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★最後まで更新『聴けずのワカバ』(番外編)RPケース107「武田淳」さん

読了目安:約12分(全文4,625文字)※400文字/分で換算

 *キャリコン・技能士の学科・論述・面接試験対策を希望される方は

先日開催したライブ配信の相談者役ケース107「武田淳」さんの設定について、時系列と背景(ロープレ小説)をご紹介したいと思います。

以下にて、今回の設定をCCtとCLの逐語風にまとめております。実技試験対策にも有効だと思いますので、受験生の皆様ぜひご覧ください!

CL情報

対象のRP動画関連

時系列

【24歳】大学院卒業後、大手ECモール企業に就職
34歳】アパレル専門のECモール企業に転職(現在の情報システム部門に配属)
39歳】会社にリモートワークが導入される
42歳】半年前にリモートワークが解除され、現在に至る

背景(ロープレ小説風)

「本日はどのようなご相談でいらっしゃいましたか?」

「今仕事してるんですけど、何だかしっくり来なくて相談に来ました」

「しっくり来ないというのは」

「なんともいえないんですよね」

「言える範囲で構いませんので、なんともいえないというのは」

「仕事自体はそれなりって感じなんですよね」

「それなりなんですね。それなりというのは」

「うーん、可もなく不可もなくというか・・・」

「可もなく不可もなく」

「仕事自体はね、慣れてはいるんですよ。でもモヤモヤしてるんですよね」

「モヤモヤされているんですね。モヤモヤというのは」

「・・・働き方なのかな。半年ぐらい前からでしょうか」

「半年前・・・その頃のお話を聞かせてもらっても宜しいでしょうか」

内省シーン(回想シーンみたいな感じです)

約半年前・・・リモート会議中

上司「・・・ということで本日の会議は以上」

武田(ああ、やっと終わった。でもやっぱり快適だ。リモートワークバンザイ!)

「あっそうだ、皆に言い忘れたことある。来月からなんだが、リモートワークが解除されるらしい。みんな良かったな」

(ええー!おいおい、まさかだろ。来月?!聞いてないよ)

「そうか、そうか、みんなリモート大変だって言ってたもんな。それもようやく開放されるぞ」

(いやいや、地獄だろ。開放じゃなくて逆に牢屋にぶちこまれるようなもんだろうが・・・)

「これでまたみんなでフェイス・トゥ・フェイスで仕事も出来るし、飲み会も解禁だ!」

(おいおいおい、嘘だろ。面倒くさいあの行事が戻ってくるのかよ・・・勘弁してくれよ・・・)

「この中だと・・・確か武田が会社から一番家が近いんだっけ。これで残業もたくさん出来るし、飲み会で遅くなっても全然問題ないな!はーはっはっは」

「ええ、は、はい。あははは」
(この乾いた笑いに気づけよ。ああ、嫌だ嫌だ。この体育会系のノリが嫌でリモートバンザイだったのに、逆戻りかよ・・・この2年半ホント束の間だったな)

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「ところで現在情報システム部門でお勤めだと思うのですが、どのようなお仕事をされているんでしょうか」

「まあ、システムトラブルの対応って感じですかね」

「システムトラブルの対応というのは」

「社内の人間の相談というか・・・。例えばホームページのレイアウトがおかしいとか、入力フォームが機能していないとか、プログラマーやシステムエンジニアに伝達するようにさばいているって仕事ですかね」

「ありがとうございます。ところでさばいているというのは」

「なんていうんですかね、社内のユーザーのニーズを聞いて、調整しているって感じですね」

「そうなんですね。そのお仕事はされていていかがでしょうか?」

「・・・仕事自体はね」

「仕事自体はね」

「この仕事長いんで、やりがいっていうんですか、特に感じてはいないですしね。まあ、一言でいえばそれなりって感じですか」

「先ほども仰っていましたが、それなりというのは」

「そうですね、営業なら成績あってモチベーションが上がることもあるんでしょうけど、私がやっている仕事は特に感情の起伏もないですし、普通って感じですね」

「普通」

「うーん、前の会社の時も今と同じような気持ちだったからなあ」

「そうだったんですね。もしよろしければ前の会社のお話を伺ってもよろしいでしょうか」

「前も今と同じEコマース系の会社ですよ」

「Eコマース系というのは」

「ほら、ネットでいろいろな物を買えるじゃないですか、そのショッピングモールを運営している会社ですよ」

「今の会社と比べていかがですか」

「前は大手のECサイトで幅広い商品を取り扱っていましたが、今の会社はアパレルに特化した専門サイトですからね。まあ、仕事は今と同じですけどね」

「その頃はお仕事をされていていかがでしたか?」

「今と変わらないですね」

「変わらない」

「はい、私は元々仕事にやりがいを求めていませんからね」

「差し支えなければ、やりがいを求めていないというのは」

「ええ、まあ、人それぞれ考え方あるじゃないですか」

「そうですね。失礼いたしました。ところで、お話しできる範囲で構いませんので、前の会社に入社した時のことを教えていただいてもよろしいでしょうか」

内省シーン(回想シーンみたいな感じです)

前の会社に入社した当時(一年目)武田25歳

上司「おい、あの依頼まだやってねえのか」

武田「は、はい、今やってます!」

「うちらは社内の人間がお客さんなんだから、待たせずすぐやれよ。全く院卒だか、何だか知らねえが、この仕事は学歴一切関係ないからな」

「・・・は、はい。出来る限り早く対応します・・・」

コーヒールームと呼ばれている休憩所にて

同期「武田、あっ、さん、大丈夫ですか」

武田「あっ、武田でいいよ。岩崎くん、いや、岩崎。年上だけど同期なんだから。気を使わないで」

「はい、武田さん、いや武田って、そういえばデータサイエンティスト目指してこの会社に入社したんじゃなかったっけ」

「そうだよ。そのために大学院でも統計解析の研究やってたんだから」

「それなのに今の情報システム部ってどうなの?」

「当然、納得いってないさ」

「だよなー。俺だって経営のこと勉強したのに総務だもの。ホントやってられねー」

「やっぱ大手だと人も部署もたくさんあるから、確率論で考えたら希望の職種につけるわけなかった」

「おお、なんかデータサイエンティストっぽい笑。でも面接の時に希望は一応言ったんだろ」

「まあな、最終面接で役員に『データサイエンティストやりたくて、御社を受けたので、もし出来なかったら辞退する覚悟です!』まで言った」

「うわあ、熱いじゃん。そして青いじゃん笑」

「今考えたら、よくそんなこと言ったなと思ったけど、今までの人生かけて統計を勉強してたから、本当に思ってたこと言っただけなのにな」

「人生かけてって、大げさだな」

「大げさか、まあ、普通に考えたらそうだよな。でもメチャメチャ真剣に取り組んでたんだ。上司も『あと2年ぐらいしたら、希望の部署に行けるから頑張れ!』って励ましてくれたしな」

「えっ、あの人が?!信じられねー。本当かな。ちょっと疑わしいけど、それなら俺も行きたいところ行けるのかな」

「まあ、今はその言葉を信じてひとまず頑張るしかない。お互いあと2年頑張ろうぜ!」

「おお、そうだな。こんなとこで挫けてらんないな」

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「そのようなことがあったんですね。お話しいただきありがとうございます。その後はいかがでしたか」

「それがその後もずっと情報システム部にいましたよ」

「そうなんですか」

「何度か異動届けも出しましたが、全て上司に却下されてしまって・・・」

「却下・・・というのは」

「なんだかんだ説得されてしまって・・・『お前はこの部署に必要だ』とか、『もう少しここでも経験積めるから頑張ろう』って」

「そうでしたか。その時はどう思われましたか」

「最初はこれも経験だし、必要とされてるならって我慢していました。でも時間が経つにつれて、最初の思いも薄れていきました」

「我慢されていたんですね。ところで最初の思いというのは」

「今になると気恥ずかしいですが、入社の頃の熱い想いっていうですかね」

「先ほども少しお聞きしましたが、熱い想いについて伺ってもよろしいでしょうか」

「あの頃は、『統計で社会を変える!』って思いで大学院まで出て、会社でも学んできたことを活かして、会社にも社会にも貢献しようって思っていましたね」

「会社にも社会にも貢献しようと思われていたんですね。統計で社会を変えるというのは」

「世の中って、不合理なこととか、暗黙知みたいなことたくさんあるじゃないですか。それを数値化・データ化して統計解析したら、もっと効率よく住みやすい社会になるじゃないかと」

「そのように思われたのはどうしてなのでしょうか」

「中学生の時に読んだ一冊の書籍がきっかけだったのかな。それで自分も何かしたいなって」

「何かしたいなと・・・そのことをふまえて情報システム部のお仕事のことはどのように思われていますか」

「うーん、そうですね。正直いうと何も考えていないかな」

「何も考えていない」

「最初はこの仕事も考え方によっては統計に関連する、もしくはあと少し、あと少し頑張れば異動も叶うのかなって思ってましたよ。でもそのうち考えても無駄だなと思うようになって、今ではこの有様ですよ」

「この有様と思われているんですね。そのようなご自身をご覧になっていかがでしょうか」

「・・・無ですね」

「無、無というのは」

「そのうち仕事以外では誰とも話さなくなって、仕事も最小限で周囲との会話も出来る限りしなくてもいいと勝手に考えるようになりました。その結果、会社を去ることになりましたけどね」

「会社を去る」

「はい、何か気まずくなったんですよね。上司からも見限られて、仲の良い同期も離れていきましたから。それで会社を辞めて就職活動したんですけどね」

「就職活動されたけど」

「就活を始めた当初はデータサイエンティストの仕事を探していたけど、34歳で未経験な職種だったこともあって、厳しい状況でした」

「厳しい状況というのは」

「一般的には35歳が転職限界年齢だというので焦って就活していましたが、あとから未経験業界に行けるのは25歳までって聞いて愕然としましたよ」

「愕然とされたんですね。その後はいかがでしたか」

「それで結局、データサイエンティストでの求人は全て書類選考で落ちて、仕方ないからこれまでの経験を活かして情報システム部門での就活に切り替えたら、あっさり内定もらえましたよ」

「そうだったんですね。内定をもらえたときはどう思われましたか」

「うーん、何か嬉しいというより、結局経験なのかと。現状を突きつけられた気がしましたね。だからそれからは仕事には何も求めない、求めちゃいけないみたいな考え方に変わりました」

「考え方に変わった」

「だって、現時点で未経験である以上、これからデータサイエンティストの仕事には就けないじゃないですか。だったらやりがいなんて求めずに仕事は生活のためだって割り切ろうと決めました」

「割り切ろうと決められた・・・そのことについてはどのように感じていますか」

「・・・なんでしょうね。これまでの自分のやってきたことは何だったのかなと思いますよ。ただ、この年になっていざ転職しようとすると、難しいって思いますしね」

「難しい」

「だって前の時はまだ年齢が34歳だったんで、何とかなりましたが、今はもうとっくに転職限界年齢超えてますからね。辞めるに辞められない・・・そんな気持ちなのかな」

おわり

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