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NYの三方よしの英会話教室~話し手と聞き手のマッチングの妙

私は英語が全然上達しない。留学歴11か月、海外生活歴6年強にもかかわらず、だ。さすがに自分の伝えたいことは伝えられる。でも、電車の中でネイティブスピーカーが乗り合わせた他人と話している会話は(聞き取れても)理解できないし、目を合わせられても笑顔でうなずくことしかできない。自分で話す時も、google(単語検索)なしでは話が進まない。

私の今までの観察の範囲では、『英語が上達する人は、臆せず話し、友達が多い』。好循環が好循環を呼び、上達する環境が作られているのだ。しかし私は、ネイティブスピーカーを目の前にすると、ひよった。…ノンネイティブの人と英会話をする時は全く緊張しないのに、ネイティブスピーカー相手だと、自分のダメさ加減が100%伝わるのが恥ずかしく、極度に緊張した。頭が真っ白になり、いつも以上に英語がしどろもどろ、相手も不可解な表情となり、余計に自信を喪失する悪循環。語学学校で会話の授業でも、文法や発音を全く気にせずガンガン攻めてくる中南米の方々に圧倒され、また言葉がかち合うと他の生徒に順番を譲り、タイミングをつかめずに授業が終わってしまう。…英語を話す機会を増やさなければ上達しないと悟りつつ、ぼんやりとNY生活が半年過ぎてしまった頃、素晴らしい英会話教室に出会った。

その名はEnglish in Action。NPO法人なのだそう。聞き手(ネイティブスピーカー)1人・話し手1~2人程度の環境で、週1回、1時間会話に集中する。費用は半年225ドル、または1年400ドル。半年払いでも、1回あたり(÷6÷4)9.4ドル。激安だ。(NYの場合、パーソナルトレーナーは1時間100-120ドル程度。習い事も1回20ドル以上が相場。)安さの秘密の1つは教室の場所だ。本部以外に点在する教室は教会のミーティングルームといった、賃貸料も安そうな場所ばかり。そして安さのもう1つの秘密は聞き手、完全ボランティアなのだ。主体はリタイア層。時間が有り余っていて、人との交流機会が減ってしまった人たち。普段接触機会のない外国人と交流することを楽しみと感じてくれる方々なので、話もしやすい。知識と経験も豊富で話の引き出しが沢山ある。

以来今まで、週に1度の英会話を続けている。パンデミック以降はオンラインで。最初はやはりネイティブスピーカーを相手に話すことは緊張したが、周りの生徒さんの発音や英語レベルを見て、私もまんざら最悪ではないと思えたし(ありがとう!)、また何より、相手が私の話を真剣に理解しようと聞いてくれるので、「伝える」ことに注力でき、また伝わったことで自分の英語に少しずつ自信が持てるようになった。1年経つ前頃には、一般のネイティブスピーカーと話す時でも緊張せずに話ができている自分を発見した。(そうなると、ネイティブスピーカーの方々も、自分の言葉を理解しようとしてくれていることに気づく。私が適切な単語を思い出すまで考えていると、待っててくれたりするのだ。「私のダメな英語は聞いてくれるはずない」と卑下して思い込んでいたことにも気づいた。)まだ全然ダメだが、少しずつ。話しながら言葉の使い方、知らない言い回しを教えてもらったり、アメリカ生活で疑問に思うことを質問してアメリカ文化を学んだり。私にとってなくてはならない時間である。

話し手もハッピー、聞き手(ボランティア)もハッピー、そして異文化理解が促進され、世間もよくなっていく三方よしの英会話教室。日本でもこういった、外国人のための日本語会話教室ができていったら素敵だなと、思う。

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