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第四回【Best Regret Buy】『テーマ投資』の罠!?

 こんにちは!投資カピバラ(@Capybara_Stock)と申します。
 ここ数カ月はClubhouseという場末のSNSで活動している関係で、noteはかなりご無沙汰になっておりました…

今回はタイトルの通り【Best Regret Buy】という題で、2021年を振り返って投資失敗談をリレーで共有する信太郎さんの企画になります!

第一回:信太郎さん

第二回:煉獄さん

第三回:ビッツさん

 普段の分析記事はファクトベースでまとめていますが、今回の記事は私個人の主観・お気持ち多めで執筆しております。あくまでエンタメ記事としてご覧ください🎵

1.私のBest Regret Buyはずばり○○○○だ!

 今年の投資環境を振り返ってみると、年初の小型株・中国株暴騰⇒暴落に始まり、インフレ警戒からの素材・エネルギー上昇、レバナスやオニール流の流行など、ひたすら右肩上がりの2020年からは打って変わって主役が次々と入れ替わる、非常に目まぐるしい相場でした。

 投資2年目の若造である私も例に漏れず右往左往しており、単純に「損切した」「利確しそこなった」という事例を挙げればきりがありません…
 しかし今回はその中でもBest Regretを…ということで、私がチョイスしたのは「GRWG : GrowGeneration」です。

 GRWGについての詳しい解説は、少し前の記事ですが、↓のやすさんの記事がわかりやすいです◎

 簡単に銘柄の特徴を挙げておきますね。
 ・水耕栽培機器の小売業者
 ・主にオーガニック食材や大麻の栽培に利用
  ⇒急成長する大麻市場の⛏銘柄として注目👀
 ・時価総額1B未満の小型株
 ・売上高成長率は毎四半期YoY150%前後を叩き出す超高成長企業
  ⇒大麻が合法化された州で次々と買収を繰り返し店舗を増やす
 ・EPSも黒字で急成長

 最初に購入したのは2021年11月6日。購入に至った背景としては…
 ・大統領選挙でバイデン氏が勝利。
 ・バイデン政権は嗜好用大麻の合法化に積極的。
 ・コロナ感染拡大で悪化した州財政や雇用改善を名目に
  大麻を合法化する州が増加
 ・WHOでも医療用大麻を認める動き

 上記のような背景から大麻銘柄に注目。前提知識として米国は州毎に大麻の合法/非合法が決まっており、西海岸を中心に合法化の動きが加速しています。

やすさんの動画より

 一方で、いわゆる大麻の製造(栽培)業者:CGC,ACBなどは株価の伸びに対して利益率・成長率共に悪く、そもそも大麻の栽培は参入障壁が低い(個人が自宅で栽培できるレベル)ため、これらの企業への投資はリスクが高いと判断。
 そこで白羽の矢が立ったのが、⛏銘柄としてのGRWGでした。

 ファンダも申し分ない、テーマ性も◎ということで直近高値を更新した11/6に$20台で新規購入、その後も押し目のたびに追加購入を行い、株価は2021/2/10のピークでは$67.75まで上昇!初期ロットからは3か月で3🍔、取得単価ベースでも2🍔を達成してホクホクです!
 (青矢印が購入ポイント)
 (2021年のBuyじゃない?まあもうちょっと読んでおくれよ)

 2021年2月終了時点では大麻銘柄がETFのパフォーマンスランキングを独占!時代は大麻^^^


 ここまではよかった…


 2021年2月中旬、長期金利急騰。グロース焼野原。
 当然ハイグロであるGRWGも例に漏れず$30台まで押し戻されるも「今の動きは一時的」「こんなにファンダが良い株ならいつかPSRに売り上げが追いつく」との考えのもと押し目でひたすら買い集める。

 相場が復調した7月には再び$50台まで回復。TLにも安堵が拡がりました。

 GRWGの最大の特徴と言えば前述の通り頻繁に買収を繰り返すことで売上を急成長させてきた点。3日連続で買収プレスリリースを出したことも。
 決算毎に「来期は○○店(買収含め)新規出店します!」と宣言した上で、毎回その数字を上回ってくる点でも、「こいつは何か違うぞ」「経営陣は信頼できる」と謎の安心感を抱いてしまっていました。
 ニュースのたびに株価が持ち直すのもホルダーとしては嬉しい点でした。


 7/14 パウエル議長が議会証言でインフレに触れる

 振り返ればこの日が転換点でした。
 この日、大型株はやや戻し、パウエル議長の発言はハト派として市場からは好感されたと分析されていましたが、中小型株は大きく下落。
 特にWFH/太陽光/大麻などのテーマ株は下げが顕著で、GRWGは-11%💦

8/12 決算ミス。

 EPSのミスはこの手の中小企業にはよくあることなのですが、問題はEarning Call。サプライチェーン問題やコンテナコスト上昇の影響を受けて厳しい展開とのこと。
 実は前回5月の決算にて、在庫の問題などは事前に備えており問題ないとコメントが出ており、裏切られる形となった。
 株価は決算後1週間で$43⇒$29まで大暴落。

 このとき決算を見てすぐ売却できていれば傷は浅かったのですが、
 ・決算ミスで一時的に下がるだろうが、すぐ復調するだろう
 ・この経営陣なら次の決算までには何とかするだろう
 ・大麻業界の成長というストーリーは変わっていない
 ・GRWGの成長ストーリーも長期で見れば変わらない

 といったバイアスからHoldを決め込んでしまいました。

 結果含み益が全て溶けてしまい∓0の地点で半分売却。(ここにも甘さが…)
 数週間後には損切ラインの-15%も割ってしまい、私のGRWGへの投資は通算大幅なマイナスで終わってしまいました。。。
 (赤矢印が売り)

 長々と書いてしまいましたが、これが私の「Best Regret Buy」の顛末です。次項からは今回の失敗を踏まえ、何が悪かったのか、どうすればよかったのかを考えていきたいと思います。

2.○○○○への投資はなぜ失敗したのか

 今回のGRWGへの投資の失敗は典型的な「テーマ株投資の失敗」パターンにハマってしまっていたと感じています。
 これを読んでいる皆様にもこんな経験はないでしょうか?

 a.EV/クリエネ/3Dプリンタ/宇宙/仮想通貨/メタバースなど、ニュースを 
       きっかけにある種のテーマが話題に
なる
 b.インフルエンサー達がポジティブな記事を書き、銘柄を推奨しまくる
 c.買ってみると実際面白いように騰がる!
 d.押し目で追加購入していると、ある日高値を更新できなくなる
 e.指数は下がっていないのにテーマ株だけが急落し始める
  インフルエンサー達は誰も呟かなくなる
 f.含み損が拡大するも「このテーマの未来は明るいから…」「この企業は他と違って優秀だから…」と塩漬け

 先に断っておくと私はテーマ株投資自体を否定するつもりはありません。例えば…
 ・誰も注目していないテーマに株価が低いうちから長期投資
 ・話題のテーマでモメンタムがある銘柄にスイング投資(上記a~c)

 こうした投資手法は「アリ」だと思っています。前者の場合は資金効率やテーマ・銘柄選定、後者の場合は需給を読み切るスキルが必要ですが…

 一方で上の例にもあるように、こうした「テーマ株投資の失敗」パターンにハマってしまう方が(私含め)多いと思っています。
 ・皆が注目しているテーマに株価が上がってから長期投資
 ・話題性が下がりモメンタムを失ったテーマの銘柄をナンピン・塩漬け
  (上記d~f)

 今年の1~2月頃にはテーマ株投資信託の「eMAXIS Neoシリーズ」を積立投資する人が続出しましたが、まさにこれは失敗例の前者のパターン。
 今年2月に警鐘を鳴らす意味で下記のnoteを公開しています。(自分で書いておいてGRWGにハマってしまってるので面目立たない…)

一般に、こうしたテーマ型商品は話題になった後に計画・作成されることから、世に出た時点で既に割高となっている傾向があります。

3.なぜ投資家は「テーマ株投資の失敗」パターンに陥ってしまうのか

 前章の①~⑥の失敗パターンを読み解いてみると、失敗の要因は(これはテーマ株投資に限った話ではないですが)『投資家の心理的なバイアスが影響している』と考えられます。
 特に今回取り上げるのは3つ。
【自信過剰バイアス】
②【アンカリング効果】
③【確証バイアス/正常性バイアス】

 と呼ばれるものです。


①【自信過剰バイアス】

①【自信過剰バイアス】
 具体的な根拠がなくとも、一度の成功体験などから自分の能力や判断に自信を持ってしまうこと。

例えば今回の失敗パターンであれば以下が該当します。
 ・購入した銘柄が思惑通り上昇したため、この銘柄は真に優れていると思い込み、株価が下落してもナンピンして損失が拡大してしまった。
 ・長期投資の成功事例を挙げ、自分も今から投資しておけば10年後には…と皮算用してしまった。


 例えば代表的な優等生銘柄としてMSFT(マイクロソフト)を挙げると、株価の上昇要因は下記のようなイメージです。米国の金融緩和によるブーストもありつつも、あくまでMSFT自身の業績(EPS)の伸びや、インデックスファンドの買い付けが株価の下支えになっているため、短期の需給で多少上下しようとも長期で見れば株価は右肩上がりです。
(※あくまでイメージです。各項目の比率も特に計算していません。)

 ではこれがGRWG(グロウジェネレーション)の場合はどのようなイメージかというと、売上が急成長している一方でEPSはあまり伸びておらず、業績で評価されているというよりも金融緩和によるブーストやテーマ株としての短期資金が上昇要因の大半を占めており、それらの下支えがなくなったことで株価は大幅に下落しました。
(※あくまでイメージです。各項目の比率も特に計算していません。)

 株価が下がった後に上記の図を見ると、なるほどね、となるのですが、実際に購入したテーマ株が連日暴騰していく際は、「これは明るい将来が待っているに違いない!」という思い込みに支配されてしまっています。
 投資家の脳内では下記の図のようなバラ色の未来が拡がっているわけです。

 SNSなどでも、株価が上昇している内はその銘柄に関する呟きも多くお祭り騒ぎになる一方で、下落し始めると途端に誰も呟かなくなる…といったケースをよく目にします。

 要は「●●しか勝たん!w」とか言い出したら危ないってことですね。


②【アンカリング効果】

②【アンカリング効果】
 最初に知った特定の情報を強く意識してしまい、リスクを正しく判断できないこと。

 例えば今回の失敗パターンであれば以下が該当します。
 ・インフルエンサー達やネットメディアがテーマにとってポジティブな情報を一斉に配信したことで、「このテーマは10年は大丈夫」と謎の自信をつけてしまい、ネガティブ情報が耳に入らなくなってしまった。

 私も弱小ながらインフルエンサーと呼ばれる立場なのでわかりますが、別にインフルエンサー達も悪意があって情報を流しているわけではありませんし、むしろ発信することで自らアンカリング効果に嵌ってしまうケースも存在します。(有益な情報よりも、注目度を集めることが主目的になっている人もいますが…)

 そもそも一般的に、新技術や新しいテーマは一度話題になり実態以上に盛り上がった後、一度幻滅されると言われています。

  ガートナーのテクノロジー・ハイプサイクルをご存じでしょうか?
 これはテクノロジーの成熟度・採用度・社会への適用度を示したもので、
①黎明期
②流行期(過度な期待)
③幻滅期
④回復期
⑤安定期

と進んでいきます。
 2020,2019年版を見てみると。AIや5G関連のワードが並んでいます

 もちろんすべてのテーマがこの通りの曲線を描くわけではないのですが、SNSで話題となる際は「②流行期(過度な期待)」 にいることが多いです。

要は「安易なインフルエンサーイナゴは危険」そういう話をしています。


③【確証バイアス/正常性バイアス】

③【確証バイアス/正常性バイアス】
 自分にとって都合の悪い情報を無視し、自分の信念を補強するような情報ばかり探してしまうこと。

 例えば今回の失敗パターンであれば以下が該当します。
 ・テーマが話題性を失い下落し始めても、そのテーマに関するニュースを探しに行ったり、あるいは業績などに着目して「この子は頑張ってるから長期的に見れば大丈夫!」と塩漬けにしてしまう。
 ・直近数カ月の株価の急騰を見て、この先も同じペースで株価が上昇すると思い込んでしまった。

 SNSなどでもよく「この決算でなんで下がるんだ?」「良いニュースが出ているのに株価が上がらない…」といった声を聴きますが、要は『多くの投資家が見ているのはそこではない』ということです。
 100人の投資家のうち、貴方だけが「買いだ!」と思っても、99人が「売りだ!」と思えば当然株価は下がります。
 そして、SNSで見えることは世論のごくごく一部である、ということはよく知っておいた方がいいです。たまに「みんなこの銘柄の話してるから、個人投資家は皆買っているものだと思った」「みんなオニール流の話してるから、個人投資家はほとんどオニール流投資家だと思った」という声を耳にしますが、そもそも米国株投資家でSNSをやっている、という人種自体が超マイノリティであることは自覚しておいた方がいいです。

 要は「長期で見れば大丈夫」は大丈夫じゃない、ってことです。


4.テーマ株投資で失敗しないためには

 ここまでの話をまとめますと、
 ①「テーマ株投資の失敗」パターンに嵌る人が多い
 ・皆が注目しているテーマに株価が上がってから長期投資
 ・話題性が下がりモメンタムを失ったテーマの銘柄をナンピン・塩漬け
 ②投資家の心理的バイアスが影響している
 ・【自信過剰バイアス】:●●しか勝たん!w
 ・【アンカリング効果】:インフルエンサーイナゴ
 ・【確証バイアス/正常性バイアス】:長期で見れば大丈夫!

 では、③これらのバイアスの罠に嵌らないためにはどうすればよいか?
 対策として考えられることを列挙してみます。

1.基本スタンスとして「テーマ株投資」を自覚する

 これがまず第一歩。自分がやっているのはどういう投資手法なのか。一番かっこ悪いのはテーマのモメンタムに惚れて買ったのに、モメンタムを失ったにも関わらずファンダを言い訳にズルズル引っ張って損失を拡大してしまう、私のような失敗例です。売買の理由は買う前に決めてください。

2.騰がっていく株価を思考停止で眺めない

 購入したテーマ株が上昇して行ったら嬉しくなり、Twitterで皆と騒ぎたくなるのが人の性というものです。ですが「テーマ株投資」で買われているのであれば、その株価は元鞘となるのが世の常です。
 1. 株価の上昇・下落要因を深堀する
 2.機関投資家の資金流入・流出をチェックする
 3.短期的に急騰したら、利確する
 4.SNSでの過剰な楽観論に注意、ネガティブ情報も積極的に取り入れる
 5.インフルエンサーは買い時しか言わない。利確・損切は自分で考えよう

 こうしたテーマ株はバリュエーション評価を無視してどこまでも上昇していくことも多く、利確したらさらに上昇したり、少し下落して押し目と思ったらズルズル下がったりと捉えどころがありません。
 ここについても%で自分なりの目標利益を設定し、機械的に利確すべきだと考えます。

3.テーマは枯れる

 有名な投資家のミネルヴィ二氏の著書では、株価にも第1~第4ステージがあると言われていますが、多くのテーマ株も同じような道筋をたどると考えています。
 モメンタムを失ったテーマ株は安易にナンピンしないこと。
 それまで騒がれていたピカピカのグロース株が調整に巻き込まれ急落し、それまで押し目がなく買えなかった個人投資家がこぞって買いに行く…よくある話ですし、GAFAMのような優良株はそのたびに復活してきました。しかしファンダメンタルズ面の支えがないテーマ株は一度失速すると市場平均とは関係なくズルズルと沈み、10年は帰ってこないこともざらにあります。
 10年間含み損を抱えたままその銘柄と心中するだけの思い入れがありますか?そういう話をしています。

5.最後に

 ここまでお読みいただきありがとうございました!
 エンタメ企画にも関わらず思ったより長文になってしまいましたが、一度は皆様に伝えておきたい話ができたかなと思います。素晴らしい企画を用意してくださった信太郎さんには改めて感謝を🙇💦


次回の第五回「Best Regret Buy」は、はっさくさんにバトンタッチします!

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