行動科学のチカラを県政に活かす。
こんにちは!福井県庁CND(カーボンニュートラルディレクター)の岩井です。年末年始、本当に色々なところで「脱炭素」「カーボンニュートラル」という言葉を目にしました。世の中の動きにしっかりと付いていけるよう、2023年も頑張っていきたいと思います!
今日は、先日福井県庁で始動した新プロジェクト「福井県版ナッジ・ユニット(fuBit)」について、少しご紹介したいと思います。
ナッジって…何?
皆さんは「ナッジ(nudge)」という考え方をご存知でしょうか??
…と偉そうに言っていますが、私は2年前まで、この「ナッジ」、まったくの無知でございました。恥ずかしながら、「ナレッジ(知識)みたいなものかな?」と思っていました。私とナッジの出会いは、当時、やり取りをしていた企業さんから、「全国の自治体でナッジの活用事例が増えている。福井県でも活用してみませんか?」とご提案をいただいたところから始まります。(移住促進の部署と連携して、どのようなメッセージが効果的を検証しました。公表はしていませんが、知事がTwitterで呟いてくれています)
そもそも、ナッジ(nudge)は、英語で「そっと後押しをする」という意味だそうです。決して押し付けや金銭的なインセンティブに頼るのではなく、行動科学の知見を活用し、あくまで個人の選択の余地を残した上で、より良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法です。代表的な事例に、八王子市の「大腸がん検診」があります。
八王子市では、市民の方の大腸がん検診の受診率の低さに頭を抱えていました。ここにナッジの考え方を取り入れ、市民向けの通知のメッセージを少し変えてみた(人間の意思決定の癖の一つである「損失回避」を意識したメッセージへと変更)ことにより、受診率が一気に向上。まさにナッジ活用の成功事例と言えます。
福井県版ナッジ・ユニット(fuBit)爆誕!
移住促進メッセージのナッジ活用実証は、「ナッジって面白い!!」と私たちに気づかせてくれるものでした。それがきっかけとなり、職員数人で、全国の有識者や公務員が参加する有志勉強会PolicyGarage(通称:ポリガレ)にも参加。全国規模でナッジの実践活用・ノウハウ共有が活発になされている事を知りました。「こんな世界があったんだ…」とただただ驚くばかりです。
そんな中、全国の自治体で地域のナッジ勉強会(自治体ナッジ・ユニット)が立ち上がっていきます。「…福井県庁でもやりたい!!」。そんな思いを強くした私。ラッキーな事に、私の職場には「チャレンジ政策提案」という制度があって、若手職員が知事に直接政策提案が出来る機会がありました。同じ職場の相棒や同志数名にも声をかけ、無事提案までたどり着き、福井県でも「福井県版ナッジ・ユニット(fuBit)(フゥービットと呼びます)」を立ち上げる事が出来ました。
R4年12月には、立ち上げと同時にPolicyGarageと連携した研修も実施。庁内から部局横断で30人が参加してくれました。
「ナッジ」の手法、県政導入考える 県職員有志がグループ、初研修 | 政治・行政 | 福井のニュース | 福井新聞D刊 (fukuishimbun.co.jp)
ナッジを正しく県政に活かすためには。
この研修で学んだことはたくさんあるのですが、特に印象に残ったのは、ナッジには限界がある(強固にその行動を取らない人を動かすには向かない)ことと、倫理的な課題もある(正しい目的にのみ使うべき)ということです。それゆえ、色んな人の目で、検証・分析していくことが必要だと思います。スモールスタートで始めて、ひとつずつ経験を積み上げたいです。
個人的なミッションとしては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、私たちが取るべき行動の呼びかけにもナッジが活用できないか、考えて行きたいと思います。もちろん、それが正しい手法かどうかの検証も含めて。続報をお届けできるよう頑張ります。それではまた!
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