![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102683604/rectangle_large_type_2_30388109d92b0b0065b40e0a822b1097.png?width=1200)
【詩】遠 雷
遠雷が夜明けを呼んでいた
予感めいたものは
まだ彼方にあって
私の頬を冷たく撫でるだけ
雨上がりのアスファルトが
青く昇っていく陽の光に
ほのあかるく濡れていた
湿った砂埃を踏む
誰かの足音の
なまめいた響きは
機材を積むトラックの轍に
ひしゃげてしまった
そのとき鳥が
鋭く鳴いた
プレーンな食パン一枚で
朝食はすませて
残り時間は惰眠を貪る
おもに糖分の足りていない
私のあたま
疲れたままの私のからだ
ひとつ
コンビニへ投げこんで
菓子パンをひとつ買った
もっと足りないのは
能
空っぽのはずのあたまが
重い
作業着に着替えて
ロッカールームの
床へ座りこんだら
乾いた埃のうえで
甘ったるいパン
ひとつ
体に染みこませている
私は
きこえるはずもない鳥の
鳴き声をきく
夜明けを引き裂く
私は
遠雷をきく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?