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地方特化の求人広告の使い方と落とし穴

こんにちは。
株式会社Careerchipsの宗俊です。

皆様もご存じの通り、人材採用市場は数年前より売り手市場に入りました。採用に苦しむ企業、なんとか採用はできているものの圧倒的に応募者が減った企業など様々な課題を持つ企業が増えてきました。

全国的にも採用に課題を持つ企業が増えたことで求人広告掲載件数にも大きな変動があります。

本日は求人広告、人材紹介、人材派遣と採用に関わるサービスを提供側で経験してきた視点から、地方特化の求人広告について、また地方における採用の在り方について解説させていただきます。


2022年の求人広告件数の動き(求人広告掲載件数等集計結果)

まずは求人広告件数の動きについて、データから把握していきたいと思います。

公益社団法人全国求人情報協会が集計した2022年の年間求人広告掲載件数は、職種別件数合計で1,514万7,649件(前年1,089万209件)で年間では対前年比+39.1%となりました。

雇用形態別では、アルバイト・パートは前年比で+38.5%、正社員は年間前年比+22.7%で着地しました。

職種別では、サービスに関する職種が大きく伸びており、全体のプラスに大きく働いています。また、販売+31.7%、運搬・清掃・包装等で+35.1%、生産+55.2%、事務+51.4%、医療・福祉で+14.9%となりました。

業種に関係なく全体的に求人広告件数が伸びていることが分かります。

求人広告件数が増えることと人材サービス企業との関連

少し話がそれますが、求人広告件数と人材サービス企業の関連について触れたいと思います。

人材サービス企業の売上は、人材募集をしている企業が増えることで伸びます。

その伸びている市場に目をつけ毎月毎月数えきれないほどの新たな求人広告サイトや人材紹介企業が立ち上がり、日々皆様に営業されています。

ちなみに、求人情報サービス事業者、有料職業紹介事業者の数は以下の通りです。

  • 求人等の情報サービスを提供する事業者数:769社

  • 有料職業紹介事業者数:28,000社

日本全国に存在するコンビニの数が約55,000店舗ですので、人材紹介企業の数がどれほど多いかもお分かりいただけると思います。

それだけ多くの企業がいれば「サービスの内容=事業者数なの?」という疑問を持たれる方も多いと思いますが、はっきりと申し上げて人材サービス(広告媒体や紹介)においてそれぞれのサービスに実は大きな違いはありません。

人材サービス企業の営業は日々社内でロールプレイを行い、いかに納得感がある説明ができるかに磨きをかけ成約に繋げられるかを鍛えています。すなわち、サービス内容で勝負するよりトークで勝負しているケースが多いということです。

その結果、応募がこない、費用が掛け捨てになったと感じ、「話と違うじゃないか!」と事業者に文句を言ったとしても内心「そんな時もあるよね」くらいの感覚で終わっている顧客が多い印象があります。

上記のような流れで各県の採用マーケットは荒らされてきました。

地方エリアにおける求人広告、採用のあり方について

現在当社が活動拠点を置いている福岡県も大手企業の支店やスタートアップ企業が多いということから博多や天神付近に多くの人材サービス企業も拠点を置き日々営業を推進しています。

福岡レベルの都市部でも基本的には東京で流行ったサービスが2〜3年後に進出してきます。

その際に東京での実績を鼻高く説明しますが所詮それは東京でのお話。
曖昧な実績 x 磨かれたトーク に期待をしお金をかけるも失敗。

その後、別の企業が別の商品で営業をかけ「うちだったら大丈夫です!」みたいな営業をしてまた失敗するという流れ。

かという私もそのような業界でこれまでキャリアを積んできて、時には上記のような営業活動をしていました。これでいいのか?と同僚と話したこともありますが、共感はするもののどうしようもない、そういうもの。で話が終わってしまうケースがほとんどでした。

その中で本日私が共有させていただきたい求人広告の考えは下記になります。

「地方特化媒体1本だけでは採用成功に繋がり難い」

こちらをご説明するにあたって、ご存知の方も多いとは思いますが、改めて求人広告の一般的なメリット/デメリットから見直していきます。

求人広告のメリット

①広範な層にアピール可能
求人広告は、新聞、雑誌、ウェブサイト、SNSなど多様な媒体で掲載することができるため、多くの人々にアピールすることができます。これにより、広く知られることで応募者数を増やすことができます。

②適切な人材を採用できる
求人広告は、企業が求める条件に合致する人材を見つけるための効果的な手段です。求人広告には、募集職種、条件、待遇、応募方法などが明確に記載されているため、応募者の選別がスムーズに行えます。

③広告費の抑制が可能
求人広告は、他の広告媒体と比較して比較的安価であるため、広告費の抑制が可能です。また、ウェブサイトやSNSなどのオンライン媒体で掲載する場合には、広告料金を低く抑えることができます。

④ブランディング効果が期待できる
求人広告は、企業のブランドイメージを高めるための手段としても活用されます。企業が求人広告を掲載することで、その企業の知名度を高め、魅力的な企業として認知されることができます。

求人広告のデメリット

①効果が限定的である
求人広告は、応募者を募集するための一つの手段に過ぎないため、その効果には限界があります。また、求人市場の競争が激化している現代では、他社との差別化が求められるため、求人広告だけでは目立たなくなることがあります。

②費用対効果が低い場合がある
求人広告には、広告費用がかかるため、費用対効果が低い場合があります。特に、広告費用が高額である新聞や雑誌などの紙媒体広告については、その効果に見合った広告費用がかかることがあります。

③求人広告の内容が限定的である場合がある
求人広告は、掲載する媒体の都合上、情報量が限られるため、必要な情報をすべて掲載することができない場合があります。また、広告の見出しなどに工夫を凝らしてアピールすることが求められるため、求人広告の内容が偏ったり、不十分な場合があります。

以上が求人広告のメリットとデメリットになります。求人広告は、企業が求める人材を採用するための有効な手段である一方、その効果や費用対効果には限界があるため、他の採用手段と併せて活用することが求められます。

地方特化媒体に期待できない2つの理由

では話を戻し、なぜ地方特化媒体に大きな期待ができないかをご説明いたします。理由は2点あります。

理由①そもそもPV数が稼ぎづらい
求人広告はあくまでも広告です。つまり多くの人に見られてなんぼ、というものです。

「地方特化」で掲載した上で単月200〜300人分の閲覧を獲得できます。というサービスが多く存在するようですが、正直「最低限のPV数」という感覚は捨てきれません。

求人広告において200名の閲覧(PV)によって1名の応募が発生するシミュレーションが一般的です。そして1名応募=1名採用 ではないため、獲得するべき閲覧数は単月200〜300人では圧倒的に不足しています。その結果、数ヶ月の掲載において1応募がくるかこないかのレベルで掲載が終了するケースが多いです。

年々採用の難易度が上がり、色んなことに挑戦したい採用担当者さんの気持ちも理解しますが、知名度が低い求人広告媒体を利用する場合には閲覧数のシミュレーションをしっかり確認しましょう。

再掲にはなりますがその時に思い出して欲しい数字は「1名応募獲得するには最低でも200名閲覧が必要」ということです。

閲覧数(PV数)が少ない広告では費用対効果を出すことはかなり難しく、多くの場合期待を裏切られることになります。営業マンも通常の営業方法では成約にならないことを分かっているため、提供する実績値を改ざんしたり甘いシミュレーションをすることもよくあります。

理由②求職者視点で地方特化媒体を選ぶメリットが少ない
求職者が転職先を探す際に「地方特化媒体」をわざわざ利用するか?という点です。

確かに現在では多くのサービスが存在し転職先探しの際に使うツールが分散してきた、という事実は存在します。ですがそれはあくまでの全て皆さんもどこかで聞いたことがあるサービスばかりです。

まとめ

最後に、なぜ「地方特化媒体」というスタイルの求人広告が存在するのか考えてみました。

個人的な意見ではありますが、「地方特化」という言葉に反応するのは求職者以上に掲載する企業側だと考えます。

つまり「地方特化」の言葉を使うことによって、これまで求人掲載で失敗を重ねてきた企業に少しでも納得感や希望を抱かせることができるからです。

どんなに良い営業マンでも誰も聞いたことがない広告媒体を単体で使うのはオススメしません。なぜならば、どうしても閲覧数が伸びにくいためです。

求人広告を利用する際に、少しでも掲載費用に対する費用対効果を得るためには全国的規模の媒体を利用することをオススメします。

もしくは全国規模の大手媒体 x 地方特化媒体の併用も良いかと思います。
次回もサービス提供側にいた私だからこそ分かるお話しをお届けしたいと思います。

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