金言278:成敗!

昔の絵本は、勧善懲悪が徹底していました。
悪者は、必ず成敗されました。いまでは、悪者と善意の被害者は最後に仲良くなって「めでたし、めでたし」となります。昔は、鬼が悪さをしたら、抹殺または追放しました。今は、鬼が悪さをしても、鬼が謝って執行猶予となります。清濁あわせ呑むしぶとい政治家たちの落とし処のようなものです。

公共放送の社会派ドラマが似たような展開をします。あたかも客観的に、問題提起をするのは得意ですが、その後が続きません。結局現状をなるべく変更しないですむように、当事者の気持ちの持ち方を変えることで「一件落着、まずはめでたし」といったところです。
民放の暴れん坊将軍は、「余の顔を見忘れたか」のあとは、必ず腹を切れと極刑を宣告し、幕臣が歯向かうと側近に成敗させます。水戸のご老公様は、悪者に体罰は与えますが、裁きません。執行責任者を厳重注意し、現状の支配体制を維持できるような方向で処理できるよう配慮します。

昨今、お役所の役人の飲酒運転による交通事故がなくならないのは、悪さをした役人の首を行政当局が切り落とさないからです。民間企業なら、就業規則違反、会社の名誉を傷つけたという程度の理由で懲戒免職にしてしまいます。公務員が、身分保障を理由に解雇を免れるというのは世の中の流れに遅れていますが、強権をもって部下を成敗する徳川将軍家のような行政当局の責任者はいません。民主化といいかえます。

それでも、役人天国は過去のものになりつつあります。昔は当然みんなで楽しめた特権が激減しています。民間サラリーマンの「接待・会議費」と同じ運命です。区役所で市民が窓口で声を荒げると、カウンターに立つ公務員は後ろの同僚や上司の視線を感じます。身内の公務員の処分には大義名分が必要です。市民を怒らせると、自分の経歴に傷がつくことを心配する前に、目先の配置転換を恐れます。たとえ窓口で爆発しなくても、本庁あてに市民からEメールが送られると、現場で調整なり言い訳ができず、市民を怒らせた担当者は、本店の意向で配置転換となるケースが増えると予想されます。

税金を払う者と、徴収する税金で暮らしている役人の力関係が少しずつ変わってきました。それでもまだ社会保険庁の現場では目の前に迫っている危機を無視して居眠りしている人がいきのこっているみたいです。社会保険事務所に出向くと、粗末な折りたたみ椅子に座った市民の話を立派な肘掛椅子に座った役人が聞いている光景がまだありそうです。
市民から預かった金をハンドリングしているだけの役人の一部は、あたかも自分たちの金を住民に支給していると錯覚しているようです。このようなことがいつまでも続くわけがありません。物を言わなかった国民は、これからはSNSを活用して、明確な意思表示をし始めるかもしれません。役所の現場責任者の成敗が日常となる社会が出現するかもしれません。

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