雇用機会均等法~キャリア・カウンセリング/キャリア開発のための人事講座(18)
会社の夏休みって、何でこんなに短いのでしょう(後日註:というのはこのメルマガを発行していた時のことで、2004年7月のことです。随分と古いなぁ…。まぁ、そういうこともあったのだなぁと思って以下お読みください)
しかもお盆に集中するから混雑するし。
期間を長くするとか、ずらすとかできないもんでしょうか?
ところで話は全く変わりますが昭和末期(!!)の1985年、いわゆる男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律)が制定されました。
私が初めて勤めた会社は当時、誰もが「そうかもしれないなぁ」と納得するような「男社会」でしたが、1986年に初めて職場に女性社員が新入社員でやってきました。
会社も均等法が施行されたので、そういうことには敏感でなければならない性格の会社でもあったので、「ともかく採用しておかなければ」といった感じがしないでもなかったです。
その翌年には3人、さらにその翌年にも3人と徐々に女性の新入社員は増えていきました。
最初に入った女性社員の様子を見て安心したのかどうかは時の人事部長や私がいた事業部門の長に聞いてみなければ分かりませんが、何とかやっていけそうだと思ったことと、一人だけではかえってうまくいきづらいと思ったのではないでしょうか?
初めての女性社員は1年下の地元国立大学法学部卒業の人で、「是非この仕事をやりたいんです」という意志のはっきりした人でした。
ご多聞に漏れず、私たちの職場にも下積みの時代というのがあって、すぐにその仕事に配属になるわけではなく、同じ部署で仕事を覚えることも兼ねた別の仕事を2年ほどやるような習慣になっていました。
この下積みの時代を終えていよいよ配属され、目指していた仕事をすることになりました。
しかし数ヶ月して彼女は体調を崩してしまいました。
会社を休むというほどではないのですが、傍目に見て、大丈夫だろうか?と思うような変化がありました。
仕事は同じでも配属された場所が違うので、実際にどのような仕事ぶりだったのかは分からないのですが、かなり大変だったようです。
なにせ仕事上、いろんな人に会うのですが、そのたびに「あなたが女性第1号なんですね」と言われるらしいのです。
もともと均等法第1号ということは意識していたし、自分の後に続くであろう女性社員のためにも自分がしっかりしなければという自負もあったでしょう。
でもこれはかなりのプレッシャーだったと思います。
また心ない人からは「あなたが入れたのは女性を採用しなければならなかったからだ。でなければもっといい男性社員を採用していたんじゃないの」といわることさえあったようです。
とんでもない話ですね。
しばらくして彼女は別の部署に異動になりました。
決して左遷というわけではありませんが。
性差ということについてはまだまだ議論もされなければならないし、組織も個人も変わらなければならないことも多いと思います。
それでも1985年当時の均等法に比べれば、その後の1999年改正などを経て、格段に法整備は進んでいますし、何より職場での差別も少なくなっていると思います(くどいようですが、十分だといっているのではありません。1985年ごろと比較してということです)。
でも、そうしたことは彼女がうけた仕打ちを補えるものではありません。
法律や人事制度の改革、改善は、それ以降の人には効果がありますが、それまでに適用された人には効果が及ばないことが多くあります。
均等法もその一つかもしれません。
今、30代後半から40代前半の女性の方々の中には(後日註:くどいようですが、この【今】というのはメルマガを発行していた当時の【今】です。念のため)、この雇用機会均等法施行当時のばたばたに巻き込まれてしまった人が少なくないのではないかと思います。
均等法世代といわれ、男性に負けないように一生懸命頑張った、均等法以前の同性社員からやっかみを受けても頑張った。
総合職といわれて見たものの、仕事の内容(ひどい場合は研修の内容まで)は男性社員と格差はあるし、一般職からは違った世界の人間であるかのような目で見られるのでいたたまれない-ということも聞いたことがあります。
そうした中でも頑張ってみても、それほど門戸が開かれている訳ではないので、思うようにはいかない。
同期の男性社員が先に昇進・昇格するのを見ると、自分にはその権利があると法律上言われているだけによけいに悔しい。かといって正面切ってあの男性社員よりも自分の方がと言い切れるかというと、その後のことも考えると言えない。
もしかしたら、できると思っているのは自分だけで、本当は能力がないのかと落ち込んだりもする。
ふと気がつくと自分よりずっと年下の女性社員はそうした悩み、苦悩が少なくなっているように見える。
中にはうまく昇進して、自分のときより速いペースで昇進・昇格していることさえある。
これって一体何なんだろう・・・。
私はなんのために苦労したんだろう・・・。
じつはいまだにこの時のことが気になっている、あるいは割り切れないでいる女性の方は少なくないように思います。
少なくとも私の後輩は、自分自身が選んで「均等法1期生」になったわけではありません。
入社したら結果的に均等法一年生になることは分かっていたのだけれど、具体的にどんなことになるかなんて考えもしなかったでしょう。
たまたまそうした時代に巡り合わせていただけ何ですよね。
そうした時代を知らないと分からないかもしれません。
今はもう、この職場の女性社員も増え、珍しくはなくなってしまいました。
また私自身、転職してしまってその後の様子は分かりません。
先日、この会社の同期の人と約20年ぶりに合う機会があって話を聞くとまだ元気で頑張っているとか。
正直なところほっとしました。
覚えているのは入社当時の様子と、ちょっと大変な時期の様子だけですから、話を聞きながら思い出していたのは、彼女が20代半ばの時の顔でした。
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