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コメダ珈琲と突発性発疹。

コメダ珈琲に入り、アイスのミルクコーヒーを飲みながらこの文章を書いている。カフェオレでも、カフェラテでもない、コメダのミルクコーヒーが飲みたくなる時が私にはある。

「甘みを入れますか?」という店員さんの問いに「はへ?」と間抜けに返してしまったのは許してほしい。ガムシロップのことを甘みというのは初めて聞いたのだ。だってホットの季節にしか来たことがなかったから。なんせ私はコメダに来るのは4回目程度のまだまだビギナーなのである。

薄まっているコーヒーに、お情け程度の牛乳をいれたのではない、わたしのちいさなころから思い描いていたミルクコーヒーをコメダは提供してくれる。神である。

昨日「宝石の国むふふ♡」なんておもって嬉しくなっていたのに、帰ってきてお風呂に入っている息子に娘が言っ
た「ねーーーーーけーちゃん、ぶつぶつなんだけどぉ」という言葉に、不安の底に叩き落とされて時計を見るとかかりつけの小児科は閉まる時間で、私の言っているそこそこ適当な病院にパジャマの息子を抱えて走り(正確には車で走り)、「うーんよくわからないなぁ、もしかさぶたができたら水疱瘡だとおもうのでまたつれてきて、とりあえずかゆみどめのおくすりだしておきますねー」と言ってくれた優しげなお医者さんよ。かゆみないっていってるじゃんか。なんなの、このぶつぶつは。

「かゆみないっていってるんですけど、塗る必要あります?」「うーん、ないですねぇ」と薬剤師さんと話して無用な薬をもらって帰り、今朝。

広がっている、みごとに発疹が広がり顔まで赤い。何これ溶連菌?にしてはかゆくない、麻疹?にしては口腔症状がない、風疹?それは先に発疹が出て熱か。まさか川崎病?

とりあえず症状悪化しているのとどことなく不機嫌な息子を連れて、経過を知っている小児科に朝イチで行くことに。
この時「送別会にいくので遅くなる、朝も忙しい」という夫をこてんぱんにした。もう八つ当たりしなければやっていられないのだ。八つ当たりだけで済んで良いと思ってくれ、保護者としての役割のほぼ八割をいまから私がになうんだから、それくらいさせてくれ!!と思った。幼稚園でイクメンと夫はよばれているけれど、こういうとき一切休み取らないからな、料理なんてつくらないからな、片腹痛いわ。

いつもは「けーくんおやすみなら、わたしも休む!」と言いがちな娘だけれど、さすがにぶつぶつの出た弟に「わー、、びょーいん、がんばってね」といいながらさっさと登校準備をしてくれたので学校に送り出し、息子を連れて病院に。診察室の季節ごとに変わる折り紙の壁飾り、今はチューリップにところどころピクミンが隠れている。かわいい。けど不安、先生まだ。

「あー、喉も綺麗、口の中も大丈夫、うんうん、突発性発疹だね。やったことある?あ、ないよね、溶連菌の発疹とは違うし、典型的な突発でいいと思います。五歳でもねーたまに、あるんだよねー」

メガネをかけて三つの診察室を行き来するいつも忙しげな先生はそう言った。まじか、、、、と私の時は一瞬止まりかけたけれど気を取り直した。
「すみません、突発自体わたしもはじめてなんですけど、五歳でなるんですか!?どうしたら、、?」
娘も息子も、赤子をもつお母さんたちに都市伝説のようにおそれられているその洗礼をくぐらずに来てしまったのである。

「あ、治ってるってことなんでね、薬はないです。発疹も徐々に消えていくと思いますよ。四歳ではたまにあるけど、五歳はねーなかなか珍しいね!」

ほっとしたと同時に、どへーっと疲れがでた。なんなんこの高熱、とか、園長先生も驚くぐったりぷりだったとか、全身にひろがりまくる発疹とか、生後一週間で謎の発熱で入院してから今まで、なまじ溶連菌もりんご病も手足口病も経験してきて、旅先では高熱でぶったおれ、コロナもインフルも全部拾ってくる息子の母として、ついにこいつ、やばい病気を拾ってしまったのではないかしらん。。とかなり不安になっていたことに気づいた。いや、突発性発疹ももういいじゃん拾わんでくれ息子よ。石でも木のみでもなんでも拾ってくるコンプリート癖、せめて病気は拾わんでいい。直してくれ。

というわけで、「突発性発疹でした、ご心配おかけしました」「ランクアップです」という王様ランキングのLINEスタンプをポンと押しながら、家族友人への連絡をすませ、コメダ珈琲でちゅーちゅーアイスミルクコーヒーを飲んでいるんである。モーニングについてくるローブパンが美味しすぎてひっくり返りそうになった。私の食欲もようやく回復したようである。心配は食欲を削ぎにくるよね。

「母は強し」ってそんなわけなくて、多かれ少なかれどんな母も(これは生物上の母というより、子を主担当として育てている養育者という役割としての母、雌でなくとも構わないと思う)大なり小なりこういう「これはやばいんじゃない?」「どう対応するなにが最適解?」という目の前の対象の観察と脳内会議や情報収集を繰り返して、現実的に病院の予約を入れてそこに間に合うように子供を連れて行き、他者と会話を繰り返し、自分の分なら忘れかねない面倒な薬をきちんと毎回毎回飲ませ、消化に良い食事を考え作り与え、清潔な部屋や布団で眠れるように手を尽くし、時折「アニメ見過ぎ!」とか「喧嘩するなこらーーー」とか叱って休ませ、みたいなことを繰り返して育てていくうちに、自分も気づいたら肝っ玉かあちゃん、みたいになってしまっているのだと思う。

話のオチがわからなくなってしまったけれど、五歳でも突発性発疹になるやつはなる。そしてコメダ珈琲のミルクコーヒーはアイスでも美味しいって話でした。




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