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[日産•オーラNISMO]期待以上!モーター駆動でも感じられる、確かな"走りごたえ"

「電動化しても、楽しいクルマ、あったね」

昨年末にデビューし、新世代ホットハッチの爆誕と称された日産•オーラNISMO

より高性能となった第二世代e-powerを搭載しながら、コンパクトカーらしからぬ上質感を兼ね備えたノート•オーラ(以下:オーラ)がベースなだけに。

そこにスポーツ色を付け加える事で、どんな味になるのか?登場時から気になっていましたが。

実際に乗ってみたところ…

「現時点で、他にないよ、コレは。」

と、実感するほど。驚きあふれる仕上がりとなっていました。

一体なにが、その言葉を連想させたのでしょうか⁇試乗レビューをお届けします。

・試乗協力店:(株)日産サティオ埼玉北 加須店
https://ns-saitamakita.nissan-dealer.jp/store/213/top.html

※NISMO:日産のモータースポーツを統括する。近年では、レースシーンからフィードバックした技術を取り入れたカタログモデルの開発も行っている。

※記事内 画像引用:日産自動車株式会社
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/aura/specifications/nismo.html

■小さいながら、レーシングカーさながらの迫力

スポーツというより、レーシーという表現が似合うオーラNISMOの外観。現行のノートシリーズが持つ先進的なイメージも相まって、日産が「電動シティレーサー」と例えるのも納得。

特徴として、やはり目に付くのはNISMOのイメージカラー•レッドで統一されたエアロパーツ。

流線形なボディに組み合わさることで、エッジが立ちすぎているようにも見えてしますが…そこは流石NISMO。

やぶからぼうなレーシングイメージではなく。各レースシーンで得たノウハウより、空力を考慮して出来上がったエクステリアデザインとなっています。

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<アグレッシブなフロントスポイラー&レースカーを彷彿とさせるリアバンパー。バンパーの違いにより全長はオーラよりロングとなる>


インテリアも、NISMOらしいスポーツマインドを取り入れながら、質感高い車内空間となってます。

ベースであるオーラが木目調を多用するなど、ラウンジを意識した温かみのある内装を展開していたのに対して。

このオーラNISMOは、サーキットトラックを連想させる、黒基調のマッシブさ漂う仕様となっている。

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<質感を損なわず、スポーティさを取り入れている>

視覚的にも高揚感がかなり高まってきたところで、手触り良いアルカンターラ巻のハンドルを握り、いざ念願の試乗開始!

期待と興奮が入り混じっているこの状態で、はたして普通のインプレが出来るのか?(笑)

なんて、リアルに思っていたのですが。

走り出した途端、ベースであるオーラとの違いがハッキリと感じられる仕上がり具合に、瞬時に冷静さを取り戻す事になりました。

■NISMOのみ与えられた加速フィール

オーラNISMOの代表的なトピックとして加速性能の向上が挙げられます。

ここで、日産のハイブリッドシステムであるe-powerを紹介します。このシステムは、エンジンは発電のみに使われ、モーターが駆動する「シリーズ式ハイブリッド」です。
そしてこのe-powerは、以下の画像の通り3つのドライブモードを選択することができます。

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注目したいのは、デフォルトであるecoモードの欄。このモードは"加速=中&回生ブレーキ=大"という燃費優先でありながら、CMでも見かけるワンペダルドライブを堪能できるモードなのですが。

このオーラNISMOのecoの加速力は、ベースであるオーラのスポーツモード(加速:大)と同じなのです。つまり、標準でかなり加速力が高いモデルであるという事です!

その結果ecoモードでありながら、街中では必要十分...むしろそれ以上と思うぐらい俊敏な加速フィールを味わえる様になっていました。

しかし、スポーツモデルさながらの加速力を持ちながら。元々のオーラが持っていた上質さも損なわれていません。

なので、とても落ち着いた雰囲気の中で、確かな高性能を堪能出来ます。

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<液晶メーターもレッド&NISMOロゴが入る>

そして、このオーラNISMOには独自機能として”NISMOモード”が備わります。 

これは従来のSPORTモードに相当し、先ほどの画像で分かる通り加速力のパラメーターがMAXとなります

同じモードを搭載したモデルが存在しないゆえに、乗ってみないと分からない。まさにブラックボックス。

試乗コースで直線区間に指しかかったタイミングで、「ここだっ!」とドライブモードをNISMOに入れて、アクセルを踏み込む。

その瞬間...


「おおーっ!!」

と、思わず叫んでしまったぐらい。凄まじい速さと伸びのある加速に変化。

瞬時に大出力を得られるモーター駆動のメリットを最大限に活かし、抵抗なく速度が急上昇するこの過疎フィールは、「ギュンッ」という擬音表現がまさにピッタリなダイナミックさを持っています。

これならば高速道路の合流や、はたまたサーキットまで。スピードが求められるシーンにおいても、なんなく対応できます。

しかし、この驚きの加速フィールを得た上で、コントローラブルにならずにフラットなドライビングフィールを実現している点も、このクルマの秀逸なポイント。

実は筆者は、過去にも似たような加速フィールの車種に試乗した経験はありますが。

その時に感じたのは、「車がグイグイと、前から引っ張られる様に直進する」というフィーリングでした。瞬時に立ち上がるトルクを活かした、まさに”矢のように直進する”というイメージです。

しかし、直進安定性の強さが際立つあまり「このスピードを活かしたままコーナーに飛び込んでいくのは、躊躇してしまうなぁ」と思ったのも事実でした。

それが、このオーラNISMOではどうでしょう。
同じ様な加速でも"前から引っ張られる"ではなく、しっかりと4輪が路面を掴みながら力強く前進している感覚を実感できます。

これを実現しているのが、前述したエアロパーツによる空力特性と、足回りの絶妙なセッティングが織りなすグリップ性能の高さです。

そのため、レーシーさを感じる”スピード”と上質な”安定感”を見事に両立した、現段階の国産モデルにおいてまさに唯一無二と言える加速フィールを、このオーラNISMOは実現していました。

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<速度を上げるほど安定性が増していく印象。各部のエアロパーツが、相当効いている証拠>

■曲がらせて驚く、ダイレクトさ

次に、ハンドリングもふくめた全体の乗り味について。前述した加速性能のくわえて、このオーラNISMOでは足回りもスペシャルなセッティングが施されています。

実際に乗ってみると、スポーツ色の高いNISMOモデルであることもあり、ベースのオーラに比べて硬い乗り心地ではあります。

だけれども、この”硬さ”がまた絶妙なフィーリングなのです。

コテコテのスポーツカーの様な”ゴツゴツ感”は無く、一般的な普通車の様な”フワフワ感”でもない。その中間を、うまく再現しているイメージです。

路面からの衝撃をうまく吸収してくれて、車内には違和感が伝わらずにフラットな乗り心地が続いていく。ベースのオーラが持っていた「しっとりとした上質さ」を感じられる、全体的なしなやかさは残っています。

そこにチューニングが施され、無駄をそぎ落として引き締まった足回りを手に入れた事により、このオーラNISMOには「ビシッとした安定感」が加えられました。

実際に街中で運転していても、筆者は不快感を覚える事はありませんでした。

むしろ、ダイレクトさが増したハンドリング+さらに強まったフラット感により、ドライバビリティの高さを感じられて好感触です。

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<専用カラーの標準シート(1枚目)でも普段使用に不満はないが。欲を言えば、オプションのレカロシート(2枚目•左)でスポーツ感を強めたいところ。>

そして、よりダイレクトさを目の当たりにしたのはコーナー区間。

このオーラNISMO、コーナーリングがメッチャ気持ちいいんです!

試乗コースの途中にあった、中速のS字コーナー区間。ブレーキペダルを踏まず、回生ブレーキでの減速のみで、最初の右コーナーに進入。

車の向きを変える時はロール(傾き)が発生したものの、そこからアクセルを開けていった時です。車体の傾きが瞬時にフラットな姿勢に戻ると同時に、しっかりと4輪が地面を掴み、まるで地を這う如くなオン・ザ・レールのコーナーリングを実現

そしてスピードと姿勢をキープしたまま、2つ目の左コーナーも狙ったライン通りにクリア。

タイヤのグリップを確かにハンドルで感じながら、ドンと低く構えたボディがスムーズに向きを変えて力強く加速していく、このコーナーリング感覚。

意のままのコーナーリングという表現その通り、まさにクセになりそうです!

「ワインディングで、走らせてみてぇー!このクルマ!」

と、自然と口からこぼれてしまったぐらい。

スポーツシーンのみならず、一般道でも”曲がり”が楽しめることを実感しました。

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<ミシュラン•パイロットスポーツ4&専用ホイールの組み合わせも、この驚きの走行性能に影響している>


普段使いを視野に入れた質感の高さと、スポーツモデルらしいダイレクトさ。この2つを高いレベルで両立している仕上がり具合には、ホントに驚かされました。

既にスポーツカーを所有しているユーザーさんはもちろん、これから乗る車を検討している人にも、ぜひ一度体験してもらいたい乗り味です!

そして、環境性能や電動化の色が強いモーター駆動車でも、十分にドライビングを楽しめる国産モデルが、現時点でも確かに存在する。

この事実を知れただけでも、大満足な試乗でした!(いやー、ホントに乗りたい1台です!)

ちなみに唯一気になった点と言えば、路面のギャップに敏感に反応することぐらいでした。

全体的な応答性が上がっているのもあり、段差上を通過する際にハンドルに若干の入力が感じられます。しかしリカバリーが早いので、ハンドルが取られたり、車体が大きく揺れる事もなく。

「あ、いま反応したな」程度のフィーリングです。洗練さが際立っている乗り心地な分、最初は違和感を覚える人も居るかもしれませんが。慣れてしまえば、気にならなくなる事象でしょう。

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