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劇的な親子の会話

父親「突然だが、我が子よ。」

子供「なんだい、父さん。」

父親「将来の夢を教えて。」

子供「本当に突然だね。」

父親「ああ、そろそろ父親として知っておかなくてはと思ってね。思えば仕事ばかりでお前の小さい頃はろくに相手もしてやれなかった。それを今更になって悔いているんだよ。こんなダメな父親をどうか許してくれ。」

子供「大丈夫だよ、父さん。僕はそんなこと気にしちゃいないさ。父さんは家のために頑張ってくれているんだ。それを咎める愚か者が、この世のどこにいるというのだろう。一生懸命な父さんが僕は大好きさ。さぁ、もう一度聞いておくれよ。父さんの期待に十全に応えられるような夢を語ってみせるとも。」

父親「ああ、俺はなんて幸せ者なんだろう。数刻前まで悩んでいた自分が馬鹿らしく思えてきたよ。俺はなに一つ間違っちゃいなかったんだ。さぁ、偉大なる我が子よ。改めて聞かせておくれ。君の将来の夢は……?」

子供「……紗倉まなと結婚することだね。」

父親「(首を5,6回横に振った後、これが夢だと疑うように両頬を叩く)……今、成人前の男児の口からはあり得てはいけない音の組み合わせが聞こえてきた気がするが、俺の聞き間違いかもしれない。悪いが、もう1度言ってくれないかい?」

子供「紗倉まなと結婚することだね。」

父親「……。」

子供「どうしたんだい、父さん。僕は本気だよ。高校野球部が甲子園を目指すように、僕は本気で紗倉まなとけっ」

父親「黙れ。」

子供「えっ」

父親「黙れと言っているんだ。」

子供「……。」

父親「俺はお前に失望したよ。いや、それは間違っているのかも知れないな。お前を愚かな獣にしてしまったのは俺の落ち度でもあるのだろう。ああ、私はどこで道を間違えたのでしょうか。どうか罰を与えたまえ、偉大なる主よ。私の下に悪辣の極みである色欲の徒が生まれてしまったのは私の愚行のせいであります。我が子はなにも悪くないのです。どうか……どうか……私に……。」

子供「いや、父さん、それは違うよ。」

父親「なにが違うと言うんだ?脳の最奥まで陰茎に侵されきった欲獣め。」

子供「僕は何も紗倉まなと性交渉をもちたくて結婚したいと言っているわけじゃあないんだ。僕は、女性としての、いや人間としての紗倉まなの魅力に惹かれたんだよ。見てごらん、どこまでも僕たちを包み込んでくれるような深海のように美しく黒い瞳と、人間の汚れた部分を洗わんとする慈悲深さが写真からでも見て取れるだろう?まだまだ言い足りないが、主にこの二つの胸……いや理由をもって、紗倉まなと婚姻を結びたいと思ったんだよ。」

父親「フォーマルな言い回しにしたところで溢れんばかりの性欲が言葉の端々から漏れ出ているぞ淫獣め。クソ、もはや手遅れか……。我が子に取り憑いた悪霊は、かのサタンの使いであるようだ。こうなってはもうどうしようもない。共に祝福を受けよう。さぁ、こちらへおいで、真の愛(アガペー)を忘れた愚かな子よ。この俺が責任をもって、お前の魂を主の元へ送り届けよう。」

子供「父さん、僕は——」

父親「黙れェェェェェェェェェェェッ!!!!!俺はもう間違わないッ!!貴様という我らの血に混ざった不純を今ここで!この俺の手で!断ち切ってみせる!!!ご照覧あれ、我が神よ!あなたが与えたもうた貴き血は、俺の代で爛れ堕ちた!!そして、同じく糜爛した決意と覚悟でもって、魔性に堕ちた我が血統を清算する!」


子供「父さん、父さん!」


父親「……。(銃を手に取り、弾を詰めたあと、子供に向けて構える)」


子供「目を覚ましてよ、父さん!!!


父親「!!!!!」


子供「ようやく、僕の方を向いてくれたね。ねぇ、これを見てよ。」

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父親「これは……」

子供「これを見ても、まだ僕の願いを否定するというのかい?」


父親「う、うあああ、あ、ああああ…間違っていたのは……俺の方だったのか……。いや、それすら———」


子供「そうだよ父さん。人々が心の内に秘める想いを道だとするなら、この世には数多くの道があり、そのそれぞれの道を尊重し合わなくちゃいけない。だから、僕に父さんの怒りを咎めることなどできやしない。その点で言えば、この世に間違いなんてないのかもしれないね。」


父親「おお……おおおお………赦してくれ、息子よ……俺は、知らず知らずのうちにこんなにも大きな罪を背負っていたのか……。それに比べて、お前のなんと高潔なことだろう。今湧き出したばかりの水のような清らかさを感じるよ。ああ、こびりついた罪を洗い流してくれる赦免の水流が、お前の魂の中を巡っているのだろうな。」


子供「父さん、大げさだよ。僕は当たり前のことを語っているだけさ。でも、その当たり前が父さんを正しい道に戻してくれたんだ。僕は敬意を表するよ。そうさせてくれた紗倉まなと、この世界の理に。」


父親「ああ、まったくだ……。」


父親「なぁ、我が子よ。」


子供「なんだい、父さん。」


父親「俺から言うのもなんだが、これから一緒に紗倉まなの登場作品を見ないか。お前の将来の伴侶となる女性を今一度ちゃんと見ておきたいんだ。」


子供「……もちろん!とっても嬉しいよ!ああ、忙しくなるぞ。僕のフォルダから厳選しなくっちゃ!あ、父さんと一緒に販売サイトから良さそうなのを探すのもいいな。うーん、やりたいことが多すぎて迷っちゃうよ!」


父親「ハハ、時間はたっぷりあるんだ。ゆっくりやるといい。俺も勿論手伝うぞ。あ、これなんてどうだ?『遠距離恋愛の彼女と限られた時間の中で……』」


子供「うわぁ、良いね!父さんすごいよ!」


父親「ハハ、そうか?お前にそう言って貰えると嬉しいよ……。」


子供「うん、最高だ!僕、父さんとこうやってオカズを探すの、とっても楽しい」


父親「ああ、本当に良かった。なんだか救われた気分だよ。こんな時間が、いつまでも続けば良いのに……。」


子供「なに言ってるんだよ、父さん!時間はたっぷりあるって言ったのは父さんじゃないか!」


父親「ああ、それもそうだったな。ハ、ハハ、ハハハハハハ——。」

子供「うん!あはは、あははははは——。」


母親「(全く、オカズの趣味まで親子そっくり。でも、仲直りできて本当に良かったわ。)」


父親・子供「まったく、この世界ってのは最高だな!

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