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【リハビリテーション】上肢機能訓練と言っても奥が深い【療法5つ言える?】

上肢機能に対するリハビリテーションで研修医から誤解されがちなのが、

「麻痺側の上肢を筋力増強させたり、関節可動域を広げたりすることですよね?」というもの。

それは結果的にそうなっているだけで、考え方の大元は違うんですよね。

これから上肢機能訓練の方法を5つ紹介するので、その方法と共に幹となる考え方を感じてもらえたら嬉しいです。

1、課題志向型アプローチ

課題型アプローチは「学習された不使用(learned non-use)」へのリハビリテーション治療として行われています。

「学習された不使用」とは
①中枢神経系の機能不全により麻痺肢の使用が減少する
②患肢に関わる一次運動野や一次体性感覚野の部位が減少する
(患肢の体部位再現が減少する)
③さらに②のせいで麻痺肢を使用しなくなってしまう

という悪循環のことです。

これが起きないように、スキル課題を設定し、そのスキルを獲得しようという意図を持って’実生活で行う課題’を練習することです。

日本を含む各国のガイドラインでも強く推奨される手法です。

ポイントは課題を「挑戦的であるながら試行可能である」という適度な難易度に設定することです。

難しすぎると、また学習された不使用の悪循環に陥ってしまうからです。

2、CI療法

①麻痺手の量的練習
②反復的課題志向型アプローチ
③練習により改善した麻痺手の機能を実生活に反映するための行動戦略(transfer package)
を持つエビデンスレベルの高い上肢運動麻痺に対する治療手法です。

麻痺手を課題志向型アプローチでたくさん練習させて、実生活でも使ってもらおうというものです。

CI療法も、学習された不使用の悪循環を断つことができる手段です!

3、ニューロモデュレーション

非侵襲的中枢神経刺激療法や電気刺激療法などのことです。

非侵襲的中枢神経刺激療法として反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)法や経頭蓋直流電気刺激(tDCS)法があり、脳卒中患者の運動麻痺に対して効果があるとされています。

・反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)法
経頭蓋磁気刺激装置を用いて、頭上に置いた刺激コイルから頭蓋内に磁場を発生させることで大脳皮質の介在ニューロンを賦活します。脳卒中患者の運動麻痺に対しては30日以内に行う方が効果は高いとされています。

・経頭蓋直流電気刺激(tDCS)法
頭皮上に貼付した刺激電極から1~2mA程度の微弱な直流電流を3~30分程度通電することで、頭蓋内の脳皮質の興奮性を高める、もしくは低下させることができると考えられています。それを活用してリハビリテーション治療と併用する事で脳卒中患者の機能改善効果が高いことが知られています。

このニューロモデュレーション手法は上肢機能に対するリハビリテーションに対しても件用効果が知られています。

4、ロボット訓練

わが国を含む国際的なガイドラインにおいても、脳卒中後の上肢麻痺に対するロボット訓練は高く推奨されています。

歩行補助ロボット、上肢訓練支援ロボットがあります。

また他記事で解説しますが、ロボットがどのような機序で患者さんに利益をもたらすかという視点で処方することが大切です。

5、促通反復療法

促通反復療法は、共同運動から分離運動を促進する手技です。

共同運動とは、上肢なら肩・肘・手首・手指全体を、下肢なら股関節・膝・足首・足部全体を1方向にのみにしか動かせない(分けて動かせない)後遺症です。

逆に分離運動とは、肩なら肩だけ、手首なら手首だけを別々に動かすことをできるようにする手技です。

この療法には適応があって、脳卒中回復期患者で上肢BrunnstormステージⅢ以上、慢性期患者ではⅣ以上と考えられています。

基本的な手法は、
①患者の動かそうとする部位へ徒手的な操作を加えて、伸張反射や皮膚筋反射を利用して運動を誘発します。
②患肢への注視(見つめる!)、治療者の口頭指示による聴覚刺激(聞かせる!)を加えることにより、患者の意図した運動をより簡単に実現させるよう促します。
③1つの運動パターンにつき100回程度反復します!


どうでしたか??みなさん5つ全部知ってましたか??

特に1の課題志向型アプローチ、学習された不使用の悪循環、はキーワードなので、ぜひ覚えて帰ってください!!

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