【旅ごはん・散歩ごはん】 築地パラディーゾ(東京・築地場外)

築地にあった卸売市場が2018年に豊洲に移り、今年2024年の初めには観光客向けの飲食と温泉施設「豊洲 千客万来」がオープンした。個人的にはこういった「わざとらしい」施設には余り興味を惹かれないのでまだ足を向けてはいないのであるが、そのうち開業バブルが収まった頃にでも実力を見に行っても良いかとは思っている。一方で市場が移転し再開発に向け更地になっている築地市場に隣接する飲食店が立ち並ぶ一角、所謂場外であるが、こちらにはまだ多くの飲食店が残っており、それを目当てにした観光客でごった返し、雑多な雰囲気に満ちている。

思うに、「豊洲 千客万来」のような観光客向け施設は市場の生業とは関係なく、小ぎれいである一方でどこにでもあるようなミニ・テーマパークのような匂いがするのだ。それはそれで快適に愉しめるという人も多いだろうが、雑多な中でストリートフードを味わうような愉しさは築地場外に置き忘れられた、そんな感じがする。元々市場という場所に隣接しているからこその賑わいであり、雑多さであったので、現在の観光客向けの生業は少し寂しい気持ちになるのは仕方ないのかもしれない。

さて、地下鉄の築地駅から続く観光客の雑踏を縫い分けて、場外の外れのほうまで進むと目指す「トラットリア 築地パラディーゾ」がある。ここまで来ると観光客の喧騒はもうなく、漁港の昼下がりみたいな空気感が漂う。その中で飾り気のない雑多な雰囲気は南イタリアの食堂を思い出させる。予約しないと入れない事も多いという事だったので、開店の11時半に合わせてお店に向かい、無事に席を確保。

南イタリアの食堂(トラットリア)的な雰囲気が良い

食べたいものは最初から決まっていて、築地という事もあり、ここの名物メニューでもある「新鮮な貝類とチェリートマトのペスカトーレ風リングイネ」とレモネードを注文。気分は南イタリアの港町だ。

まずはセットのサラダとパンがテーブルに置かれる。サラダのシャキシャキ感も良い感じで、メインへの期待が高まる。そして待つことしばし、運ばれてきたリングイネは具沢山でまさに海の恵みを満載したパスタの風格。

ペスカトーレ風リングイネ 至福のひとときが始める

待ちかねたぞとばかりにフォークに麺を絡めて口に運ぶと、口の中に貝のエキスを吸った麺の旨味が広がる。貝も数種類入っているので、殻から外してそれぞれの味の違いを愉しむ。シンプルに素材の味を愉しむ、そんな南イタリア気分のランチだった。築地でイタリアン、良いじゃないの。

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