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[カローラクロス試乗] "ちょい控えめな"マルチプレーヤー

「中身は丁度良く、外見は控えめ、走りは上質」
9月14日に発売となったトヨタ・カローラクロス。
長年のカローラの歴史で初となるSUVボディを持ち、既存のカローラ兄弟(カローラ・スポーツ・ツーリング)に引けを取らない”カローラらしさ”も兼ね備えている。
都市に馴染むアーバンSUVのニューカマーとしても期待が高い、このクルマ。
Zグレード・HYBRIDの試乗レポートをお届けする。

試乗協力店・トヨタカローラ栃木 宇都宮陽東店
https://www.corolla-tochigi.co.jp/store/utsunomiyayoutou

■ファミリー層にもオススメできる、良い意味で"似つかわしい"上質さ


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「ヤリスクロス以上、RAV4以下のサイズ感」。メーカー側が車名を使って説明している点に、いさぎよさを感じる。実寸値を見なくても、大まかなイメージが付きやすい。

そしていざカローラクロスと対面すると、まさにその通りだなと感じた。
小さすぎず、大きすぎず。ロケーション問わず使い勝手の良いジャストサイズと言えるだろう。

さらにボディだけにとどまらず、その乗り味も”丁度良さ”に溢れている仕上がりとなっていた。

まず注目したのは、足回りの滑らかさだ。段差上を走行した際も、まるでマジックの様にフラット感が消えない乗り心地が続くっ! ただ単に”いなしている”だけでは留まらない。「エアサスでも搭載しているのか?」と思ってしまうそろ上質さに、驚いてしまった。
これを実現している理由としは、トルク制御で車体の上下運動を軽減させるばね上制振制御(ハイブリッド車のみ)が備わっているのに加えて、TNGAプラットフォーム&足回りの味付けが効いているのだろう。

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ばね上制振制御のメカニズム&TNGAプラットフォームの全容[画像引用:トヨタ自動車(株)]

おまけにプラットフォームの良さは、車内の静粛性向上&素直で軽快なハンドリングにも繋がっている。コーナリングの際も、無駄な抵抗感もないスムーズな方向転換が可能だ。

次に、パワートレーンについて。
試乗したZ ハイブリッド(2WD)おいて、最高出力92PS・最大トルク142N・mのエンジンに加えて、最高出力72PS・最大トルク163N・mのフロントモーターが搭載されている。

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[画像引用:トヨタ自動車(株)]

突出したスペックではないが、普段使いにおいては必要十分なパワーはある。
実際に街中の走行においても、モーターアシストによるスムーズな発進&フリクションレスな加速フィールだった。
また、速度域が上がる環状線区間にてドライブモードをPWRにしてみたが、急激なトルクアップや挙動の乱れはなく。あくまでスムーズな加速フィールを保ったまま、中速域も難なく走行出来た。

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PWRモード時のメーター画面

しかし、あくまで予想だが。今回の試乗では未体験な高速道路でのクルージングや、勾配が付いたシチュエーションでの加速性能については、少しパワー不足を感じてしまうかもしれないとも思った。

■意味のある「シンプル」。思わぬオモシロ要素が隠れているインテリア

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主張しすぎず、それでいてスタイリッシュさを感じられるエクステリアデザインは、アーバンSUVらしく都市部にも映えるだろう。それでいて大型なロアグリル&近年のトレンドでもある多角形フェンダーアーチにより、随所に逞しさを表すアクセントも取り入れられている。

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SUVらしい大開口のロアグリル

インテリアも、いたってシンプル(すぎるぐらいだ)。窓面積が大きく開放的な空間が広がっているだけに、黒基調でシルバーのアクセントも最小限に留めている点が、車内空間のオープン具合に一役買っているのだろう。

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前席には、ホールド性の良いスポーティーシートが備わる。乗り込んでみると、SUVらしい余裕のある運転席周りだった。

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車格が大きくなった恩恵を一番受けたのは、リアセクション。
余談だが、過去に試乗したヤリスクロスのリアセクションは狭かった。
それに対しカローラクロスでは、リア席に余裕が出来た。身長183cmの筆者でも難なく座れて、高さ方向も拳一個分の余裕がある。

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リア席比較(画像上:ヤリスクロス 画像下:カローラクロス)

そしてラゲッジも十分な容量が確保されている。シートを倒すと、さらに奥行きが生まれる。 しかしリア席を倒すと、大きめの段差が出現するのが難点と思われる。

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これに対してメーカーより、トランクスペースに配置する事でフラットスペースを生み出す「ラゲージアクティブボックス」が用意されている(2021年12月発売らしい。なぜ車体と同時発売にしなかったのか?)
ちなみに、フラット状態で前席を最前位置にすることにより、身長180cmの人が足を曲げずに横になれる空間が生まれるらしい。

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[画像引用:トヨタ自動車(株)]

また、このカローラクロスにてトヨタは面白い試みを行ってきた。
下のカローラクロスのロゴマーク。

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このマークが、車内で全23か所に配置されているらしい。「隠れカローラクロスを探せ」だ。

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真面目に必要性を語るより、プラスされた遊び心に筆者は面白さを感じた。近年、この様な楽しみがあったクルマはあっただろうか?

実際に購入されたユーザーさんには、ぜひ全箇所を探し当ててほしいものだ。

◾️"モビリティ"としての在り方を考えたクルマ

今回のカローラクロスの印象は、表題にも書いた"マルチプレーヤー"感だ。

扱いやすいボディサイズ、滑らかな乗り味、複数人で移動可能な室内空間、十分なラゲッジ。それでいて近年の新車にしては求めやすい車両プライス。 

必要な物は概ね揃っている。だが、その全てにスペシャリティ性を感じる事は、なかった。

グラフで例えるなら、ドンピシャなバランス型。実はそれが、このカローラクロスの魅力なのだと思う。

車に対して求める性能がハッキリしている人からしたら、確かに物足りなさを感じてしまうかもしれない。

しかし、あくまで1つの移動手段(=モビリティ)として車を選ぶユーザーが大半の世の中だ。その様なユーザー達にも"車移動の楽しさ・快適さ"を感じれる要素は十分備わっいる。

キャッチコピーにある「あなたの個性で完成する。」の通り、この車を通して「あなたらしいクルマの楽しみ方」を見つけてくれる人達が増えてくれたらいいなと思う。



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