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好好爺に頼まれて

 その土地の『草むしりや定期的な掃除をする』という条件で土地所有者より無償貸与された自治会が、子どもの遊び場として利用している空き地がある。 

 その空き地の片隅にかなり前からナンバープレートのついた軽自動車が放置されており、その車を『撤去する依頼』が弊社にあった。

     車の持ち主(名義人)は近所で農家を営む好好爺のAさんの娘さんなので自治会は、Aさんに引取りの依頼をしたが「持ち主は娘で、その娘は遠方におり連絡が取れない」とおっとりと断られたと言う。

     しかし、自治会としては子どもが遊ぶために好意で借りている土地。

 そこで「子どもがケガをしても困るから、何年も放置されたままで連絡が取れないのなら警察に届けるがいいか?」といわれたAさんが『渋々』弊社に車の引取りと廃車・廃棄手続きを依頼してきた、というもの。

  軽自動車を廃車・廃棄するためとはいえ、所有者・使用者本人ではない人からの依頼なので事業者は、自社で作った『引取依頼書』をAさんに渡し「娘さんから署名捺印をもらって必要書類と一緒に持ってきてほしい」と頼んだ。

 (さすがに軽自動車は認印でどうにでもなるとは思っていない)

 事業者は、その引取依頼書と必要書類及び廃車費用(抹消登録にかかる手数料)を受け取り、軽自動車の廃車手続きをするために車を引き揚げた。

 (この時点ではまだ廃車にしていない)

     放置車両は窓が少し開いたままであり、放置期間が長かったからか車内に雑草が生えていた。エンジンなどかかるはずもなく、タイヤ空気もかなり抜けていた。

    エンジンルーム内には蜘蛛の巣などとともにいろんなものが散乱し、錆びも酷く掃除くらいで再生させるのは不可能な状態だった。

  したがって廃車手続き後は、即廃棄という予定にしてその旨、娘さん本人に初めて連絡を入れた(引取依頼書を見た時点で確認の電話をすればいいのに、と後で思った)のだが、ここで初めて今までAさんの娘さんだと思っていた人が、実はAさんの息子の嫁(別居中で離婚調停中)だとわかった。

  『遠方にいる』=『実家に帰っている』ということで、Aさんから連絡しにくかったから引き取りを渋っていたというのが本当のところだったようだ。

  それでも書類を揃えてくれたので廃車手続きは進められる、そう思って車を保管していたら「俺の車をどこにやった?」と突然、男の人の声で電話が入った。

  この時は誰かわからなかったが、車がなくなっていることを知ったこの男の人が、車の所有者宅(離婚調停中の嫁の家)に連絡し、弊社が持ち帰ったことを聞き出して電話してきたようだ。

 声の主は、話の流れから車の名義人である義理の娘のご主人(Aさんの息子)だということがわかった。

  しかし、私(事業者)は所有者・使用者からの依頼で車を引き揚げ、その依頼書も書面でもらっている。

    自治会の苦情などもあり引き上げたのだ、と説明したが、その人は「俺はその車の占有者。占有者の(軽自動車は扱いが動産)許可なく車を持ち去ったのだから御社は窃盗犯になる」というようなことを言う。

  所有者や使用者ならわかるが『占有者』というのは聞きなれない。

    そこで事業者が聞き返そうとしたら、突然「自動車屋が占有権を知らんのか!」と一括された。

 「占有離脱物横領罪及び窃盗で警察に行く!」というようなことも言い始めたが何を言っているのか意味がわからない(と事業者は言っていた)。

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