ソロ・アルパインクライミング1年目まとめ
去年からソロクライミングを始め、2023年はソロでマルチ・アルパインクライミングへと行くようになった。
一つの目安として目標としていた北岳バットレスや当初は目標には入れてなかったチンネ左稜線にも行けて、ほんの1年前には考えられないくらいに世界が広がったシーズンとなった。
この1年の経緯を振り返ってみる。
春~夏シーズン
ソロでのマルチピッチの練習は昨秋から初め、広沢寺で何度かシステムの確認を行った。春にも広沢寺で再確認をした後、これまでリード&フォローで行ったことのあるマルチにソロで行った。
既知のルートをソロシステムで
城山 バトルランナー&西南カンテ
広沢寺でシステムの理論は理解していたが、それを何ピッチも繰り返す上でのロープの扱いなど、実践での理解が増した。
中でもリード&フォローに比べて思った以上に時間がかかることやマルチにおける体力の重要性を思い知った。登り返しには体力を要し、休みなく上り続けるのは難しい。
一方で、登りきったときの達成感・満足感が非常に高く、マルチはソロで行きたいな、と思うようになっていった。
初見・NPルートへ
続いては初見でNP(ナチュラルプロテクション)のルートへ。NP自体、去年くらいからやり始めたばかりでNPルートはリード&フォローでもあまり行ったことがなかったので、当初は小川山の初級ルートなど初見のボルトルートを挟むことを考えていたが、そこまでは必要ないと思い直し、登攀的には余裕のあるグレードを選んで行った。
この過程で、それまで1セット、3番までしか持ってなかったカムを2セット+4,5,6番まで揃えた。
カムが増えると当然荷物の重量が増え、それまでは「荷物は極力軽くする」ことを考えていたが、この考えは変更せざるを得なくなった。
ここで行ったルートも有名ルートなのでそれなりに人は入っているようだが、城山や獅子岩のようにボルトの打ってある人気のスポートルートと比べれば少なく、3回とも登攀中は誰にも合うことはなかった。
もともと山に行くのは自然に浸りたいというのが根底にあって、自然の中に一人きりというのが理想なので、NP志向がより強まった。
そういえば、この時「天狗山ダイレクト」→「ジョイフルモーメント」と続けて行ったのはルート開拓者が「サトウユウスケ」繋がりという小ネタですw ※佐藤勇介さんと佐藤裕介さんは別人です
アルパインへ
ソロでのマルチシステム、また、NPでの安全確保にも慣れたので、いよいよ北岳バットレスへ、と思っていたのだが、なかなか天候などでいいタイミングがなく、一日でいける八ヶ岳の大同心雲稜ルートへ。
日帰りだとアプローチもなかなか遠く、重い荷物を背負っての歩きも含めてのアルパイン、といういい経験ができた。
夏~秋シーズン
春シーズンの経験を経て、システム等に対する不安はなくなり、北岳バットレスはもはや目標とするには物足りなく感じるようになっていたので、日本国内におけるアルパインの本場として、穂高か劔岳に行こうと思い、穂高は昨年北穂東陵に行ったので劔へと目標を定めた。
北岳と順番が変わってしまったが、好天が続くタイミングで劔へ。
チンネ左稜線に関しては事前知識はほとんどなく、トポだけを頼りに行ったため取り付きを間違えたり苦労もあったが、おかげでほぼオンサイトで行くことができた。
情報多寡な現代において、あえて情報を遮断するのは難しい。また、一般的にはアルパインには経験者と行くことが多く、有名ルートのオンサイトができるのはソロならではだったと思う。
また、この時背負った荷物は25kg弱。これまで縦走登山では15kgを目安に調整していたので20kgオーバーを背負ってどれくらい歩けるのかというのが自分でも未知数だったので、この点でも実績を作れて良かった。
本来は八ツ峰のフェース郡の登攀もしたかったのだけど、アプローチ問題などありチンネ左稜線のみとなったが、そういったちょっとしたトラブルや想定外も含め、充実の山行だった。
チンネでの満足度が大きかったためか、その後行った北岳バットレスは天気が悪く眺望がなかったことや、後続パーティーがいて貸し切りではなかったこともあって、いまいち浸り切れなかったのは否めない。
まとめ
ソロを始める前までは、マルチにはパートナーが居ないと行けないと思っていたし、初めたばかりの頃はソロだと時間がかかりすぎて、アルパインに行くのは難しいと思っていた。
それがこの1年でソロの楽しさを知り、没頭していき、今では狙ったルートはソロで行きたいと思うようになった。
私自身、あれこれやりたいタイプで、縦走登山もできればやりたいのだが、時間との兼ね合いですべてをできるわけではない。
山歩きもできて、クライミングもでき、どっぷりと山に浸れるアルパインクライミングはまさに最高の山遊びだ。
自分のスキルとアルパインクライミングの難易度のレベル感はだいぶ掴めた。
現状でまだまだ行けるところはあるが、更に活動のフィールドを広げていくには登攀力がネックになる未来が見えてきたので、当面は登攀力を上げて来シーズンに備えていきたい。
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