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ドラマ『ER』にあこがれて救急の世界へ。現在、救急専門医。救急医療,集中治療のおもしろ…

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ドラマ『ER』にあこがれて救急の世界へ。現在、救急専門医。救急医療,集中治療のおもしろさを日々かみしめながら仕事にあたっている。またドクターヘリのフライトドクターとして,現場でのプレホスピタルケアも行う。

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  • これだからやめられない!緊急救命室 Vol.3

    これだからやめられない!緊急救命室 Vol.3

  • 上級医も知らない臨床の裏ワザ・トリビア!

    あまりしられていない臨床の裏ワザや,慣習的なプラクティスをひっくり返すようなネタを集めました!研修医はもちろん,後期研修医以降の医師でも知らないことがきっとあるはず!

  • これだからやめられない!緊急救命室 Vol.2

    これだからやめられない!緊急救命室の第二弾です。

  • エビデンスに基づいた COVID-19

    エビデンスに基づいた COVID-19 の情報を集めています。自己主張だけのために荒らしにくる人がいるので,有料設定にしました。

  • これだからやめられない!緊急救命室 Vol.1

    エピソードにあふれた救急のエピソードを集めました。

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現場の「暴力」は誰が解決するのか

教育や医療の現場に暴力が持ち込まれることがよくある。そのたびに,これまで多かれ少なかれ傷つく人が出てきた。なぜこのようなことが繰り返されるのか。どうすればこのようなことが防げるのか。 すきあらば暴力は持ち込まれる最近こんなニュースがあった。 宮城県登米市の認定こども園に刃物を持った男が侵入した事件である。幸いにも園児や職員に怪我はなかったとのことだが,こういった事件は後をたたない。 子供を狙った事件で最悪の事件といえば,附属池田小事件である。この事件では,同校の児童 8

    • ノルアドレナリン枯渇時代を切り抜けるアイディア

      世間ではCOVID-19を感染症法の5類に引き下げようという話題が出て,なんだがコロナ禍も終わりのような錯覚を受けるが,医療業界ではむしろ状況は深刻化している。 医療逼迫はさまざまな形で影響があり,救急集中治療分野では必須医薬品とも言えるノルアドレナリンの出荷制限の事態に陥っている。 ノルアドレナリンは代表的な昇圧薬の一つで,ショックを相手にするわれわれの業界ではなくてはならない医薬品だ。特に敗血症性ショック( Septic shock )では,輸液に反応しない場合の昇圧

      • 急性アシドーシスとの闘い

        救急では様々な場面で pH が酸性に傾いたアシドーシスに出くわす。 ほとんどの場面でアシドーシスはわれわれの攻撃目標ではない。言い換えれば,それはわれわれが倒すべき「病因」の本体ではなく,あくまで仮の姿なのだ。 しかし,「ほとんどの場面」でそうではあるが,一部では介入すべき対象になることがある。この見極めが一つポイントになる。 手を出すべきではないアシドーシス医師国家試験の勉強をしていると,「治療の選択肢に「重炭酸(メイロン®)」が出てきたらそれは除外する」という処世術

        • 先生!輸血でカルシウム補正しなくていいんですか?

          研修医「先生,輸血したらカルシウム補正しなくていいんですか?前にいた病院では輸血◯単位につきカルシウム製剤をルーチンで投与していました」 ワイ「おやおやおや、素晴らしい。いい質問ですね」 できる研修医からの質問をいただいたので今日はこのトピックスを見ていきましょう。この疑問は自分もかつて抱いたことのあるものでした。 なぜ輸血で低カルシウム血症がおこるのかそもそもなぜ輸血をすると低カルシウム血症になるのでしょうか。輸血製剤にはキレート剤のクエン酸が入っています。このクエン

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          解熱薬飲んでもアウトカム変わらないって言ったやつ,出てこいよぉぉ!!

          先日,COVID-19 のワクチン 4 回目を接種しました。もう 4 回目かあ,もうそろそろワクチン慣れして欲しいなあ〜というところなのですが,自分は毎回副反応で発熱しています。今回も接種翌日はほとんど使いものにならないくらいの症状でした。 一方,世の中に目を向けてみると実際のコロナ感染も相まって代表的な解熱薬のアセトアミノフェンが枯渇し,別系統の解熱薬のロキソプロフェンも出荷制限がかかるほど解熱薬の使用量が爆増しています。 そこで,今回はこの「発熱」について患者と医者の

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          SNSに見るプレゼンテーションの学び

          あらゆる職種でプレゼンテーション能力が問われるこの時代。どうやって勉強していけば良いのだろう?今日は身近な SNS を題材にプレゼンテーションのヒントを探ってみた。 聴衆を 3 つに分けるプレゼンテーションをする際には,聴衆がどれだけ自分に食いついているかで 3 つのグループに分ける。 レベル1 聴きたくて集まっている レベル2 興味はあるが根気を伴う レベル3 無理やり集められた この 3 つだ。 レベル1 聴きたくて集まっている聴衆この聴衆相手のプレゼンテーション

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          初診患者を救急外来で看取る難しさ

          症例(架空): 呼吸不全からの意識障害で家族から救急要請となった症例。当院の受診歴はない。保存的な加療では改善が見られず,人工呼吸管理でないと命の危険があった。 しかし搬送時から家族は何もしてくれるなとの訴えがあった。家族が言うには患者は呼吸器の持病があり,以前から人工呼吸器の装着は希望していなかったと。しかし,院内にはそれを証明する客観的記録は残っていない。かかりつけの開業医は救急車を呼ぶようにとだけ言って,既に連絡がつかない時間帯になっていた。 さてこのような症例が救急

          初診患者を救急外来で看取る難しさ

          エビデンスやガイドラインに囚われてはいけないのか?

          EBM が当たり前になってきたこの時代に,押して返す波のようなこんな意見を目にすることがある。この意見は正しいのだろうか。 半分正しくて,半分間違い まず正しい部分について。 なにかの事象について,その前後関係や因果関係を確定しようとすることは非常に難しく,特に医療のような数多ある要素が複雑にからむ状況では顕著だ。 このような前提において,多くの研究では複雑に絡み合った要素をなるべく簡素化して因果関係を探る手法がとられる。そのような研究の中で,一見因果関係があるように

          エビデンスやガイドラインに囚われてはいけないのか?

          なぜ医者は失敗を認めないのか

          医者になって思うことのは,「医者ってなかなか失敗を認めないなあ」ということ。院内で重大な結果に繋がりかねない出来事や状況について報告するインシデントレポートという制度がある。これについて医師の報告率はいつも低い。これはなぜなのだろうか。 今回,『失敗の科学』という本の紹介も兼ねて記事を書いた。失敗を有効活用して極限まで重大インシデントを減らせる組織もあれば,隠蔽して有効活用できない組織もある。それらの構造的な違いや問題について,科学的に迫った良書だ。 この本はAmazon

          なぜ医者は失敗を認めないのか

          やりがい搾取に対抗! 医療従事者に必須のマネーリテラシー

          やっとの思いで大学での専門教育を終えて社会人になった。ひとつでも落とせば留年,というカイジのような修羅場をくぐり抜けてきてみんな医療者になったはず。だがしかし,あんなに苦労して医療者になっても待ち受けているのはまたもやカイジの世界だ。やりがい搾取,自己研鑽という名の奴隷労働,「患者第一」の美辞麗句の元に医療従事者はボロ雑巾のように扱われるのが今の日本の医療だ。 そんなカイジや北斗の拳の世紀末世界を生き抜くために,われわれは「医療」という専門知識とは別に,「マネーリテラシー」

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          まだ花粉症で消耗してるの?

          自分も花粉症なのだが,実は自分のセルフメディケーションが間違いだらけだったことがわかった。あらためてエビデンスを調べ直して実践したら,驚くほどコントロール良好だったのでここにご紹介する。 とくに花粉症の「飲み薬」だけで頑張ってるひとはいませんか?そういうヒトにぜひ読んでいただきたい。 ※重症の方は無理せず医療機関を受診しましょう。 ※本記事は成人男性を念頭に置いて記述しています。 ※本記事は特定の商品の購入を薦めているわけではありません。商品名ではなく成分にもとづいてOT

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          伝染性単核球症でペニシリン系は禁忌?

          もはや「キスをすると子供ができる」というファンタジーを信じる大人はいないと思うが,「キスでうつる病気」はある。それが伝染性単核球症という感染症だ。 病歴に「接吻歴」?熱が出て喉が痛くなる。いわゆる急性咽頭炎というジャンルの病気だが,いくつか有名な病因がある。ひとつは Centor スコアで有名な溶連菌感染症だ。溶連菌感染症は細菌感染症のために激しい炎症反応を呈し,症状も比較的おおきい。一方でペニシリン系が著効するため特定できれば対抗する手段がある数少ない感染症だ。 もう一

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          ネット環境に無知な不動産業界

          年度末が迫ってきました。引っ越しシーズンです。 新たな新居をもとめてこの時期は物件探しが活発化します。 いまやインターネット環境は水,電気に並ぶ重要インフラと言えます。さらにコロナ禍でテレワークが加速し,ネットの重要性は増すばかりです。しかし不動産業界はあまりにインターネットの知識が不足しており,まともな物件探しも困難な状況です。「高速インターネット」や「光ファイバー」と書かれている一見良さそうな物件であっても実態は VDSL 方式での配線だったりとほとんど詐欺みたいな物

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          ”いきなり!検査” がなぜイマイチなのか 〜モンティ・ホール問題を例に〜

          コロナ禍は医師の思考にも悪影響を与えている。救急外来は COVID-19 ばかり。しかも疑わしきは全例検査を実施しているところも少なくない。いわゆる思考停止診療をせざるを得ない状況なのだ。 これは SARS-CoV-2 のウイルスとしての特徴が一定せず,急激な変異を繰り返すことで COVID-19 の疾患の質も一定しないからだ。したがってどうしても安全策を取らざるを得ず,絨毯爆撃をせざるを得ないのだ。しかし「発熱 = COVID-19 検査」という思考停止はその後の診療への

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          検査せずに症状だけで診断していいのか

          オミクロン株が猛威を奮っている。コロナ禍まっただ中だ。今回の株は強力な感染力で感染者を爆発的に増やしている。 そんななか,検査が追いつかずこんな記事が出た。 基礎疾患のない若者には,検査をせずに臨床症状だけで診断を下せるよう専門家有識者らが提案したというのだ。はたしてこの提案は妥当なのだろうか?

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          警察に証拠提供を求められたら

          病院にはいろいろなヒトが患者さんとなってやってくる。 病気や自分の不注意で怪我をしたヒト,動物に噛まれたヒト,交通事故にあったヒト… なかには刑事事件の被疑者になってしまった患者さんを診ることもあります。 たとえば交通事故で意識障害の鑑別のために採取した血中エタノール濃度。後にこれを「飲酒運転の証拠」として提出を求められることがあるかも知れません。他害事例などでは,血中薬物濃度や尿中薬物検査など標的にされます。 今回は自分の担当した患者さんが刑事事件の被疑者となり,警

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