金言357:冷蔵庫

週末に冷蔵庫が冷えなくなり、とりあえず修理を依頼しました。交換部品代と作業料で17000円になるといわれました。2万円で買い換えはできないため修理を選びました。修理に来てくれた技術者との雑談で、冷蔵庫は15年使えるという意外な事実を知りました。1時間程度の作業中に、最近修理の依頼が多い家庭電化製品、メーカーなどを教えてもらいました。17000円で現場の情報に触れることができ、得した気分を味わいました。

1)冷蔵庫の買換え時期
買って4年では、買換えの必要はないということです。最近の省エネ家電のテレビCMの話をしたところ、実際の省エネ効果は、電気代で年間500円程度といわれサプライズでした。カタログ記載の省エネ数値と実際の数値が違うというのは、クルマのカタログ燃費と実際の燃費の差という経験則を当てはめれば容易に納得できます。それに低価格の冷蔵庫に搭載されている基板は、高機能で高額なタイプに比べるとシンプルです。密閉して冷やすという簡単な機能なので、高度な技術革新の要求はあまりなさそうです。

2)冷蔵庫のバックアップ
冷蔵庫が突然壊れた場合に備えて、もう1台安価な小型冷蔵庫を買うことを検討しているといったら、省エネを考える消費者がすることではないとその技術者に反対されました。電気代だけで年間5000円は余計にかかるからです。

3)冷蔵庫を持たない家
その技術者から聞いた話です。都心の一等地にある大邸宅に住む元華族という由緒正しい家に家電の修理に行った際、大きな台所に冷蔵庫がなかったので、その家の大奥様に理由をうかがったそうです。答えは、「都心に住んでいるので、必要なものを必要なだけその都度手にいれることができるので、冷蔵庫は不要。」とのことでした。

4)中国製品
中華食材のリスクはコロナパンデミックまで発展しさらに高まりましたが、電化製品でも同様なリスクがありそうです。修理の現場の話では、不具合が出た電化製品を開けると、基板に各素子を固定化するための半田に劣悪なものが使われていることがわかるといいます。半田は、鉛と錫を主成分にした合金ですが、意図的に、コスト削減のために錫の含有量を減らしたものを使っているといいます。当然、要求されている品質なり耐久性を満足しないので、使っているうちに不具合の発生率が高くなります。

いままでは、漠然と、中華製品は日本の標準的な技術力や品質管理工程と比較して劣るので、「B級品」と思っていました。その技術者は、人工衛星で人を打ち上げることができる高度な技術力がある国だから、技術水準が低いはずがないといいます。ということは、低労働コストに加えて材料費も削減し、価格競争力のある製品を生産できる技術大国ということになります。つまり、技術や環境が未成熟のためにB級品しか作れないのではなくて、品質を犠牲にして安いモノを出荷しているわけです。

5)昔のフルサイズのアメ車
中国のモノづくりと同じようなことを米国も昔やっていました。地球と月を往復できる先進的な技術を持つ国が、主要産業であるクルマ業界で手を抜いていました。砂漠を走行中でも、エンジン出力が落ちてもタイヤがパンクしても人が住んでいるところまでは何とかたどり着くことができるヘビーデューティな車はつくります。
しかし、どのような環境でも一発でエンジンがかかり、雨漏りもしない、錆びない、故障もほとんどしないという、人工衛星を作る技術があれば初歩的なレベルの品質が、アメ車の標準的品質ではありませんでした。コストがかかるので、やらなかったのです。
昨今、知っているのに知らないふり、賢いのに愚かなふりをして、馬鹿にされてカネを稼ぐ一部のタレントに対して抱く不快感と同様不愉快です。

6)技術力では負けない
日本は「先進的な技術では世界屈指の大国だ」という自負は、ビジネスの世界で負けている言い訳に聞こえます。昔、首位を狙える位置にいた某クルマメーカーが、トップに大差をつけられて負け、その後は下位メーカーに2位の地位も奪われています。それでも「技術力」を優位性として掲げているとしたら、負け犬の遠吠えに聞こえます。昨今ではお題目の技術力も単車メーカーに追い抜かれています。

いただいたサポートはこれからやってくる未知のウイルス感染対策、首都直下型大地震の有事対策費用に充当します。