Vol.01 HANAFUKUが離島に届けるもの(Episode.2)
前回の Episode.1 はこちら ↓
午前6:50 佐久島西港着、配達開始
佐久島行きの船には、田中さんと商品の他にも、島で働く人たちが乗り合わせた。
佐久島には、西尾市立佐久島しおさい学校という、島唯一の義務教育学校がある。そこで教鞭をとる人たちも乗船している様子だった。
また、佐久島は「アートの島」としても知られている。そのため、インスタ映えする島の景観に魅せられた観光客向けに、新しいカフェや飲食店が島内に点在する。そうした店のスタッフの中にも、この渡船を使って島に向かう人がいるのかもしれない。
船は時刻表通り、午前6:30に一色港を出発した。これから佐久島の東西にある港に向かう。西港を経由して東港に着岸し、折り返して再び西港を経由して一色港に戻る航海ルートだ。HANAFUKUの配達は、島の西側にある集落からスタートする。
僕は、エンジン音を響かせながら白い飛沫を上げて三河湾を南に進んでいく船の甲板に出た。梅雨入りを証明するような雲が朝日を遮っているものの、肌で感じる潮風が梅雨独特の重苦しさを振り払ってくれた。
船内に戻ると、窓越しに海を眺めていた田中さんが呟いた。
「雨、降らなきゃいいけどね」
田中さんはお客様に商品を届けるために島へ渡る。渡船が運行している限り、天候に左右されることなく、お客様はHANAFUKUを待っている。僕は田中さんの言葉を受けて、少し浮かれた気分を自戒した。
船は一色港を出発してから20分ほどで、佐久島の西港に到着した。
「降りようか」
田中さんに促され、僕は下船した。田中さんは、島内で借りているという配達用のワゴン車に、船内の積み荷を移し替えた。
午前8:37西港発一色港行きの船に、田中さんは乗らなければならない。全ての配達を終えて西港に戻るまで、残り時間はおよそ1時間30分。
ここから効率的かつ丁寧な、お客様との触れ合いも交えたHANAFUKUの配達が始まった。
Episode.3につづく
HANAFUKUのご紹介(ホームページはこちら ↓ )
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