてやってもいい。」

高山「ほんとか?」

相田「ただし、一つだけ頼みがある。」

高山「なんだ、言ってみろ。」

相田「協力するぜ。」

澄岡「実は、俺のコレクションしてるフィギュアが何者かに盗まれたんだよ。」

高山「フィギュア?」

相田「まさか、それを取り返してこいとでも?」

高山「頼む。あのフィギュアは限定品で世界に10個しかないんだよ。頼むよ。」

高山「写真とか映像はないのかよ。」

澄岡「これ持ってけ。」

二人に写真を渡す。澄岡
女の子のフィギュアと限定品を示す番号
ナンバー13が写っている。

相田「これって、ワイヤードガールズじゃないか?最近、異星人の間でも人気の。」

高山「相田、お前も集めてるのか?ワイヤードガールズ?」

相田「いや、俺の友達が好きなんだよ。ワイヤードガールズ。」

澄岡「あのさ、いいんだよな。頼んでも。」

高山「仕方ない。やるからには成功したら教えてくれよなぁ」

澄岡「あぁ、約束は守る。」

高山「それじゃぁ、なにかフィギュアを盗んだ犯人の手掛かりになりそうなものはあるか。」

澄岡「昨日、盗まれたフィギュアの情報があって自分も調べてみたら、雑居ビルの一室で、オークションが行われていて。そしたらフィギュアを盗んでオークションに出品した奴がわかったんだよ。確か名前は石田だったかな?あれ山田だたかなぁ、?」

高山「石田……………まさか・・・なぁ。」
 
石田………先輩。数週間前に1度、石田先輩の家に
遊びに行った時に、部屋の片隅にフィギュアが置いてあるのを思い出した。まさか・・先輩が
フィギュアを盗んだのか?一瞬頭が真っ白に
なった。

相田「高山、おいどうした。」

高山「あ、いやぁ、なんでもない。」

澄岡「とりあえず。フィギュアを盗んだ犯人を連れてきてほしい。以上。じゃあ頼むね。お金は払っておくから、」

冷めたコーヒーを飲み干すと
速やかに帰っていく澄岡

相田「なぁ、犯人を知ってるのか?高山?」

いきなりの爆弾発言に驚く高山

高山「え?知らねえよ。」

相田「嘘つくの下手だなぁ。お前。」

高山「はぁ、なんでこうバレるのかなぁ。」

相田「話せよ。誰が犯人なんだよ。」

コーヒーを1杯飲んで話し始める。高山

高山「俺の先輩かもしれない。」

相田「先輩?」

高山「自分が働いてる、建設工事のバイトの先輩で石田って名前の人がいるんだけど、」

相田「信じたくないのか?そうか、じゃあ直接確認しにいくか?」

沈黙していた高山が
驚いた顔で相田を見る

高山「え?何いってんだ。お前?」

相田「じゃあ、このまま見逃すつもりか?」

高山「そ…それは。」

相田「じゃあ、自分で聞けるよなぁ。?」

高山「わ、わかった。俺が聞くよ。だから余計な事をするなよ。いいなぁ?」

相田に釘をさす高山

相田「わかった。もうこんな時間か、俺帰るわ。
またなぁ。」

相田は小走りでファミレスを出る。
1人になった高山は石田先輩に電話をする。

高山「もしもし、石田先輩ですか?」

石田「おう、どうした?高山。」

高山「先輩にちょっと、聞きたいことがあるので、公園に来てもらえますか?」

石田「公園?いいけど。どこの公園?」

高山「ここです。」

高山はスマートウォッチで、公園の場所を
教える。

石田「いまちょっと忙しいから。30分後でいいか?」

高山「わかりました。では、30分後に。」

通信を切ると、急いでファミレスを出て
公園に向かう。30分になる前に公園に
到着すると、すでに石田がいた。

高山「石田先輩。」

石田「おう、高山、どうしたんだ。」

高山「先輩に聞いてもいいですか?」

石田「おぅ。」

高山「先輩って、フィギュア盗みましたよね?ワイヤードガールズの。」

石田は動揺する。その挙動を見逃さない高山

石田「な、何いってんだよ。高山。いきなり」

高山「俺の同級生が部屋に飾っていた、フィギュアが盗まれて、そのフィギュアを探してほしいって相談を受けていたその時。俺は思い出したんです。先輩の部屋に盗まれたフィギュアがあったのを。」

石田「………………………」 

石田は沈黙する。

高山「先輩なんですよね?フィギュア盗んだのは?」

石田「あぁ、そうだよ。俺がやったよ。俺があのフィギュアを盗んだよ。」

高山「なんでそんな事を。」

石田「金が欲しかったんだよ。金が。」

高山「先輩……………だからって。」

石田「有名な大学を卒業して有名な大企業に就職して、人生安泰だと思ってた。人生なんてイージだと思っていた。それがアイツラのせいで、アイツラのせいで、俺の人生は狂った。」

高山「石田先輩………………」

石田「アイツラ異星人が地球に移住したせいで仕事はなくなるわ、住む場所は無くなるわ。治安は無くなるわ、不公平だと思わないか?」

高山「自分も不公平だとは思う。けど、だからと言って、俺は人の物は盗まない。あと先輩、お願いです。フィギュアを返してください。」

石田「フィギュアは売ったから、もうない。悪いが」

高山「じゃあ、誰に売った?答えろ。」

石田に飛びかかる高山
高山をさらりとかわす石田

石田「それ聞いてどうする?高山」

高山「フィギュアを返してもらう。そうしないと試験に合格できないからなぁ。」

石田「そんなに死にたいのか?お前は
なら教えてやるよ。フィギュアを買ったのは
異星人街のやつらだ。」

高山「異星人街はどこにある。」

石田「それは俺でもわからない。聞くのは
タブーだからなぁ。おっとそれじゃあ
俺は暫く消えるかぁ、じゃあなぁ。高山。」

石田は高山を振り切って逃走する
人混みの中に消え、見失う。

高山「くそ、くそ、くそ、」

拳を何回も地面に叩きつけると
すぐさま電話する

高山「もしもし俺だ、俺」

澄岡「どうした?高山。」

高山「フィギュアを売ったのは、俺の先輩の石田だった。」

澄岡「そうか、で?フィギュアは持っていたか?」

高山「それが、フィギュアを売った相手は異星人街のやつなんだ。」

澄岡「そうか、わかった。異星人街の場所を調べておく。」

高山「ほんとか?」

澄岡「ただし、今回だけだからなぁ。わかったらフィギュアを必ず取り返すと約束してくれ。」

高山「わかった。約束する。」

澄岡「それじゃあ、わかったら連絡する。」

電話が切れるとオンボアパートへと帰る高山

3日後、いつものファミレスで
高山・相田・澄岡が集まっていた。

澄岡「場所がわかった。」

高山「どこだ?場所は」

澄岡「新宿だよ。」

相田「新宿のどこだよ?新宿の」

澄岡「新宿のシルバー街のある場所から
異星人街に通じてる場所があるらしい。」

高山「じゃあ、すぐに行こうぜ。」

澄岡「行っても無駄だよ。」

相田「どうしてだよ?」

澄岡「その場所は異星人しか知らないんだよ。
だからまずその場所を知ってる異星人を探さないと。」

高山「何星人なんだ。知ってるの?」

澄岡「おれもそこまで詳しくは知らない。すまないが」

高山「そこ以外に集まる場所は知らないのか?
澄岡」

澄岡「キャバクラとか、ガールズバーかな?」

相田「その情報、本当なのか?」

澄岡「確証はないが、たまにくるらしい。噂だがなぁ。」

高山「よし決めた。」

相田「なんだ?決めたって、まさか、」

高山「そのまさかだよ。」

澄岡「え?まじで、あそこで働くのかよ。俺は勘弁だなぁ。」

相田「俺も反対だ。なんで夜の店で働かなくちゃならんのだよ。」

高山「じゃあ、フィギュアは諦める?」

澄岡「わかった、わかった、働くよ。働けばいいんだろ?」

澄岡は不貞腐れる。

高山「それじゃあ、行きますか?新宿と
面接に。」

高山・相田・澄岡はファミレスを後にする
数時間後、3人は新宿のキャバクラに面接に
来ていた。

店長「じゃあ、明後日から働いてもらうけど
いいかな?3人は。」

高山・相田・澄岡は黒のスーツを着て
面接を受けていた。

高山「わかりました。」

相田「あの、質問してもいいですか?」

店長「なんだね?」

相田「寮は個室ありますか?。雑魚寝はちょっと。」

澄岡が手で口を塞ぐ。

澄岡「すみません。この質問はなしで。」

店長「じゃあ、明後日からお願いします。」

店長は部屋の奥に消えるのを確認すると
店の外に出る3人
 
澄岡「おい、何言ってんだ。」

相田「いやいや、雑魚寝なんてありえないだろ。」

高山「少しの辛抱だ、我慢しろ。」

不満な顔をする相田

新宿を歩いているとパトカーや救急車が前を
通り過ぎていく。

高山「なにがあったんだ?」

相田「行ってみるか?」

澄岡「あぁ。」

人が群がる場所に近づくが、人が多すぎて
見えない。ひとをかき分けて前に出ると
人が血を流して倒れていた。その手には
番号が握られていた。

高山「あれの番号の札は。」

相田「どうかしたか?高山。」

高山は周りを見回すと
クラブ星人がこちらを見ていた。

高山「おい、待て。逃げるなぁ。」

澄岡「どうした。高山、おい。」

高山はクラブ星人を追いかける。その
後ろを追いかける。澄岡・相田
細い路地へと入っていく。

高山「くそ、見失ったか。」

相田「おい、どうしたいきなり走り出して。」

澄岡「誰がを見つけたのか?」

息を整える高山

高山「クラブ星人だよ。」

澄岡「クラブ星人って殺人犯じゃないか。」

相田「そんな奴を追いかけていたのか?ふざけんなよ。高山。」

高山「例え殺人犯でも。3人いたら捕まえられるだろ?」

相田「何、軽い感じで言ってんだよ。帰るぞ。」

澄岡「相田の言うとおりだ。俺も死にたくないからなぁ。帰るぞ。」

振り返ると、ずんぐりむっくりの男が目の前に
現れた。クラブ星人だった。

クラブ星人「さっきから、俺の話をしてるのは
お前らか?あぁ。」

高山「あぁ、そうだよ。あんたがクラブ星人?」

クラブ星人の両手にマクドナルドが入った袋を
持っていた。それを見た。澄岡・相田は
疑問が浮かんでいた。

相田「なぁ、高山、ホントにこいつが殺人犯なのか?」

澄岡「どう見ても殺人犯には見えない。」

高山「もう一度聞く。ホントにクラブ星人か?40人も殺した殺人犯の?」

高山の言葉に顔が歪む、クラブ星人

「何を言ってんだよ?俺が殺人犯?そんな事するわけないだろ?」

澄岡「どうなってんだ?おい高山、映像あるか?」

高山「いや、ちょっと待て、あ、これかな。」

クラブ星人に映像を見せると、クラブ星人の顔が歪む。

クラブ星人「あの写真は俺じゃない。俺の弟だ
3年前に絶縁した。」

高山「弟さんですか?」

澄岡「じゃあ、さっきの殺傷事件はもしかして。」

相田「いや、安易に結びつけるのは危険だ。別の犯人の仕業かもしれないし。」

警察官A「いたか、そっちは?」

警察官B「いや、いない。」 

警察官が周りを調べている。

澄岡「ここにいたら、俺らも犯人にされるぞ。
逃げるぞ。」

相田「行くぞ。高山」

高山「あんたも来い。」

その言葉に、澄岡・相田が戸惑う。

相田「ほっとけよ。行こうぜ。」

澄岡「お前も犯人にされたいのか?高山」

クラブ星人「わかった。」

警察官C「いたぞ、待ちなさい。」

警察官「止まりなさい。そこの4人止まりなさい。」

高山・澄岡・相田・クラブ星人は
後ろを振り返らず、編みの目の道を
走り続ける。

相田「高山、いい加減にしろよなぁ。」

澄岡「試験に合格したら焼肉食わせろよな。」

高山「あぁ、わかった、わかった。」 

クラブ星人「すまない。あんたらをまきこんじまって。」

高山「別にいいよ。後で話を聞かせてくれないか?弟の話をさぁ。」

クラブ星人「あぁ、わかったよ。」

高山・澄岡・相田・クラブ星人は
警察の目を搔い潜り、新宿を抜けて
寮へと向かい走っていく




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