![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120642595/rectangle_large_type_2_8e7624534c329fd7e77d2a4ca39c977f.jpeg?width=1200)
中国四川省の鉄道「芭石鉄路」⑤
芭石鉄路の朝と昼
翌日、5:30に集合して、タクシーで「石渓駅」へ。
目的は、蒸気機関車の朝方の撮影をするためだ。
早朝の蒸気機関車
![真っ暗な駅に停車中の列車](https://assets.st-note.com/img/1698963667993-IqRTVQMtjv.jpg?width=1200)
2月下旬の日の出は、だいたい7:10頃。
6:30に駅に到着すると、早朝出発の列車に乗って「菜子壩駅」へ。
![運転席で働く鉄道員](https://assets.st-note.com/img/1698963684932-Q4kkz2hVTp.jpg?width=1200)
![客車内の様子](https://assets.st-note.com/img/1698963699874-mqusFbNJHN.jpg?width=1200)
驚いたのは、車内が真っ暗だということ。
電灯などなく、車窓も闇に包まれているため、手元も見えないほどに暗い。
写真は、トンネル内の電灯で、一瞬だけ車内が光に包まれた瞬間。
![真っ暗な車内で、懐中電灯を持ってきた駅員さんが切符を確認](https://assets.st-note.com/img/1698963714013-lL6mBdXQuY.jpg?width=1200)
途中、車掌さんが切符を切りに来る。電灯を片手に切符をチェック。
![闇のなかで赤々と燃える石炭くず](https://assets.st-note.com/img/1698963733693-SBWdHoXJdz.jpg?width=1200)
「菜子壩駅」に到着する。
まだ真っ暗な中、線路に下りると、廃棄された石炭が闇のなかで真っ赤に燃えていた。
突撃!隣の朝ごはん
![薄暗い室内に置かれた竹製の椅子](https://assets.st-note.com/img/1698963749518-iBMM8yksSq.jpg?width=1200)
ここで、我らの頼もしいガイド・陳さんが、たくみな交渉術を発揮する。
近くに朝食をとれるような食堂がないため、なんと、しんと静まりかえったひと様の家の玄関をノックしたのだ。
「朝ごはん、食べさせてもらえる?」
「突撃!隣の朝ごはん」だー!
なんともおおらかなことに、あっさり「いいよ」ということになったので、これまたびっくり。
まだ朝食の準備ができていないそうなので、しばらくぶらぶらして、朝ごはんができるのを待つことに。
![食卓を囲う四人の家族と、ガイドの陳さん、親戚](https://assets.st-note.com/img/1698963773534-bpcoJXRl9P.jpg?width=1200)
朝ごはんができあがると、小さな卓を囲い、ご家族と一緒に朝食。
優しいご夫婦とおじいちゃん、おばあちゃん、中学一年生だという息子さんの五人家族。
わらびのわさび漬けや、キャベツの炒め物などをいただいた。
ここで、見知らぬ人とすぐに打ちとけられる哥哥が、こう提案する。
「あ、日本のレトルトカレーあるけど食べる?」
息子さんが積極的にチャレンジをした。
「おいしい」
そう言いつつも、表情を見るに、絶賛!とはいかなかったようだ。無念。
そういえば留学中も、中国の学生にカレーを食べさせたけど、微妙な顔をしていたっけなあ。
ちなみに、私の人生最大のチャレンジは、北京で食べた「大王蛇のからあげ」と、雲南省でアパートの大家に食べさせられた「竹虫の素揚げ」だ。
蛇はおいしかった。竹虫も、味はポテトチップだ。ただ……大家の友人が「スープにひたして食べてもおいしいよ」と言って、どんどん竹虫をスープに入れてくれたのだが、水をふくんだことで、元の姿を取りもどした竹虫の破壊力は……いや、これ以上はやめておこう……。
芭石鉄路の美しき春
![棚田に植えられた菜の花](https://assets.st-note.com/img/1698963791859-iFY3sLj4G7.jpg?width=1200)
![棚田に植えられた菜の花と小屋](https://assets.st-note.com/img/1698963849871-92LTBSS6ae.jpg?width=1200)
日がのぼり、歩いて撮影ポイントを探すことに。
素朴な田園風景。観光用に植えたものだろう、棚田に広がる菜の花畑が美しい。
![盛り土の上を走る蒸気機関車と、菜の花畑](https://assets.st-note.com/img/1698963893430-aULfpyKaA7.jpg?width=1200)
前日に続き、この日も曇り。
かすみまでかかり、あまり視界はよくない。
だが、黒々とした蒸気機関車には白んだ空気もよく似合う。
![線路の脇に立ち、こちらを見つめている茶色の犬](https://assets.st-note.com/img/1698963930074-J9iktDJAKa.jpg?width=1200)
![菜の花畑の向こうの盛り土のうえを走る蒸気機関車](https://assets.st-note.com/img/1698963960459-yD71RV1o1m.jpg?width=1200)
![水の張られた棚田とあひると、菜の花畑](https://assets.st-note.com/img/1698963989754-sfwh6Xz7mP.jpg?width=1200)
![道ばたに座り、みかんを食べる少女と少年。少女はすっぱそうな顔をしている](https://assets.st-note.com/img/1698964000692-HHkkQwaWh5.jpg?width=1200)
お医者さん宅の二階で撮影
![盛り土の上を走る蒸気機関車](https://assets.st-note.com/img/1698964054818-YcbVG26VuQ.jpg?width=1200)
トウさんというお医者さんの勤める衛生室の二階で、撮影をすることに。
撮影スポットとしてたびたび利用されているらしく、10元を支払った。
列車がここらを通る時刻までは、まだまだ時間がある。
油断して、ぼんやりとしていると、いきなり蒸気の音が。
あわててカメラを構えると、なんと二台の機関車がけん引する「重連」がやってきた!
「重連だー!」
![盛り土の上を走る蒸気機関車](https://assets.st-note.com/img/1698964080637-a5Now3ei3B.jpg?width=1200)
哥哥、大慌てでビデオを回す。
私も突然のことに動揺しながら、撮れるかぎりでシャッターを切った。
構図も決めていなかったので、素人鉄ちゃんにはこれが限度でした。
時刻表にはない列車だ。よく見ると車内がデコレートされているので、いわゆる「婚礼列車」というものだったらしい。
新婚夫婦がドレスアップして菜の花畑で撮影をするため、列車を借りきり、結婚式の参列者とともに、あちこちで大撮影会をするのだ。
写真好きの中国人らしい、ほほえましい光景だ。
馬と線路と人と
![道ばたに積まれたレンガ。人がレンガを馬の背に積んでいる](https://assets.st-note.com/img/1698964104543-nayWnWZ1ne.jpg?width=1200)
町中には、レンガを運ぶ馬の姿。お仕事おつかれさま!
![馬と人が線路を歩いている](https://assets.st-note.com/img/1698964128378-AcrKjLqmhi.jpg?width=1200)
先ほど重連が通っていった線路を、馬も人も歩く。
![皿に盛られた白い汁麺、ねぎと青菜がのっている](https://assets.st-note.com/img/1698964143499-WXIac7zz1N.jpg?width=1200)
日本人の鉄ちゃんがよく訪れるそうで、トウさん曰く「日本の朋友も多いんだよ」。
確かに、朝の列車の中で、ひとり日本人の男性と知りあった。
衛生室ではカメラを持った欧米の方とも出会ったし、中国の農村部では珍しく、とってもグローバルだ。
![茶色のもふもふした毛皮の子犬。口元が黒い](https://assets.st-note.com/img/1698964155979-q5vfOArFsb.jpg?width=1200)
次回予告
中国四川省の鉄道「芭石鉄路」⑥(最終回)
![菜の花畑で笑顔で写真に写る少女ふたり](https://assets.st-note.com/img/1698964285074-X1iqs74V00.jpg?width=1200)
昼食のあとも、引きつづき蒸気機関車の撮影をする。
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