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勘、経験、度胸の面接から構造化面接へ移行する時代へ

面接官の経験則と直感で判断される

新卒採用の場合についてはわかりやすい基準があります。
1つ目は学歴フィルターが存在しているということ。
どの企業も公開はしていませんが、人事部内では採用の暗黙のルールとしてあります。
企業の出身校別のデータを公開しているところを見ると一目瞭然です。

偏差値が高い=地頭がいいという先入観と思い込みから採用をしているケースです。
そうすると学生の取り合いになり、レッドオーシャンのため、学生を口説くには相当な労力がかかる事になります。

2つ目は先行投資という意味でポテンシャルが高そうに見える学生を採用する。
グループディスカッションでいろいろな採点官が総合的に評価をする場合、うちの会社の風土や文化に合いそうだなという学生を採用する傾向があります。

グループディスカッションは見られているポイントが違うということです。
目立ちすぎず、地味すぎず、出過ぎず、引きすぎずというポジション取りが難しい。
リーダーシップという言葉を間違えて理解すると、全員予選落ちという事態を招くから恐ろしい。
組み合わせも運ですが、面接官の見ているポイントがバラバラのため、いろいろな経験を積んでおかないと難しいというのが本音です。

3つ目は一発面接はリスクが大きいということ。
新卒採用が佳境に入ってくるといろいろな企業で一発面接ということで、決済権者の役員やリーダー層のマネージャーが面接官となります。
面接に時間と人員が割くことができないため、よくやる方法です。

また、内定出しが遅くなることによって他社に流れるというのを防ぐことに重点をおいているため、面接時間が1回から2回少ない分、いろいろな人が多面的に評価をすることができない。
そうすると、理想と現実にギャップが発生してしまい、期待を裏切られることも多い。

中途採用についても同じことが言えます。
1つ目は上司や決済権者にすすめられる人物であるかどうかを考える。
上司や決済権者が採用したいと言っているのだから、それに見合ったスペックや人間性を求めます。
最初の5分から10分で結論を出しているケースが多くあります。

自己紹介や自己PRの話し方である程度わかるから不思議です。
説明が端的でわかりやすく、プレゼン慣れをしているとごまかされるケースがあります。
年齢を重ねるごとに素直さと謙虚さが薄れてしまい、その点が合致しないことが多くあります。

2つ目は話を盛ったり、キャプションしてしまう人は大したことが無いということ。
面接というのはお見合いの場であり、評価する場であるわけですから、話を盛ったり、キャプションをして自分を良く見せようとします。
そういう人に限って成功しないということを面接官は見抜きます。

わかりやすい例が実績を上げているのに会社を辞めようとしていたり、辞めてしまって転職活動をしていたりする人がこれに当たります。
過去の栄光がスゴイから即戦力になるとは限りません。

3つ目は即戦力と言っているのですが、社内バランスを見ること。
決済権を持っている現場の管理職は、面接をしながら社内のパワーバランスを考えています。
時々あるレアなケースとして、オーバースペックだから、選考落ちというパターンがあります。
これは応募者が求める人材以上のスペックを持っていることがわかり、採用をしてしまうと社内のパワーバランスが崩れてしまい、ハレーションが起きるからです。
チーム力、巻き込み力などを重視する上では、管理職以上のスペックや特殊なケースを経験している人というのは、企業にもよりますが、出てくることになります。

エージェントをうまく利用しよう

日本企業の場合はほとんどが選考落ちの理由を開示されないことが多くあります。
他者と比較検討をしたうえ、申し訳ございませんが今回はご縁がありませんでした。というのがほとんど。
エージェントを利用して応募をした場合には、もう少し突っ込んだ理由を聞くことができます。

選考落ちの理由がはっきり聞けるエージェントは、その企業との親密度が高く、腹を割って話ができる関係性が築き上げられていることが特徴としてあります。
わかりやすい例が良い点と悪い点を総合的に出してくることがよくあります。

例えば、お人柄や意欲というのは他の人よりいいのですが、スキル面、実績という点において、他社比較をした時に見劣りをしてしまいます。
今回について現場を引っ張っていってもらいたい人材を採用したいため、申し訳ございませんが、ご縁がなかったということにさせてください。
というように、いい麺も悪い面もしっかりと伝えられていることが多い。

これはエージェントの技量ともいえるところなのですが、求人票の内容だけを聞いているエージェントとその求人がでてきた理由や背景、部の雰囲気など、細かい情報を握っているエージェントでは、企業との信頼関係も違います。

最近では電話一本で求人票を作り上げる事もできますし、ホームページや広告からも求人票を作ることができます。
部の構成や社内の雰囲気、求人票に載っていない部分について話してくれるエージェントを探してみましょう。

ただし勘違いをしてはいけないのが、エージェントを営利団体ですから、クロージングの際には強引な駆け引きがありますから、注意をしていきましょう。

採用基準は存在していない

面接の通過率を分析してみると意外なことがよくわかります。
1次面接の通過率は20〜30%、2次面接以降については50%〜60%の確率で通過をしていることが多い。
1次面接の場合は決済権をもたない人事がおこなっているにも関わらず、それだけ信用してもいいのかという疑問がそこでは湧いている。

プロパー社員、中途の社員でも専門家や採用のプロはいないからである。
なぜなら、営業職や他の部署で問題視されたり、お荷物扱いの人が多いからである。
定年退職間際であり、問題を起こさなければという人も意外と多く、ある程度の年齢がいっているのだから、任せてみてもいいだろうという人が多い。

エージェント時代は人事を通さずに、営業部長や経営者にアプローチをしていたのはそういうところからである。
人事の窓口は伝言ゲームになり、紆余曲折が入っているため、正確な人物像があぶりだせないからである。
経営者は数年先を見越して採用をしており、管理職は現状を見越して採用しているわけで、我がごとのようにして、スピード感と決断力を持って採用活動をしている人が多い。

人事は他人事であるため、言われるまで動かないし、曖昧な回答をしていることが多く、正確でちゃんとした情報を発信していないことが多くある。
そういう人たちに1次面接を任せてしまっていいのだろうか。

答えはNOである。
他人事にしか考えていない人事を1次面接に単独でアサインをさせるというのはナンセンスでしょう。
現場管理職と一緒に面接をして、応募者を多面的に見ることができるのであれば問題ありませんが、単独での面接というのはあまりオススメしません。

エージェント時代から定番の質問が1つあります。
「御社の採用基準というのはどういうものですか」と聞くと、たいていの場合は、社長や役員が目指している方向と同じ方向を見ながら、会社と共に成長してくれる人という表現をする。
企業なのであれば、スクラムを組んで、一緒に汗をかき、会社に貢献してくれる人というのは当たり前である。
ボランティア活動をしているわけでもないし、危険因子としてみなされれば爪弾きにされてしまう。

その見極めをどうやってしているのか深堀りをしてもまともな答えを出してきた人はいません。
面接の9割が相性であると言い続けている理由がそこにはありますから。
採用基準というものは存在しておらず、面接官の経験則に基づき、先入観と思い込みで採用をしているケースもある。
そのため、入社後にミスマッチがおきたり、トラブルになるケースがあります。

構造化面接とは、臨床心理学におけるアプローチのひとつで、「あらかじめ評価基準と質問項目を決めておき、マニュアル通りに実施していく」という面接手法です。 構造化面接の最大のメリットは、面接者が誰であっても一定の基準で候補者を評価できることが挙げられます。

評価基準も言語化して、質問事項もマトリックス化することができるようになれば、面接の質もあがり、勘、経験、度胸で判断をしていたことが、ある程度は質も担保できるようになる。

構造化面接をするには、面接担当官、人事、経営陣がどんなことにも言語化することができ、毎年採用基準を見直してターゲティングをしていくことが求められる様になるため、手間暇がかかってしまう。

面接の質を確保するためには構造化していくことがポイントになり、早期離職を防ぐ方法である。

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