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14.がん治療でお悩みの方へ綴る《化学療法4》

従来使われていた五年生存率に加えて、最近では十年生存率を発表するようになってきました。公にしても耐えられる数値になってきた、ということですね。ステージの低い方は手術だけでも生存率が高まってきた為かもしれませんし、それは早期発見早期治療の結果と言えるかもしれません。ともかく、ゆるゆるとでも医学は進歩して結果を残しているようです。

まあ、この数値は目安であり、判断材料の参考にして頂くことは構いません。体に問題が起こりやすいので化学療法の内容がブログで長々と続いております。端的に言うと下手に使えば人生が狂うので注意が必要な領域にてくどくどと書くのです。

・分子標的剤は副作用が少ない話
夢の新薬でとして鳴り物入りで医学会に登場した薬剤です。腫瘍縮小効果を発揮する事例があるのは事実です。最初のものは肺に致命的な合併症を起こし死者を何人か出しましたけれど、その後は注意して使うようにと注意事項が追加され、今も使われ続けています。肺に問題が生じ始めた時点で中止の決定が下されますが、壊れた肺は戻らないので呼吸苦を残したりします。医学に於いて、腫瘍が縮小するために肺が損傷しても仕方がないと考えます。呼吸が苦しくなろうとも、腫瘍が縮小して延命に繋がればいいじゃないかと。程度にもよりますが、同感であれば問題ありません。

実際に使われた方から伺いますと、今も分子標的剤は副作用が少ないという説明を主治医がするようなのですが、正確に書きますと「初期に使われていた抗がん剤に比べると、その副作用は少なくはなっている」ということです。ただ、「新たに分子標的剤特有の副作用が加わっている」ことを言われないことがあります。これも添付文書を読んでみると分かります。決して副作用が無いわけでもないし、少ないわけでもありません。副作用の内容が変わっただけです。ですから、「副作用が少ない」という言葉の前後にサイレントの言葉がありますよ、と知っておきましょう。

正しくは、昔のタイプの副作用は少ないが、新たな副作用がありますよ、です。

副作用の話を真面目にする主治医が少ない理由は恐怖を植え付け拒否されることを防ぐ必要があるからです。まあ、効く人には効くので、この表現は良くないかな。反応する人には腫瘍縮小効果を得ることができるので、延命には繋がる可能性があります。試す価値はあるとも言えます。上手くすると寛解に持ち込めるかもしれませんので、主治医によく話を聞いて試すことは悪いことではないと思います。

ここも表現に注意してください。「試す価値」とありますが、これは科学的ですか? 貴方に効果があるかどうか分からないけれど、データによれば腫瘍が小さくなる率がある。貴方がその中に入る可能性に賭けるか?どうか? 「賭け」は科学的ですか? エビデンスを口にしながら試す、賭ける、可能性、というような非科学的な言葉を使っています。大抵は惑わされ主治医の指示に従います。言い過ぎ?ですか? まあいいや。

DNAを調べて自分に合う抗がん剤を探すこともできるようになりましたので、最も反応しやすい抗がん剤を選ぶことも、中には可能だったりします。まあ、闇雲に使うよりは意味があると思います。延命に繋がるかもしれません。

ともかくですね、問題が起こったときの撤退時期を遅らせると命に関わるから要注意なのです(医者はギリギリまで待つことが多いから)。効果が無いと分かった時点で中止の選択をしましょう。効果があるかどうかを常に主治医へ確認し、体調を重視し、効果今ひとつで薬剤継続する場合はその根拠を明確に述べてもらい、それに納得するかしないかです。難しいかもしれませんが、命がかかっているので頑張ってやりましょう。

・免疫賦活剤は免疫を暴走しかねない話
年間で3000万円かかると言われている夢の抗がん剤も世間を賑わせました。政府は高額医療費制度の撤廃を検討しているとなれば、アメリカのように医療費破産が増えるかもしれません(今はいくらかかっても払う医療費が10万円前後の制度あり)。もし撤廃されれば高い保険に入るしかなくなります。政府・製薬会社・保険会社が三つ巴になり、、あ、やめておこう。この話。

話を戻しましょう。免疫を賦活する抗がん剤、夢のような抗がん剤として、これまた鳴り物入りで登場しました。過剰に免疫を賦活するとがん細胞に対してだけではなく、自身の細胞にも鉾先が向いてしまうことがありますよ、ということが添付文書を読むと解ります。ページをいくらめくっても副作用の記述がたくさん並んでいます。ここまで長文の副作用記述はなかなか見られませんので、使えば必ず何かの副作用は起こる、と思っていた方がいいでしょう。しかし、腫瘍縮小効果を出す方もいるので無意味とは言えません。諸刃の剣ですけれど、得られる効果は延命です。元気はつらつで延命したいと皆さんは思うでしょうが、化学療法はそう簡単ではないのです。

ただ、分子標的薬も免疫賦活薬も、功を奏したときには腫瘍が小さくなる事があるのも事実です。私は癌が消えた方、効果無く亡くなった方、色々あいました。しつこく何度でも言いますが、使うと『小さくなることがある』です。その後、治癒に至る訳ではありません。小さくなれば、死は少しの間遠ざかるでしょう。副作用を喰らってでもその価値を見いだせるのか? そこが焦点となります。小さくなって手術が可能となるなら意味があります。小さくならず手術も不能のままなら副作用だけもらって残念でした、になります。小さくして、後は自力で治す!ということなら意味を見いだせます。

どこに意味を見いだすのか?

ではしつこく、もう一度。抗がん剤で最も重要なことは「引き際」なのです。気づいたら崖っぷち、土俵を割る寸前、これでは副作用で向こうへ持っていかれてしまう可能性が高まります。プロローグにも登場した西の地方の医者のように悪い点はここで、落ちる寸前まで使ってしまう諦めの悪さです。だから患者さんが「もうやめたい」と告げなければ止まらない場合がありますよ、と。言っても止まらないことはありますけど。この辺のお話は堂々巡りのようになり、文字では書ききれないので、、、すいません、では今日はこれくらいで。個人的に相談したい方はホームページを参照してください。

…つづく

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