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[読書の記録]二村ヒトシ『恋とセックスで幸せになる秘密』(2013-09-08読了)

モテない男が読むべき書籍No.1、『すべてはモテるためである』の著者で、AV監督の二村ヒトシ氏が、女性に向けて書いたLove論である。

Love論と言いつつもモテテク指南などでは決してなく、結局は広い意味での生き方論に行きついているのは、『すべモテ』と同じ。

良い恋愛をすること、良い恋愛を通じて幸せになるためのキーは、「自己肯定」であるそうだ。

まずは自分をあるがままに認めてあげないと、相手のことも認めてあげられない、ということらしい。

レヴィナスも、大浦先生も、ルーマンも、恋愛のエッセンスは、社会とか文化とか家族とかそういうしがらみを抜きにして相手と出会うこと、向き合うことだとおっしゃっているが、その前提となっているのは、まずもって、同じようなしがらみを抜きにして自分を好きになることだったのだな。

自分を好きになるといっても、自分の顔が好きだからとか、いい仕事してるからだとか、家が金持ちでいい人生だからとか、そういう理由じゃなくて。

こうしたナルシシズムに陥ることなく、自分の存在を無条件で「よい」と肯定できなければ、人のことも無条件に肯定することはできない、と二村氏は述べる。

自分の欠点や、寂しさを埋めることを目的として恋愛をするのではなく、相手を、自分を、そしてふたりの関係性を、それ自体完成した、満ち足りたものとして受け入れることこそが肝要ということだろう。

あくまで女性向けに書かれてはいるが、これは再帰的に男性に向けたレッスンとしても読むことができる。

紳士諸氏におかれては、女性=原初的に母的な存在、というのがどうしてもナルシスを記述するうえでの参照点になりがちである。つまり、ある特定の女性にとっての恋人である→彼女を独占・支配している→彼女の幸せをコントロール下に置いている という状況を、(見せかけの)自己肯定の材料にしがちなのだ。しかしそれは相手を自分の都合の良いように利用しているに過ぎないし、結局は、自分は完璧ではないという劣等感からくる行為だと言える。

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