綻び

負の求心力は本当に凄い。今がどれほど幸せでも、不幸の因子ばかり探そうとしてしまう。指先のささくれを探すように幸福の綻びを探そうとする。
ひとりでいるところ、寂しくしているところ、ぞんざいに扱われているところ、そのあと泣いているところ、なんやかんやでまた戻るところ。

幸せは、手と親密だと勝手に思っている。抱きしめること、撫でること、あるいは喋ることまで。
指先が小さな痛みでも鋭く感じてしまうのは、それほど人にとって手が重要であるからだ。

だから、幸福の綻びが気になってしまうのは、それほど今の幸せが僕にとって重要だからなのかもしれない。

そんな小さな幸せを守るために、普通に就職している自分が居る。あの日の夢はどこに行っちゃったんだろう。続きはまた今度。



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