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インドネシアの宗教観

見出し画像は東京のモスク、東京ジャーミイでの1枚📸 移住してから常々感じるのはインドネシアは宗教を重んじる多宗教国家だなぁということ。日本にいる時には特に気にしてこなかった自分の宗教観を見つめ直すきっかけにもなりました。ということで、今回はインドネシアと宗教について触れてみようと思います。毎度のことながら実体験に基づく私の独断と偏見なので、ゆるーく読んでください🙏笑


①無宗教NG

インドネシア人の大多数はイスラム教徒ですが(全人口 約2,7億人の内の80%以上)、イスラム教、キリスト教プロテスタント、キリスト教カトリック、仏教、ヒンドゥー教、儒教の6つが国教として定められています。
※厳密に言うと他にも少数民族のみが信仰する宗教が多々ありますが、原則としてはこの6つが基本とのこと。

「パンチャシラ( pancasila )」というインドネシア憲法の前文に述べられている建国五原則の中に"唯一真の信仰"が掲げられています。よって無宗教NG。何を信仰してるかは割とよく聞かれるトピックの一つです。宗教事情は生活の隅々に根付いていて、例えばインドネシアのマイナンバーカード的な役割があるKTPという身分証明書にも宗教の欄があるし、銀行口座を開くときの書類にも宗教を記入する欄があるし、学校もイスラムやクリスチャン専門の学科があったりと、日本では考えられないようなことが様々。

イスラム教が大多数だから優遇される、ということはなくて、どの信者もヒエラルキー無く平等に、そして互いに尊重し合っているのがまたすごいところ。「あいつはクリスチャンだから〜」みたいな悪口は移住してから今まで1回も聞いたことないです。

②地域によって全く変わる信仰

先に述べたようにイスラム教が大多数を占めますが、地域や島によって何を信仰しているのかも目まぐるしく変わります。首都があるジャワ島はほとんどの人がイスラム教徒だけど、リゾート地で有名なバリ島はほとんどの人がヒンドゥー教徒だったりします。街の至る所にあるモスク🕌(イスラム教徒がお祈りするための施設)もバリに行くと見つけるのが困難。笑 ジャワ島から見て東に行けば行くほどクリスチャンが多くなります。地域が変わるだけで信仰が変わる。信仰が変わると街の雰囲気も変わる。これは日本にいるとなかなか味わえない感覚なので興味深かったです。

バリ島に行くとこのチャナンと呼ばれるヒンドゥー教のお供物を道路の至る所で目にします。色とりどりでかわいい!

③異教徒同士の結婚NG

見出しの通り、インドネシアでは異教徒同士の結婚は禁止されてます。日本でも同じ信者同士じゃないと結婚できないみたいな新興宗教の話たまーに聞くけど、インドネシアの方がもっと規律が厳格な感じがします。もし異教徒同士が結婚するとなったら、片方は(基本は新婦側らしい)必ず改宗を求められます。かくいう私も夫がムスリムなので結婚時にイスラム教に改宗しました。(元々無宗教だから入信と書くべきか?笑) というわけでイスラムの事の方が他の宗教より詳しいので、これはまた別で記事にできればいいなあーと思ってます。いろいろと積もる話があるので…笑

改宗は個人の権利として基本的に自由らしいけど、個人よりも家族の意思が重んじられる傾向にあります。なのでイスラム教徒がカトリックに改宗したいとなった場合、家族のNGが出たら改宗NG、よって結婚も無かったことに…なんて悲しいこともよくあるんだとか。そんなん認めてやればいいじゃん、って思うんだけど、インドネシア人は家族との絆をめちゃくちゃ大事にするので無下に出来ない文化なんだろうなぁーと思います。知り合いのインドネシア人に、もし好きになった人が自分と違う宗教だと分かったらどうする?って聞いたら諦めるって答えててカナシイ、、ってなった。

ちなみに子供の宗教は親からの世襲です。イスラム教徒から生まれた子供は自動的にムスリムになります。他の宗教も同じ。

④祝日がめちゃくちゃ多い

国教が6つあるので、全宗教の祭日はたとえ異教徒の行事であっても全て祝日になります。イスラム教徒もクリスマスは祝日、仏教徒もイースターは祝日、クリスチャンも旧正月は祝日です。笑

あと面白いのが政府からの"有給奨励日"があること。日本みたいな振替休日はないけれど、例えば木曜日が祝日、金曜日は平日だとしたら、この金曜日がインドネシア政府公認の祝日になり、週末の土日と合わせた4連休にしなさい!みたいなお達しがしばしば出ます。いま説明したことがまさに今週起こる予定で、この記事を書いているのが2024年の2月6日(火)で、2日後の8日(木)はイスラムの祝日、その翌日の9日(金)は平日なんだけど、この9日に対して有給奨励のお達しが出ていて、週末の土日を足して基本的に国民は4連休になります。

日本の祝日総数が16日(Google調べ)なのに対し、インドネシアはこの有給奨励があるおかげで祝日総数は毎年20日を超えます。しょっちゅう祝日があるので、振替休日が無いとはいえ何だか得した気持ちになります。笑

⑤平等であれどイスラム強し

宗教間での平等と尊重が謳われてはいるけど、やはり国民の大多数がイスラム教を信仰しているので、世界最大のイスラム国家と呼ばれるインドネシア。ここでの暮らしはイスラム教徒に寄り添ったものが多いなぁと感じます。

イスラム教徒が豚肉とアルコールを食すのは原則NGなので、スーパーに行けば全ての商品にハラルマーク(イスラム教徒が口にしてOKな印)が付いているし、ハラルマークのない商品は別で陳列されてます。レストランでは豚肉もラードも使ってないよ、って文言の "NO PORK NO LARD" のサインが至る所にあります。豚肉を見つける方が逆に難しいんじゃないか…?と思うほど。笑 豚肉もお酒も専用のコーナーに行けば普通に売ってるけどね。

ハラルマーク。ハラル食品には必ずついてます。

あと②で触れたモスクですが、イスラム教徒は1日5回お祈りをします。このお祈りのリマインダーとして、アザーンというお祈り時間をお知らせする音楽が毎日5回、モスクから大音量で流れます。決まった時間に流れるから時計代わりになるし今となってはもう慣れたけど、慣れるまでは耳障りで鬱陶しく思ったりビックリすることも…笑

クリスチャンの友達が家探しで苦労したそうで、ものすごくいい物件があったけどモスクの真横にあって不動産屋さんから「明け方のアザーンの音がしんどいかも」と言われて泣く泣く諦めたとか…笑 日本ではなかなか無いエピソードなので面白かった。


以上移住で感じたことをざっと書いてみました〜。こうやって書き出してみて、改めて日本とは全然違うなぁと感じます。違いを直接目にして学ぶというのは社会人を経た後だとなかなか無い経験なので、今でも毎日が新鮮で勉強の日々です。この記事でちょっとでもインドネシアに興味を持ってもらえたら嬉しいです🤲