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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第79わ「珈琲党(コーヒー・パーティ)」

(承前)

血の気が引く感覚。我が妹まで❝ゲーム❞に巻き込まれたら。俺の血液に価値がある以上、俺の親族に累が及ぶのは当然の帰結であった。人質にも食料にもなり得るのだから。

「そこまで思いつめなくても。そもそもニンゲンは古来より我々の家畜であるからして……いえ、何でもありません。ですから!ね?ダンナと私と選手としての名前、お願いしますね?本選が始まるまでに決めなければゲームマスターに不本意な名前を押し付けられることになりますから

不本意な名前?❝うんこ❞とか❝ちんちん❞とか?極限状況で、そんな名前で呼び合う羽目になったらと思うとぞっとしない。真剣に俺と相棒が名乗るべき名前を考えなければいけないようだ。……それにしてもコーヒーが飲みたくなった。正しい手順で淹れられたものでなくていい。むしろ缶コーヒーがいい。すぐ飲みたい。カフェインと糖分が摂りたい。そこまで考えて天啓が降りた。俺は❝ボス❞。相棒は❝ワンダ❞。

(続く)

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