(31)ガチャポン屋さんがチャーター便を使った話
今は諸事情で、できなくなったが、数年前まで全国から、不要になったガチャポンを引き取るサービスをやっていた。あまり依頼は多くは無かったが、ポツポツあった。
なんで、そんな事をしていたのか?それには、キッカケがあったからだ。
●きっかけ
ある時、東京のゲーム機械を扱う業者から、福岡県にも、その会社の倉庫があり、そこにガチャポン本体があるんだけど買い取ってくれないか?と持ちかけられた。
実機を見に行くと驚いた事に、まだキレイな上に、タカラトミーでは最新の型だった。今でもまだタカラトミーでは最新クラスの機種で500円まで価格設定ができて、空になったら自動的に販売を止める機能が付いているのだ。それを破格の言い値で言ってみた所、倉庫の邪魔になってて不要だからと、あっさりOKしてくれた。5台を引き取った。
これ、売ったら普通に儲かるぞ・・・と思ったが、当時、レンタル事業でレンタルしていたガチャポンの機種がスリムボーイやECCHO500と古い機械だったので、それを置き換える事にした。
●これはビジネスになるかも?
普通、要らなくなったものはリサイクルショップに売るか捨てるものだ。
しかし、ガチャポンと言う特殊な物のため、リサイクルショップでは、あまり高値では売れない。いくら構造は簡単でも不具合を解決する術を知らないので高くは買えないのだ。
一応、ガチャポンを専門に買い取ってくれる業者は当時からある。しかし、それは比較的新型でなければ、価値が出ない。
古いガチャポンの本体を持ってるが、もう要らない人にとっては、買取金額云々よりも、邪魔だから早く処分したい。
うちは、そこに目をつけた。
買い取らずに引き取って、メンテすれば、珍しがって欲しい人いるんじゃないか?それにうちでも使える機種が入って来れば、ガチャポンの機械を購入する費用を抑えられるかも!
こうして始めたのは、
ガチャポンを着払いで送って下されば、送料負担して無料で引き取ります!と言うサービス内容だった。
●いきなり困難にぶち当たる
世の中、そんなに甘くない。最初、依頼は来なかった。しかし、サービス開始から半年して依頼が来た!
なんと、中越地方でガチャポンの設置をしている同業者だった・・・
廃業するとの事で機械を全部引き取って欲しいと言う依頼だった。台数は何台あるか分からないが、かなりあると言う話だった。そんなもの一台一台着払いで送りつけられても、台数も分からないのだから、ヤバい事になるな・・・と。
そこで、当時うちのレンタルは佐川急便に発送依頼していたので、佐川急便の営業ドライバーに相談した。
それなら、チャーター便を使ったら、どうですか?
と言われた。
チャーター便とは、知ってる人もいるかもしれないが、トラックを貸し切るのだ。
貸し切る方法も、混載と一括がある。またチャーター便は路線によって、どの方法があるか異なる。例えば、福岡県〜東京だと頻繁にトラックは走っているが、今回のような福岡〜中越だと需要が少ないため、そんなに走っていない。一括は、トラックを丸々貸切り、混載は途中で同じ行先の荷物を拾いながら目的地へ走る。混載の方が安い。
またうちは個人事業だが、個人か法人かは関係ない様で取引してくれた。多分、取引口座があったからだと思う。
まず、ドライバーにお願いして、概算見積をしてもらう。概算見積は数日して電話で教えてくれる。また便が少ないエリアは、いつチャーター便が走るか候補日も教えてくれるので、お客さんと打ち合わせして、引き取る日を決めた。トラックに積んではくれないようで客が積むスタイルになる。
引き取りが完了したとの連絡が佐川急便から入った。貨物カート6ケース分あったとの事だった。
上の画像と同じカートが6ケースだ。さらに届く先が、うちの事務所だ。事務所なんて、小さなアパートの一室だ。そんな想定外の量が来られても、困るぞ・・・それに、チャーターのトラックは時間指定不可なので、ずっと事務所にいなければ、ならない。うちは倉庫があるが、そこも無人だ。そんな所にいつ来るか分からない物を待つのも厳しい。当初以外の場所へ輸送するには、別途費用がかかる。そこで営業ドライバーさんに営業店止めをお願いした。
ここから、かなり大変だったのを覚えている。佐川急便の営業所から事務所は、そんなに遠くないが、事務所でなく倉庫へ運ぶ必要がある。倉庫は営業所から遠い場所にあったので、佐川急便の営業所〜倉庫までを運ばなければならない。
また当時、うちが使ってた車両がステーションワゴン(イメージは下の画像のような形)だったので、そんな大きな物は乗らない。
この遠い距離を貨物カート6ケース分ピストン輸送するしかなかった。佐川急便の営業所の端っこにズラっと並ぶ、うちだけの荷物・・・今もあの悪夢の出来事は覚えている・・・
途中から、こりゃ夜中までかけても終わらないと思った。当時、実家には親が仕事に使ってた軽トラックがあったので、それを急遽借用して何とか夜中には終わった。
●届いたものは
駄菓子屋の前などにあった、下の画像のような古い旧型のガチャポンが、ほとんどだった。
スリムボーイが数台あったので、それはそのままうちで使う事にした。古い旧型のガチャポンは掃除とメンテしてから中古販売した。すぐに売れた。チャーター便は少し値引きしてもらっても約10万円程かかった。佐川急便から請求書が届き、当時まだそこまで軌道に載ってないガチャガチャの事業から10万も捻出するのが辛かったが、売却の売上もそのくらいにはなったので、まあヨシとした。
次は一台だけの引き取り依頼が来た。ところが引き取ったものはカナダのメーカーのビーバー55と言う1000円札で動く機械だった。
しかも旧札仕様のため使えない事や鍵がない事、鍵を開けようにも壊すしかなく、外国製のため壊した後に代替に使えるもの、または同じサイズの鍵のシリンダーが無い。とても売れる物ではないため、そのまま分解してゴミとなった。
●悪夢再び
また引き取りの依頼が来た。東京だった。
お店を閉める事になり店内にあるガチャポンを引き取って欲しい
と言われる。台数がある事と、ほとんどがスリムボーイだった。
また店を引き払う日が決まっており、急いで佐川急便へ見積を依頼した。佐川急便に見積を取ると、中越の時より圧倒的に高い。東京だから頻繁に便があるはずなのに。営業ドライバーに混載にしたらどうかと言われ、混載で取り直す。
それでも中越のときより、僅かに高め。
そして今回は貨物カート3つ分だったが、余裕ある積まれ方しており、ピストン輸送はそんなに大変ではなかった。佐川の営業ドライバーから搬出が大変だったらしいと不満を伝えられた。店舗が二階だったのと道幅が狭く運び出しに、かなり手間取ったそうな。
届いたスリムボーイは使える物は、自分の所で流用。一部、部品が足りない物などがあり、それは部品取りに回す事にした。
請求書が届くと、概算見積より、上がっていた。理由はお店の場所だった。チャーター便用のトラックが入れないため佐川急便の4トン車で一旦引き取りをしないといけなかったのだ。その分が加算されていた。
チャーター代金の約十数万円を支払い
『うーーん・・・手間かかる割に、これは商売にならんな』
廃棄物も多く、余計なコストもかかる。
サービスを止めた。
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