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アートフェア東京2022に出展する方法を考える

2021年3月に東京、有楽町にある国際フォーラムでアートフェア東京2021が開催されました。2020年3月はコロナの蔓延が日本でも始まった時期で大型イベントは軒並み自粛を始めた頃でした。

今年も自粛によって開催されないだろうとは思いつつも、一応チケットだけは買っておきました。昨年と同様に直前になって中止。になると思っていたのですが、そのようなアナウンスが発表されることはなくそのまま開催される運びに。

平日は休みが取れるとそもそも思っていなかったので土曜日の一番早い時間のチケットを買いました。美術館に行くときもアートフェアに行くときも大体そうですが、朝の一番早い時間を狙います。

13時を過ぎると人混みになってきて見るのが大変ですが、朝の開始直後は結構空いていて快適です。

アートフェア東京2021はコロナの環境下での開催のため、入場者数の減少が予想されていましたが、結果としては過去最高の売り上げになったとニュースでも話題になっていました。

前回の2019と比べて売り上げと入場者数がどの程度だったのか比較してみましょう。

売り上げ(出展者へのアンケート調査)
2019:29億7000万円
2021:30億8000万円
売り上げは3.7%の増加

入場者数
2019:約60,000人
2021:約41,000人
入場者数は32%の減少。

出展ギャラリー数
2019:約160軒
2021:約140軒

会場では海外の方もちらほら見かけましたが、ほとんどの入場者は日本人だったようです。海外渡航がなかなかできない状況なので当然といえば当然ですが。

特に目当てがあるわけでもなく、訪問したことのあるギャラリーを中心にさらっと回って、とっとと退散しました。

本当はプライスリストを見て、どの作家のどの作品はどのくらいの値段なのか。
どういう作品が売れているのか。

そういう話をギャラリーの方に聞いてみたいのですが、そもそも購入する目的で訪問していないので完全に冷やかし客になる訳です。妻は画家をしているのでギャラリーに挨拶でもできるといいのかもしれませんが、コミュ障なのでその選択肢は早々に捨ててあります。

勉強を兼ねて休日には都内のギャラリーを4軒ほど回るときもありますが、大体の場合はギャラリーの方と一言も会話せずにギャラリー訪問が終了するのがザラです。

コミュ障のスキルが上がりすぎて、話しかけられそうな雰囲気を感じ取った瞬間に距離を置く能力が身についたんじゃないかとさえ思います。私だけでなく画家をしている妻も同じようなコミュ障です。

それなのに昨年は3回も展示ができたのは、本当に周囲の方にたくさん動いて頂けたからだと思います。

今年は2回ほど展示をする計画を立ててはいますが、まだ明確に決まっているものはありません。そこで、頭の体操も兼ねて、次のアートフェア東京2022に出展するにはどうするか?というのを画家の妻と話してみることにしました。

正攻法は出展ギャラリーに取り扱ってもらうこと?

まず最初に思い浮かんだのは、すでにアートフェア東京に出展した経験のあるギャラリーに売り込みをかけて取り扱ってもらうように営業をかける。でした。

出展ギャラリー数が減ったとはいえ、アートフェア東京2021には140ものギャラリーが出展しています。しかもその内、結構な比率のギャラリーの所在地が東京です。

1軒ずつ回って営業をかけてみたら1軒くらいは取り扱ってもらえるところがあるんじゃないか。完全に他人頼みの作戦です。

次に、どのような条件が揃えばその作戦がうまくいきそうかを考えてみます。
仮に140軒のギャラリーの内、6割が東京にあるとします。真面目に集計すればきちんとした数値が出せますが今はざっくり検討なので感覚値です。

この仮定においては約84軒のギャラリーが東京にあると考えます。平日は会社員として仕事をしていますので、訪問するのは休日になります。一日に回ることができるのはせいぜい5軒くらいでしょうか。土日両方とも営業活動に費やすと他のことが進まなくなるので土曜日だけ営業に使うとします。

この場合、17週間かければ84軒のギャラリーを訪問すことができます。6月から訪問を開始したとして、10月には全てのギャラリーへの営業が完了します。

もし出展に前向きなギャラリーに遭遇することができたとしたら?

営業が完了した時点で全滅している可能性もありますが、幸いにも1軒だけは前向きに検討してくれる所があったとして検討を続けます。

この場合、次のフェーズに進めることができますが出展ができる確証は全くありません。アートフェア東京の開催は3月で、プレスリリースは大体12月に行われます。

営業活動が完了した10月の段階でプレスリリースまであと2ヶ月しかありません。アートフェア東京に出展しているギャラリーであればある程度売れている作家を取り扱っている可能性が高いです。

その先人たちを押しのけて、まだ一度も展示したことないギャラリーでアートフェア東京に出してもらう。先程の第一段階で薄々感づいてはいましたが、この案は現実的だとは思えません。

そこで少し目線を変えてアートフェア東京の出展条件を調べてみることにします。

アートフェア東京の出展条件

実はもうアートフェア東京2022の出展申し込みは始まっています。締切は6月28日です。2022年3月9日が搬入日、10日は招待客のみ、11日〜12日が一般公開日。

アートフェア東京自体は1つのイベントですが、実は出展には3種類あります。

ギャラリーズ
クロッシング
プロジェクツ

という名称がついています。

ギャラリーズは、アートフェア東京のメインセクションです。国内外の優れたコマーシャルギャラリー/美術商が対象。つまり大手ギャラリーです。

クロッシングは、百貨店や地方工芸団体のための枠です。2019年から新設されました。
申請書類をもとに、アートフェア東京セレクションコミッティが審査を行い、出展者を決定致します。

プロジェクツは、新しく出展活動を行うギャラリーの枠です。比較的に若いギャラリーはプロジェクツで出展することになります。ブースのサイズは決められており、6m2の広さで個展形式の展示をします。

どの出展形態であっても、書類審査が行われ出展する資格があるかを審査されます。ここまで読んだ方はお気づきかと思いますが、出展する最低ラインとしてギャラリーである必要があります。

アートフェア東京の出展料

審査がどのように行われるかは手元に全く情報がありませんので、公開されている情報である出展料を次に見ていきます。

ギャラリーズ
最小出展スペースは9.5m2、料金は880,000円
最大出展スペースは66.5m2、料金は4,455,000円

クロッシング
最小出展スペースは14.25m2、料金は880,000円
最大出展スペースは38m2、料金は1,980,000円

プロジェクツ
出展スペースは1サイズ6.5m2、料金は275,000円

出展料だけでも結構な金額を払う必要があるので、売れるかわからない、取り扱ったことの無い作家がいきなり出展してもらえる可能性は非常に低いと言えます。

アートフェア東京に出展するのは無理ゲーなのか?

ここまでに見てきた出展条件を一度整理してみます。

・ギャラリーとして活動していること
・書類審査をクリアできること
・出展料を支払えること

これらの条件をクリアしていれば出展できる可能性があります。協力してもらえるギャラリーさえ見つかれば、出展料をクリアするだけでとりあえず申し込みをすることはできます。

後は書類審査が通るかは審査結果を待つしかありません。プロジェクツでの出展であれば27万5千円です。我が家の場合は夫婦共働きなので支払うのが無理な金額ではありません。申し込み時点では料金を支払う必要がないようなので、選考に落ちたとしても失うものは少ないです。

これまでに一緒に展示をしてきたギャラリーはアートフェア東京には出展したことがないので、出展料はこちら持ちで一緒に出してみませんか。とお誘いしてみたらまだ出展できる可能性が残っているように感じます。

実現可能性としては妥当なラインまで引き上げられたかもしれません。

一緒に展示をしたことないギャラリーにいきなり営業をかけるのはコミュ障には難しいですが、すでに一緒に展示をしたことあるギャラリーに話を持ちかけるのはまだどうにかなりそうです。

このように生態系をよく調べ分析することで、どの選択肢が無謀で、どの選択肢が実現可能性が高いかを知ることができます。協力してくれるギャラリーが見つかるかもまだ分かりませんし、出展できたとしても赤字になるかもしれません。

それでも、実際に出展してやってみないとわからないところは数多くあります。共働きで働いているおかげで作品が全く売れなかったとしても生活が立ち行かなくなるほどには困りません。

これが、どのくらいの人数の方に役に立つ情報かは全く想像がつきませんが、アートフェア東京2022の会場でお会いすることができることがあったら嬉しく思います。

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