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今ここキャリア~転機の法則を見つける旅~

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いま「予期せぬ転機」の渦中で苦しんでいる人に読んでいただきたい『今ここキャリア~転機の法則を見つける旅~』。これは転機とともに生きてきた人の現在に焦点を当てたマガジンです。かつて… もっと読む
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Vol.01 HANAFUKUが離島に届けるもの(Episode.4)

前回の Episode.3 はこちら↓ 午前8:30 配達終了、HANAFUKUが離島に届けたもの佐久島の東集落にある八劔神社。その参道に出る通りを抜けて、田中さんは郵便局の前に車を停めた。海岸に向かって下る坂道の先に、男性が1人立っている。田中さんが呟いた。 「さっき電話をくれたお客さんだ」 電話のあったお客様に無事商品をお届けし、紫陽花の咲く阿弥陀寺周辺の民家へ配達する途中、田中さんが言った。 「船の警笛が合図なんだよ、警笛が聴こえる頃に東港あたりにいれば、大丈夫

Vol.01 HANAFUKUが離島に届けるもの(Episode.3)

前回の Episode.2 はこちら↓ 配達中、島民との交流と突然の電話佐久島は三河湾に浮かぶ離島の中で最大の面積を誇り、標高30メートル台で連なる丘陵地帯にも民家は点在している。そんな島内の配達は西側の集落から始まり、東側の集落・民宿エリアまで続く。 集落の間を通る道はとても狭い。ワゴン車を駐車できる路側帯もない。集落の中を配達するためには、わずかな駐車スペースに車を停めて、徒歩で届けるしかない。田中さんは限られた時間の中で、高低差のある島内を1軒ずつ歩いて配達していく

Vol.01 HANAFUKUが離島に届けるもの(Episode.2)

前回の Episode.1 はこちら ↓ 午前6:50 佐久島西港着、配達開始佐久島行きの船には、田中さんと商品の他にも、島で働く人たちが乗り合わせた。 佐久島には、西尾市立佐久島しおさい学校という、島唯一の義務教育学校がある。そこで教鞭をとる人たちも乗船している様子だった。 また、佐久島は「アートの島」としても知られている。そのため、インスタ映えする島の景観に魅せられた観光客向けに、新しいカフェや飲食店が島内に点在する。そうした店のスタッフの中にも、この渡船を使って島

Vol.01 HANAFUKUが離島に届けるもの(Episode.1)

梅雨入り2日目の6月11日。僕は歩いて黒壁の間の小径を抜けながら、前日の天気予報を裏切って雨を落とさない曇り空を眺めた。このまま帰港の便まで濡れずに済めば良いな、とスマートフォンのアプリで天気を確認した。どうやら大丈夫そうだ。 僕の耳には、雨音の代わりに鶯や鳶の鳴き声が途切れることなく届いている。この島に彩りを加える音だな、と耳を澄ませていると、牛乳配達員の元気の良い声が周囲に響いた。 「おはようございます、HANAFUKUです!」 配達準備、午前6:30 一色港発 佐

「転機」の連載、はじめます

はじめまして。Caramel dock(キャラメルドック)の市岡です。 突然ですが、来週から連載をはじめます。 連載記事のテーマは「転機」です。僕が「転機」を描くことには、理由があります。 今、たくさんの人が「予期せぬ転機」を迎えていると思います。そんな転機の渦中で苦しむ人に、今、僕ができることはないのか、と考えました。 僕は物語が大好きです。心がほっこりと温まったり、チクリと痛むもの。強く励まされて、一歩を踏み出す力をもらうもの。自然と涙がこぼれるもの。心が動いて