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リアルワインガイド86号を読んで思う

ワイン専門紙リアルワインガイドの新刊86号が届いたので、ちょっと休憩がてら仕事の合間に読んでみました。

巻頭の特集は「5千円台までの世界の美味しいピノ・ノワールまたはそういう味わいのワインを探せ!・・・たくさんありました」という企画。

まあ、この世の物とは思えない価格になってしまった、ブルゴーニュのピノ・ノワールのオルタナティヴ(代替品)を探せ的な物、ブルゴーニュやピノ・ノワールを取り上げる事の多いリアルワインガイドらしい企画ですね。

5,000円台と言っても前半は1,000円台の物も多く、この辺の価格設定的にどうしてもフランスのラングドックのヴァン・ド・ペイや、チリのピノ・ノワールが目立ち、後半にかけてポツポツと南アフリカやドイツが取り上げられている感じで、その他はロワール、アルザス、カリフォルニア、ニュージーランドなど。

意外だったのは、ブルゴーニュに近いエリアで、ピノ・ノワールの産地としてもある程度の評価の有るジュラが一つしかなく、ピュイ・ド・ドームで有名なオーヴェルニュのピノ・ノワールが無かったり、そういう味わいを謳ったピノ・ノワール以外の品種があまり取り上げてなかった事。

確かに読者層の多くのユーザーさんから見ればブルゴーニュ以外の安旨ピノ・ノワールが目当てかと思うけれど、どちらかというと他品種がもう少しあったらなというのが個人的な感想。

ブルゴーニュのピノ・ノワールのような酸味と渋味のバランスを考えた場合、オルタナティヴになる可能性の物は多くは無いけれど、冷涼地で言えばオーストリアのツヴァイゲルトとか、温暖地でもイタリアのネレッロマスカレーゼとかはその可能性が期待されているし、逆に全然聞いたことが品種が「なんかブルピノっぽい!」みたいな方が個人的には興味深い。

ちなみにカジュアルワインゼミのアカデミーコースではオルタナティヴ品種をテーマにカリキュラム作ったことがあって、ピノ・ノワールのオルタナティヴ候補としてサンプルに選んだのがツヴァイゲルト、ネレッロマスカレーゼ、ガメイ、ピノ・タージュだったかなと記憶してます。

ちなみにピノ・ノワールらしい言うとブルゴーニュを連想すると思うけど、それは歴史を含めた評価が高いからであって、カリフォルニアにブルゴーニュを凌ぐほどの世界的に評価の高いピノ・ノワールがたくさんあれば、ピノ・ノワールらしい=カリフォルニアという図式になると思う、あくまで評価に基づいた先入観も否めない。

話は変わりますが、今回読んで思ったのは、紙面の構成やテイスターの方達の労力、巻末の広告とかを見ると、つくづく雑誌の発刊を維持するのは大変なんだなと思ってしまった次第、飲んでないワインの評価を見られるのは、この世界で生きる者としてありがたい限りです。

ワイン雑誌(に限らず紙媒体全体)にとっては厳しい時代かもしれませんが、微力ながら応援しております。

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