金言332:漢風ビジネス

大連のソフトウェア会社と業務提携したときの小咄。
現地の人は外国人に聞かれたら自分は漢民族と答えるといい、ほとんどの中国人はそう答えるといっていました。実際には、訛り、顔つき、体格、姓名などから、出身地や民族がわかるようです。経済成長率が毎年10%を超えていた数年間は、漢民族の天下でした。日本は東アジアの島に住む少数民族の日本族として、中華思想に組み込まれかねない勢いが、一時ありました。それが、チベット族の反乱で流れが少し変わったかもしれません。

日本では馴染まない商習慣のひとつに「紹介」があります。中国でのビジネス案件が発生したとき、身近にいる中国人に相談したとします。そうすると、おそらく、彼らは、キーパーソンを紹介するといい返事をしてくれます。自分には中国人の人脈があるといいます。中国は家族主義で親子兄弟親類友人知人血縁地縁学閥などの人脈でビジネスが成立しているから、知り合いの有力者を紹介するというのです。

ただ中国人であるというだけで、キーパーソンを紹介できるとは思えませんが、どうもこれには、紹介料というカラクリがあるようです。案件を最初に持ってきた人に、かならず紹介料を払うのが漢風の商習慣のようです。そして、企業間で案件が成立すると、紹介した人は両社からそれぞれ紹介手数料をもらいます。これは商習慣ですから、取引契約書には明記されません。最初に井戸を掘った人には、井戸水が枯れるまで使用料を支払い続けなければいけません。この辺は、マルチ商法に似ています。最初の取引は代理店を通したが、二回目からは直取引にして代理店に手数料を払わないようにするなどというのは、ご法度なのです。最初に日中国交回復に着手した人物には、中国政府でさえ、その娘さんに対しても礼を尽くします。

資本家は、中期的な損得を衡量すれば漢風ビジネスも容認します。しかし、リスクが高すぎると感じ始めると、流れが変わります。右肩上がりの株価が反転し、調整局面になるようなものです。日本を代表する企業が、自社の将来を左右する重要な製品を国内生産にシフトしています。何かが変わったかもしれません。

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