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帰ってきた、敗者が主役の高校生クイズ

高校生クイズが9/10 に放送された。リアルタイムでは、視聴しなかった。高校生の頃は、3年連続で地区予選に参加し、西武ドームに行っていた。地区予選の決勝ですら、夢のまた夢であったが、毎年参加してしまうほど楽しかった。

高校を卒業してからも高校生クイズを毎年見ていたが、次第に熱が冷めていった。この要因は、出題されるクイズのレベルが変わったからや、自分は高校生ではなくなったからではない。番組の作り手の姿勢、TV局のスタッフなのか、スポンサーなのかわからないが、高校生クイズという番組に何者かが込める魂、そこに対する違和感が抑えきれなかった。

高校生クイズと言えば、アメリカ横断ウルトラクイズの弟分の番組で、知力・体力・チームワーク (時の運) がフレーズの、三人一組で競い合うクイズ番組である。夏休みの短い期間で織りなす、高校生たちのクイズバトル。涙あり、笑いあり、喜びあり、悲しみあり、熱さあり、出場者は日本一を目指すが、番組が描いていたのは日本一の高校生というよりは、その瞬間、その瞬間、問題にひたむきにぶつかりあう高校生のパワー。その映像に、中学生の自分は夢中になり、高校生になったら、絶対参加しようと決意するほどであった。

ある頃の高校生クイズから、偏差値であったり、東大合格者数が、高校生の表情よりも先に映し出された。また、アメリカでクイズするようになっても、ゲストの芸能人の場面を優先したり、華がありそうなチームの高校生ばかりが映し出されていった。クイズが簡単になろうが、難しくなろうが、運の比重が高まろうが、高校生のパワーを、敗者も、勝者も分け隔てなく伝えられていれば、高校生クイズだと思う。アメリカ横断ウルトラクイズに習えば、若干敗者の比重が高いかもしれない。クイズの形式がどうこうというより、ある頃の高校生クイズは、参加者の高校生を分け隔てなく伝えきられていなかった。それが、私が高校生クイズを視聴することから離れてしまった要因であった。

今年の第44回高校生クイズは、視聴する予定はなかった。ただ、放送後にとある信頼できる所から、今回の高校生クイズはかなり良い、高校生たちをかなり描けているという情報を目にした。なので視聴した。非常に良かった。

いろいろよかったところはあるが、敗者のチームの高校生たちを丁寧に伝えていたところは特によかった。2回戦の○×どろんこクイズは、今世紀の中でも、屈指の名場面ではなかろうか。サドンデスに進んだ高校生たちの、不安、緊張、悔しさなどをしっかり映し、最後一チームの喜びを伝えきる。近年の高校生クイズには見られなかった、丁寧な描写だった。

敗者復活戦も、しっかり時間を割き、かつ大掛かりな舞台で対決していたのも、とてもよかった。今回の製作チームは、勝者の高校生チームだけを前面に押すことなく、勝ちも、負けも、喜びも、悲しみも包み込みながら、高校生を、高校生クイズを届けてくれた。

絶賛しているような内容だが、もっと良くするためのポイントもまだまだあるようには感じた。今年、これだけの出来の番組を届けてくれたので、是非来年はよりパワーアップした番組を届けてくれるのではと、久しぶりに高校生クイズにワクワクしてしまう。来年をぜひ待ちたい。

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