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マネジャーの最も大切な仕事レビュー

チームのマネジメントに苦労しているマネージャはもちろん、マネージャ、チームやプロジェクトに不満を持っているメンバーの方にも必見の書籍を紹介したいと思います。
本書の分析の面白いところは3業界、7企業、26チームから12,000の日記を集めて分析を行い、チームのパフォーマンスと相関関係の高いポイントをまとめて解説しているという点です。そのためメンバーの方でもマネージャに働きかけることによって状況を改善できる可能性があります。ですから非マネージャであっても読むべき1冊だと思いました。
それでは解説していきます。

インナーワークライフ

先ずは本書におけるキーワード『インナーワークライフ』を説明します。
これは『感情』、『認識』、『モチベーション』を合わせた概念で、マネージャがメンバーのこれらをポジティブな状態にすることができればチームのパフォーマンスが高まるとしています。
感情は快・不快で日によってポジティブとネガティブが入れ替わる変数です。仕事とは関係なくネガティブに振れることもあります。
認識は職場であった出来事をどのように捉えるかです。勤続年数やスキルセットによって捉え方が変わります。短期/長期といった時間軸の違いや、部や会社といった視座の違いも認識の違いの要因となります。
モチベーションは端的に言うと「やる気スイッチ」です。これは昇進や昇給といった外発的動機付け、好きとかやりがいがあるといった内発的動機付け、仲間意識や組織貢献といった利他的動機付けの3つのスイッチからなります。
ではこれら『感情』、『認識』、『モチベーション』はどうすれば高められるのでしょうか。

っとその前に

ところでパフォーマンスの高低はどの様に図っているのでしょうか。
本書では4つの尺度を使っています。
『創造性』、『生産性』、『同僚性』、『コミットメント』です。
この説明は割愛します。

最も重要な点は『進捗』

本書では兎にも角にも『進捗』だとしています。確かに仕事に限らずダイエットや学習においても『進捗』を感じると良い感情を抱き、自分には能力があると認識し、続けようというモチベーションが高まります。なのでこの点は納得できます。
しかし仕事において誰もが毎日のように『進捗』があったと思えるでしょうか。仕事においては他社との利害関係があるため、それが進捗を妨げる『障害』としてしばしば私たちの前に立ち塞がります。つまりマネージャの仕事はこれらの『障害』を取り除き、メンバーの『進捗』を助けることなのです。
また、本書では仕事の与え方にも言及しています。一連の仕事の中でそのフィードバックまで得られるようにすることです。システム開発で例えるとコーディングとテストまでをセットにするのです。もしあるプログラマが書いたコードのテストを翌日に他者行うスキームだった場合、プログラマが進捗を感じるのは一日遅れとなってしまいます。

触媒ファクターと栄養ファクター

では具体的にどの様にメンバーの『進捗』を助ければよいのかを解説していきます。
本書では触媒と栄養という言葉で説明しています。
触媒ファクターは仕事をサポートする出来事としています。目的と裁量権を与え、必要であればリソースの提供やスケジュールの調整を行います。これらが触媒となって彼らのパフォーマンスが上がり、結果的に『進捗』を助けることに繋がります。一方でその逆が阻害ファクターです。目的も裁量権も与えず、議論にも応じないマネージャの下で仕事をした経験のある人にはよく分かると思います。
栄養ファクターは人をサポートする出来事としています。他者を尊重し、励まし、サポートすることです。自分のアイデアに興味を持ってもらえたり、ミスをしても叱責されないという安心感があれば、人は本来の能力を発揮できるからです。その逆が毒素ファクターで常に話しかけづらい雰囲気を作り、些細なミスを痛烈に批判するマネージャの下では委縮して本来の能力は発揮できません。

まとめ

長々と書いてしまいましたが要点は以下です。
マネージャがすべき仕事とは、メンバーに『触媒ファクター』と『栄養ファクター』を与えて『進捗』を助け、彼らの『インナーワークライフ』をポジティブな状態に保つことです。
その結果、チームは実力以上のパフォーマンスを発揮して素晴らしい結果を残すでしょう。
具体的な触媒ファクターと栄養ファクターの使い方や、少しだけ触れた阻害ファクターや毒素ファクターの解説は本書で。

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