見出し画像

(更新版)『聴けずのワカバ』(キャリコン資格取得編)-82

読了目安:約3分半(全文1,374文字)※400文字/分で換算

好かれる男

 「しかしおっさんさー、あれだけしぶってたのによく紹介してくれる気になったね」

 「まあ、今も迷っているけどな」

 「えー、いさぎ悪い!ここまで来てそれはないでしょ」

 「まあ、それだけ嫌だってことだ」

 「そんなに嫌なの。おっさんがそこまで嫌がる相手って一体、どんな人なのよ。すげー気になるわ」

 「だから養成講習に通ってた時の同期だと言ったろうが」

 「ほお、養成講習ねー。ん?確かさー、ヨッチャンのお母さんも同期って言ってなかったっけ」

 「!!!・・・ん?何で親方が知ってるんだ・・・ああ、そうか、ギャラリーにいる時、ヨツモトさんから聞いたのか」

 「まあ、いいじゃない。どこで聞いたって。えっ、それより、今日会う人って、ヨッチャンのお母さんなの?!」
 
 「そうかもしれん。いや、そうじゃないかもしれん」

 「何それ、歯切れ悪っ!いつもの誰彼かまわず傷つけるおっさんみたいにバサーっといっちゃってくださいよ」

 「何だそのJ-POPの歌詞みたいなフレーズは。まあ、プライベートな話だからな。気になるなら本人に直接確認しろよ」

 「何それ、訳わかんない。まあ、いいや、挨拶ついでに聞いてみようかなー」
 神社までの道すがら散歩中のゴールデン(レトリバー)が近づいてきて、イチジョウにすり寄っているが、イチジョウは全く気にせず話し続ける。

 「おい、親方、他人プライバシーに干渉するんじゃない。おはようございます。お名前は?しーちゃんって言うんですか。かわいいなあ。なでても大丈夫ですか」
 飼い主にしっかり許可を取り、イチジョウはしゃがむと慣れた手付きでゴールデンをわしゃわしゃすると、また話し始めた。

 「ヨツモトさんから全然聞いてなかったのか、二人の関係性について。前に仲良くなった的なこと言ってなかったか。はい、どうも。またねー」
 ゴールデンは物足りなさそうに駆け寄ろうとしたが、軽く会釈をしてその場を立ち去った。

 「おっさんって、動物好きなの?何か意外。ちょっと驚いちゃった」

 「ん、いや別に好きって訳じゃないけどな。昔から子供と動物だけは何故か寄ってくるんだよ」

 「へー、意外中の意外。でもそれっておっさんの勘違いなんじゃないの。よくいるじゃん。『動物に好かれるんですよ私』って自己評価あげようとしてアピールしてくる人。おっさんもそのタイプなんじゃない」

 「なんだその悪意に満ちた例えは。俺は別にそんなこと気にもしていないし、逆に予定通り進まないことが多いから、迷惑してるくらいだ」

 「へー、本当かな。まだ疑わしい」

 「人を疑うのはいいけどよ、さっき親方なでようとしてさけられてたろ」

 「・・・いいじゃん別に。私は昔からおいかけても逃げられちゃうタイプだからさー。さっきもなでようとしたら、軽く吠えられちゃったしね。はい、私正直者!」

 「まあ、動物も人を見るんだろ(笑)。よく見てるよな、ははは。はい、どうも、おはようございます」
 ワカバの疑いをよそに神社の入り口に着くまでの間わずか5分たらずの距離で動物:3なで、子供:高い高い2回という奇跡的なポテンシャルを見せたイチジョウであった。  

次回の更新は2023/5/18予定です。

*キャリコン・技能士の学科・論述・面接試験対策を希望される方は


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?