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コンテナに書かれた「JOT」に迫る

 貨物ジャーナルです。いつもご覧頂きましてありがとうございます。

 2022年9月29日10:07、やってきたこの列車は3097レ、岡山貨物ターミナル発新潟貨物ターミナル行、機関車はEF510-502号機です。金沢貨物ターミナルを定刻に発車しました。

JRさんの12ftコンテナが並ぶ中、白色の12ftコンテナが何基も並ぶ姿を見ることができます。何基も連続していたり、紫色の中にぽつんと1基だけあるものもあります。

 続いて見えてきたのは同じく白色の31ftコンテナ、こちらが1基載っています。これ1基で12ftコンテナ2基半ほどのスペースを使っています。

 続いては、白色のタンクコンテナが見えてきました。青色の堅牢な枠に囲まれていて、非常に頑丈そうな作りとなっています。これらのコンテナに共通するものは、あるマークが記載してあることです。

セリアのブリックコンテナ

 我が家にも同じマークのブリックコンテナがありました。今回はこの「JOT」についてお伝えしたいと思います。

 さて、このマークの正式な会社名は日本石油輸送株式会社です。英語で書くとジャパンオイルトランスポーテーション、その頭文字をとってJOTという略称になっています。

 本社は東京の大崎駅の目と鼻の先、ゲートシティ大崎ウエストタワー 16階にあります。こんな都会で働いてみたかったです。仕事帰りに近くの立ち飲み屋で一杯って憧れですね。

 さて、この日本石油輸送JOTさんですが、1946に会社設立、1967年に株式上場、1985年にレンタルコンテナの営業開始、2002年本社が大崎に移転、海外にも展開されています。大きな会社ですが、社員数が160名ほど、関連会社を含めても1,500名ほどしかいないということで、少数精鋭の会社のようです。石油を輸送する会社ということで、筆頭株主はENEOSホールディングスさんとなっています。

 石油を運ぶ姿と言えば、これです。これは南松本発塩浜行の8084レです。EF64の重連がタンク車12両をけん引しています。タンク車は2色あり、黄緑色のタンク車が日本石油輸送さんの所有で、濃紺色のタンク車は別会社の日本オイルターミナルさんの所有です。日本オイルターミナルさんJR貨物さんの関連会社で、株主はJR貨物さん及びJOTさん、そして石油元売り各社となっております。この列車は石油を降ろした後の空返送です。
 それではこれらのタンク車は日本のどこを走っているのかを見てみたいと思います。

 輸入された原油は、臨海工業地帯にある石油コンビナートで精製されます。宮城、千葉、神奈川、三重県にある石油コンビナートから、

岩手、福島、栃木、群馬、山梨、長野にある油槽所(石油製品を一時的に貯蔵する場所)に運ばれていきます。

赤色の路線に多数のタンク列車が運行されていて、内陸地の方の生活を支えています。以前長野へ行きその様子を撮影した動画を公開していますので、こちらからぜひご覧ください。
★【長野の生活を守る!】ガソリンを運ぶ貨物列車を追いかけた
  ☞https://youtu.be/dgnMqu8JMaU

 続いては、コンテナのレンタルやリースになります。大きく分けて有蓋コンテナとタンクコンテナに分かれます。まずは有蓋コンテナからです。

よく見かける白い12ftコンテナです。これはURコンテナと言い、側面や天井部に断熱材を使用し、保冷保温性能を高めたコンテナです。青いラインのコンテナは片側面と片妻面、L字二方開きの1000番台、ピンクのラインのコンテナは両側面開きの10000番台です。

こちらは断熱材として真空断熱パネルを採用し、URコンテナよりも更に保冷保温性能を高めた12ft SUPER URコンテナです。

ちょっと画像が荒いですが、こちらは冷凍エンジンを搭載し低温状態を長時間維持できる冷凍コンテナです。

こちらはURコンテナですが、サイズが20ftのものになります。元はホクレン農業共同組合連合会の所有でしたが、JOTさんに変更になったもののようです。CSCプレートが取得されているので、申請は必要ですが国際海上輸送も可能だそうです。

こちらは31ftのSUPER URコンテナです。31ftは10トントラックの荷台と同じサイズということで、デカいです。長距離トラック輸送に代わり、この31ftコンテナが増えていくことが必要だと私は考えています。

この青いコンテナは20ftのホッパコンテナです。粉ものを運ぶコンテナで、荷扱いを見たことはないのですが、天井のハッチから製品を投入し、排出は妻面の扉を開けトレーラーごとダンプアップするのではないかと思います。

(間違っていたらゴメンナサイ)

 続いては、タンクコンテナになります。

まずはアクリル酸ブチル用です。接着剤、塗料、合成樹脂、アクリルゴム、エマルジョン等の原料として使用されています。

次はアクリル酸2―エチルヘキシル用です。こちらも接着剤、塗料、合成樹脂、アクリルゴム、エマルジョン等の原料として使用される物質です。

これはアクリル酸2-ヒドロキシエチル用です。塗料、接着剤、繊維処理剤、潤滑油添加剤、樹脂改質剤、紫外線硬化樹脂用反応性希釈剤としても使用されているそうです。

これはアリルグリシジルエーテル用です。なかなかスラっと読めない名称です。各種樹脂原料、樹脂改質剤、シランカップリング剤原料などに使用されます。

これはエチレン酢酸ビニル用です。クロックスの原料に使われる物質です。

これはオクタジエン用です。家庭・防疫用殺虫剤の原料として使われているそうです。

これはカタロイド用です。研磨材や塗料に使われているそうです。

これはジメチルアセトアミド(DMAC)用です。合成樹脂、合成繊維溶剤として使われています。

写真が鮮明ではありませんが、ラテックス用です。樹液から作られるゴムの原料で、チューインガムのベースもラテックスから作られます。

これは塩化カルシウム用です。除湿剤、融雪剤、豆腐用凝固剤等に使用されています。

これは界面活性剤用です。石鹸の主成分です。

これは環境配慮型クレオソート油用です。タイヤの黒色の原料であるカーボンブラックや、木材の防腐剤に使われます。木製の枕木にも塗られています。

これは紙薬剤水溶液用です。紙を作る際に使用する薬剤の水溶液だそうです。

これは大豆油専用です。最も代表的な植物油で、サラダ油の他マヨネーズやマーガリンの原料などとして広く用いられています。

これは味液専用です。グルタミン酸をはじめ、多くのアミノ酸を含む強いうま味をもったお醤油の原料です。

最後は塩化チオニール用です。リチウム電池、染料、農薬原料などに使用されています。所有者は住友精化さんになっているのですが、妻面にはJOTさんのマークも入っています。

 ということで、今回は日本石油輸送、JOTさんについて解説しました。まだほかにもJOTさんのコンテナはあると思いますが、私がデータベースとして持っているもののみをご紹介しました。今回の内容についてはきちんと調べたうえでお話ししていますが、私貨物ジャーナルは化学が得意ではないので、もし説明に誤りがありましたら申し訳ありません。修正させていただきます。

 最後までご覧いただき、ありがとうございました。YouTubeでも公開しておりますので、こちらもぜひご覧ください。








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