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金言369:業務責任は担当者が負う

仕事の手離れが極めて早い、京都出身の従業員がいました。この人は受けた仕事は上司の指示通りまたは先例に従って、機械的に迅速に作業を進めました。途中で躊躇うことなく、上司または相手先から何らかの変更が出ない限り、当初決めた内容で結果を出します。仕事の大小、内容にかかわらず予定通りに実施します。決して納期を前倒しすることなく、また納期遅れもしません。仕事に思い入れはなく、こだわりもなく、淡々と社業に励みます。失敗したときは、上司の指示か相手先の要求に失敗の原因があったことなどを論理的に経過説明し、担当責任の無いことを主張します。

例外なく、この人は何回か失敗しましたが、上司も取引先も許容範囲として認めていました。何しろ、指示なり要求した内容どおりに必ず結果を出してくれるので、計算できる安心感があったからです。損失が出た場合の多くは、指示なり要求内容に問題があったことを認めざるを得ないので、上司は結果責任をあいまいに処理していました。当時は、日本経済が上昇波動をだしていましたので、他の仕事で損失は穴埋めすることができ、仕事を短期間に効率よく業務を処理する従業員が会社の利益に貢献できた環境でした。
この会社は、黄色のカードを何枚も発行された結果、市場から退場となりました。

通常、100万円以上の案件とか重要事項に関する意思決定などは、社長決済事項で稟伺いして、承認を受けた後、担当者は業務に着手します。そして、会社に損失を与える失敗となった場合は、担当者が重い責任を負うことになります。仕事の内容は、担当者が一番よく知っていますので、業務の最終責任は担当者にあります。その責任の内容は、想定外の重大な問題が発生または発生する恐れがあることが分かった場合は、迅速にそれを上司、会社、相手先に報告するという責任です。ですから、状況の変化に対応するための報告を怠り、当初の指示通り実施して失敗した場合は、担当者の責任です。
但し、このシステムは社内で通用するローカルルールです。上場企業は、業績に致命的な結果が社外にでたときは、経営者が責任をとることになります。ローカルルールが社外でも通用すると勘違いすると、マスコミにたたかれ、社長交代を要求され、ブランドイメージが傷つき、最悪の場合は廃業に追い込まれてしまいます。

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