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シングルマザーの恋愛事情⑤

初回は子供と愛犬を交えてのお出かけ。

約束の2人だけで会う日になった。
何を着ていこうか…
身だしなみは大丈夫か…

いわゆるデートなのだからと、
いつにもなくドキドキであった。

車で迎えに来てくれると言うので、
待ち合わせ場所に指定したコンビニで飲み物を調達。

そわそわしているうちに、
彼の車が駐車場に停まった。

密室。
会うのは2回目…
警戒心は持ちつつ助手席に失礼した。

外車…
生まれて初めて乗ったー。

お互いに前回初めて会った時の印象や出来事について会話した。
今の方が緊張していて…
それどころではないんですけど。。
…とは言わず、
なんとか笑いを混ぜて誤魔化しながらランチのお店に向かった。

彼が予約してくれていたのは、
民家の中にあるイタリアンのお店。

外観も可愛らしく、
なんとも趣のある感じ。

緊張が優っていて、
何を食べたかは全く覚えていないが、
コースで出てきたことだけは覚えている。

食事の間に私が彼について入手した情報
・生のトマトは嫌い
・セロリは苦手
・本業とは別に副業をいくつかしている
・外資のIT企業勤め
・離婚歴がある
・離婚後の交際歴もある
・洋服のアイロン掛けは苦手

…こんな感じだ。
割と沈黙はなく会話は弾んでいたように思う。

ランチを終え、
私たちは近くにある動物園へ行くことになった。

子供と一緒じゃない動物園。
小学校の遠足以来だった。

彼は動物が好きらしい。
色んな動物を見ている間も、
かわいいなー!変わってるー!と言った言葉が発せられていた。

その頃には会話も弾んでいた事もあり、
彼の方から手を繋いできたのだ。

驚いた。
マッチングアプリは展開が早いのだな。
しかし、不快ではなかった。
私の歩くペースがゆっくりなのもあり、
ペーシングしてくれている節もあったからだ。

園内を一周して車に戻った時、
「ちょっと助手席座って待ってて!」
と言われた。

まぁ…座った。
するとトランクから何かをモソモソと取り出した彼。
膝の上にピンクを基調とした花束が置かれたのだ。

「やりとりも含めると、お互い知り合ってひと月もたってないけど、この間子供達とも会って自分の中で確信したんだよね。付き合って下さい。」

予想もしていない展開に、
反応ができなかった。

何か言わなくては…
私は傷心を癒したくてマッチングアプリに手を出した。
そして性格に合わないからとすぐに辞めた。

この人は真剣に交際相手を探しているんだ。
何か言わなくては…

「正直、なんて言ったら良いのかわかりません。
でも、そう言ってもらえて嬉しいです。
ただ、交際するかと言う点については、
私も以前のパートナーと別れて間が空いていないから…。
なんと言ったら良いのか…。」

そうモゾモゾと答える私に、
彼がすぐに反応したのだ。

「え?だめかな?」

ここまでしてもらってダメとか言えない。
嫌いでない。良い人だと思う。
でもこの人の一部分しか私はまだ知らない。

でも運転席からの熱い視線がグサグサと私に刺さり、
私は居た堪れなくなってしまった。

「お、お願いします」

その返事をした後の、
彼の笑顔や歓喜の声は今でも忘れられない。

もともとはもっとゆっくり進めていくつもりだった私。
きっとLINEの交換から、
彼の戦略にまんまとハマっていたのだ。

こうして私たちは付き合う事になった。

交際約2年の今、
彼はやはり策士であったし、結構な利己的人間。
でも、ここぞと言う時は寄り添ってくれる。
子供の成長も一緒に見てくれている。

再婚はまだまだ頭にはないが、
彼の自身を成長させたいと言う向上心・勤勉さには、
心底尊敬している。
感化されて、私も挑戦することが増えた。

もっと優しい言葉をかけて欲しいと思う事もある。
マッチングアプリで出会った時の彼はどこへ行ったのか?

世間ではこの状態を、
(釣った魚に餌をやらない)と言うのですよー笑

でも、根本の彼の考えは変わらない。
気を許してくれているから、
気を張ることがなくなったということも、
信頼してくれているから細かな説明事は省いて行動しているのだと言うことも、
この約2年でわかってきた彼の性格なのだ。

これからも、
私はもっと私らしく。
彼も彼らしく。
これから充実した毎日を過ごして行けたら良いなと…
素直にそう思っている。

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