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地方の時代映像祭がすごかった〜前半〜

今日は関西大学で開かれた「地方の時代」映像祭フォーラムに行きました。

最近、映画やドキュメンタリーをみて、そのあとにその製作者のお話を聴くというスタイルがとても気に入っていて、そういうのをみつけたらできるだけ対面参加するようにしています。これはトリコの演劇を見たシアターでもらったはがきで知った企画。私が知らなかっただけで今年で43年を迎える歴史ある映像祭です。

今年は3つの作品がフォーラムで上映されるとのこと、本当は他の2つも行きたかったけど仕事の調整つかず、これだけは何とか参加できました。

なんと、この映像(84分)を見た後、これを作った匂坂緑里さん(TBSスパークル)と加藤登紀子さん(歌手)の対談というすごい企画!!

物語の始まりは、このドキュメンタリーの監督である匂坂緑里さんが、ゴッホのことを調べているときに、ゴッホについてどうしてももっと深めたくなってゴーガンについて知りたいと思い、ネットでゴーガンの「私記」という古本を購入したところから始まります。

〜先日ゴッホ・アライブに行ったところだったから、これまたタイムリーだった。あの、ゴーガンね・・という感じ。

その古本に昭和23年の小学6年生の少女の通知表が挟まっていた。その中を見ると成績優秀で、たしか「集団をまとめる力あり」ただし、全員の人望を得ることが必要だ、みたいなことが書いてあった(つまり成績優秀だが協調性に欠ける、みたいな感じ)のと、保護者の名前が父親ではなく母親の名前であったこと。それらが気になって、その通知表を本人にお返ししよう、彼女はどんな人生・戦後を送ったのだろうかという足跡をたどる旅を撮った作品です。

通知表の住所は別府市で、その小学校に行ったり、有力地元紙や温泉、喫茶店、地元の歴史を知る方等の協力を得ながら少女に出会えるのか、という6年の月日にわたる取材。そして、ついにコロナ禍にも関わらずなんとか本人に出会うことができ、お返しすることができたという結末。

取材の過程で分かったことは、少女は引揚者で、兄を亡くすという大変な経験をして命からがら日本に戻ってきたこと。戻ってきてからも差別されたとのこと。いろんな事が出来て発育も良かったこともあり女の子からいじわるされたこと。その後、働いたり、ウーマンリブをやったり、子を育てたりしたこと。めいっこさんとの語らいがあったこと。彼女の話を軸にしながら、山田洋次監督、加藤登紀子さん、ジャズピアニスト秋吉敏子さんのインタビューもはさまれて、引揚者の当事者がどんな想いで生きてきたかが語られました。

〜ドキュメンタリーも素晴らしくて、引揚者は実に629万人いるというのにその事実や歴史、意味づけはあまり知られたり研究されたりしておらず、様々な個々のストーリーがあること、そしてそれらが埋もれているという事を知りました。そして、見つかった少女のかっこよいことよ。そしてこれをつくった匂坂緑里さんの取材力と「これは伝えなくてはならないのだ」ってきっと思ったんだろうな。執念のような想いを感じました。

これは1回では書ききれないな。明日、後半を書きます。後半は加藤登紀子さんを迎えたトークセッションで私が号泣した話💦



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