金言182:温度差

粉飾決算は経営者の責任ですが、就業規則を逸脱して事故を起こした従業員の不始末でさえ経営者が責任をとらなければ世間は納得しないとメディアが煽ります。そして会社はブランドイメージを損ない、顧客を失い、シェア低下業績不振というリスクを負います。社員のミスが原因の事故に、経営者が経営責任をとるのは当然のことです。会社は社員に賠償責任を問うことができないのも、従業員の保護には必要なことです。

しかしながら、雇用者と被雇用者の間には温度差があります。経営者が徹夜で事故の後始末をしている間、一般の従業員は定時の仕事を終え放課後はガス抜きをしています。

ビフォアコロナ時代にこのような例がありました。
某企業が販促イベントを開催。米国からタレントを呼びお得意さまを招待しました。イベントは予想以上の成果をあげました。当日の打ち上げ席上、経営者は上機嫌でイベント企画責任者を評価ました。翌日、実施レポートに記録写真(お得意様とのスナップ写真を含む)を添付する際にトラブルが発覚しました。記録係が撮った写真が使い物にならなかったのです。本人はカメラが壊れていたのが原因で、カメラが悪いと言い訳しました。もちろん、イベント企画責任者はカメラにも係員の小僧にも責任を押し付けるわけにはいきません。会社は管理責任を問います。経営幹部は、米国人タレントとのスナップ写真を楽しみにしていた顧客に謝りにいかなければいけません。経営幹部は会社の提供するサービス・品質に傷がつき顧客満足度低下による業績への影響を最小限に食い止めなければいけません。

この事例では、経営責任を問うほど業績に影響をもたらすことはないので、イベント企画責任者の処罰で落着します。そして、責任者と記録係の温度差がでてきます。事故の原因はカメラです。この記録係員は、乗り合わせた車両が事故を起こしても自分の職場に出社するドライバーのような従業員です。記録係とドライバーの不始末の責任を取るのは、本人たちではないという理屈です。

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