金言184:SOLID OR POLITICAL

ビフォアコロナ時代、ヨーロッパの某業界で覇権争いをしていた38歳の経営者は、幹部社員を採用する際にこんなことをいっていました。

「SOLID(信頼できる)か、POLITICAL(政治的)か。」
「当時、幹部社員への協力会社からのプレゼント作戦はPOLITICALでした。CEO以外の幹部社員の多数を味方につけてCEOを解任することが可能でした。日本支社が邪魔な日本のディストリビュータは、本社の購買と直接取引を望みました。そこでCEOを除く多数の幹部に高価な贈り物をしました。一方、日本支社の代表はCEOの家族に高価なプレゼントをしていました。驚くことに、両者とも会社に領収書をまわして、それぞれの会社は贈り物を製品サンプル代として経費処理をしていたようです。」
「派閥抗争、内部闘争、覇権争いですから、情報収集には金がかかり知恵としかけが必要です。SOLIDという評価基準は、愛社精神でもコンプライアンス(法令遵守)でもありません。敵か味方かです。ヨーロッパ本社のCEOは、日本のディストリビュータから日本支社の代表の汚点と弱点のヒアリングをします。日本支社の代表は、ディストリビュータの敵対行為を本社CEOにレポートします。」

日本は経済大国でした。いい時代でした。商材があれば、利益の額の違いだけで、だれがやっても儲かる環境でした。利権争いなので、上流から流れてくるチャンスを拾える場所にだれがいるかがポイントです。したがって、おいしいポジションをめぐって、どろどろの競争が展開されました。

派閥抗争や収賄、不正取引、談合は日常茶飯事で、さまざまな犯罪行為が摘発されないことが強者の証明でした。その筋の大物、シャドーキャビネット、政治家が儲かる仕組みのなかで定位置をキープしていました。こんなことは間違っている、長くはずがないと予感した人たちは、バブル経済崩壊でも、浮かび上がることができませんでした。反主流も傍流も脱サラ組も、みんな一緒に淘汰の波に呑み込まれてしまいました。

バブル崩壊より前、いまから30年も昔の話ですが、当時第一次石油危機に絡んだ談合事件がありました。ところが公取の摘発に対して外資系で無傷の会社があったそうです。その会社の日本支社長は同業他社の会合に出席すると、必ず会合の内容をメモに残し法務にまわしたそうです。もちろん談合はしないと同業者には事前に断っていました。

本来こういう会社の経営者がいう台詞です。
「SOLID(信頼できる)か、POLITICAL(政治的)か。」

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