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【詩】ひかりにおしながされる
陽に焼けた両腕で膝を抱えて
街角に座っているにいさんと
淡く黄色がかった陽の光に
押し流されて歩く人達。
ぽっかり浮かんでいる空欄として
にいさんの目は妙に黒々と
街にとどまっている。
来て去る人達とにいさんの目に
触れるか触れないかの
一過性の関係が生起する。
にいさんの目は来る人も去る人も
捉えず
刻々と変容する彼の視界を眺める。
それはただ光の瞬きに等しくて。
にいさんのまえを通り過ぎるとき
わたしのなかにあらかじめ在る
時間と全てのものとの関係は
光の粒子に砕け散る。
茫洋とした朝の大気へ
きらきらしく散った粒子は再び
一瞬で凝結して駅前の光景を象る。
にいさんのまえを通り過ぎる
人達と一緒に
わたしは駅へ向かう。
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