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ある始まりの世界の物語 Ⅳ

家に帰った少女はニコニコと嬉しそうです。
窓の外の景色を見ながら誰にも聞こえないように、
「明日も、行っていっぱいお話するんだ!」
と呟くのです。
空には満天の星空と瑠璃色の空に優しい月が浮かぶ夜でした。
翌朝、少女は家の手伝いをしていました。
しかし、少し失敗してしまったようです。
どうやら、しょんぼりしてしまっているようでした。
お水を汲みに行って溢してしまったようです。
まだ、抱えきれない大きさなのに、頼まれた手伝い以上に張り切って溢したようでした。
少女にとっては、落ち込んでしまうほどの出来事だったようです。
少女は手伝いの後、しょんぼりした様子のまま、いつもの場所に行きました。
黒い羽を持つ者は、少女の様子が違うのを気付きましたが口にはしませんでした。
少女は黙って黒い羽を持つ者の近くに座り溜息をつくのです。
「どうした?何かあったのか?」
黒い羽を持つ者は、堪えきれず聞きました。
すると少女は、ポツリポツリと、手伝いで失敗してしまったことを話し始めました。
「失敗しちゃった…」
と言って少女は更に続けます。
「私にも出来ると思ったの。でも、出来なかったの…。」
話しながら、いつの間にか少女は眠ってしまいました。

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「ん?寝てるのか…?」
と苦笑いしながら、黒い羽を持つ者は言います。寝入ってしまった少女の髪にそっと手を伸ばし、そっと梳くのでした。とても優しい手が梳いてくれていることを知っているように少女は眠りながら少し微笑みました。

           ✿*続く✿*

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