カウンセリングは心理学の王道ではないという負け犬の遠吠え

心理学を大学時代から学び、生業として結構な時間が経過した。心理学と言っても、いろんな分野があるし、心理学の研究者となると、自分の専門以外のことは意外と疎い。

そんな心理学業界なのだけど、心理学って、わたしたち研究者や心理士の言う心理学と一般的なイメージって大きく違うと思う。

わたしが大学生の頃は心理学ブームで、臨床心理士養成の大学院なんてすごい倍率で心理学バブルなんて言われていたけれど、大学の一般教養課程で学ぶ心理学はすこぶるつまらない。

心理学は哲学や物理学から派生していて、心を科学しようとするものだから、統計処理をひたすらして「この仮説は5%水準で有意差がある」なんていう確率統計がベースだ。わたしが教えを請うた、ある教授は「数字で証明できないものは心理学ではない」と、言い切ったくらいだ。

確かに、いわゆる心理学の王道は基礎心理学で、これは仮説検証型の心理学実験をして集めたデータを数的処理をする。ちなみに、心理学というとイメージされやすいカウンセラーやカウンセリングなどの臨床心理学は、心理学の世界では亜流で本流ではないのだ!

こう書いているだけで、つまらない・・・。実に、つまらない。

でも、わたしたち研究者は、このつまらないけれど、95%の確率でその仮説が立証されるように鬼の形相で実験している。寝食を忘れるくらいに!

正直、だからなんだ?と、思われるくらいに、日々の生活には関係がないだろう。

関係があるとしたら、ビジネスの世界で使われる社会心理学のデータやテクニック、学校教育の教育心理学、子育ての発達心理学だろうか?いや、認知心理学なんて地味だけど(ごめん)鉄道会社などでも研究されている。

でもって、反対になじみがあるすれば、臨床心理学かもしれない。犯罪心理学や発達臨床心理学など、社会的なところや医療で使われている。

そう、思い出した!

臨床心理に従事する人のため(であるのか、いまだにわからないけど)心理職の国家資格として公認心理師ができたけど、その時のテストでは「司法・教育・医療・産業・行政」の5分野に分けられて問題ができていた。まあ、心理学はこの5分野で大別できるわけだ。

そうなんですよ、心理学は結構広く使われているんですよ!と、えばったところで、アカデミックな心理学はそれほどメジャーではないかもしれない。

むしろ、巷の心理学は、「10秒で人を見抜く心理学」「モテるための心理学」など、「え?それも心理学って言っちゃう?」と、心理学をやってきた身としては、10メートル位ポーンと飛び上がってしまうような驚きがある。

そのような民間で広まっているものは、ポップ心理学といって、占いだとか自己啓発の分野で多く流布している。もちろん、アカデミックな心理学ではない。

「わたしのやってきた心理学と一緒にすんな~」と、心理学をやっている身としては思うのだけれど、そんなの研究者以外にはどうでもいいことだろう。

だって、楽しければいいし、気楽に使える方がいいし、それで気持ちが軽くなればいいんだもの。それがアカデミックであるか、ポップであるかなんて、クライエント(相談者)にとっては、どうでもいいのだ。「勝手にほざいてろ!」ってなものだ。

だけども、われわれ心理学の研究者は、そういうどうでもいいことにこだわり、命を削って研究している。日々数字と格闘しながら。


論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。