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シングルマザーの恋愛事情③

子供達には、
「今から海に行きます!
 ママのお友達もいるので、
 もし退屈になったらSwitchやってもいいからね!」
…と伝えた。

大喜びの子供達。
少しずつ待ち合わせ時間が近づくにつれ、
場所が近づくにつれ少しずつ緊張する私。

文面と大きく違っていたら?
偽っていたら?
今までのやり取りが演じていた事だとしたら?

車の運転をしながら悶々と考え出す。
…でも会ってみなければわからない。

流石に子供2人もいて、
彼の愛犬もいて、
よからぬ事を考える人はいないだろう。
…何度も己に言い聞かせながら待ち合わせ場所に到着。

車の特徴はさっきLINEで聞いている。

お、先にいらっしゃる。

このままドアを開けていいものか、
走り去ってしまおうか、
悩んだが待ち合わせ場所のカフェがあまりにも自分好みで…
欲に負け早々に車から降車した。

彼も気付いたようで、
右手には可愛いダックスの愛犬を連れて。
笑顔でこちらに手を振っている。

これはもう…逃げられない。
私は子供達の手を引いて彼の元へ歩み寄った。

「こんにちは!」

事前のLINE連絡で、
設定は簡単に決めておいた。
彼が提案してくれた。

・友達
・初めましては言わない
・お互いの呼び名

子供達も私の血を受け継いでいるからか、
先ほどまで家にいた時のはちゃめちゃな元気さはなく、
とてもおとなしかった。

私はその時点でほっとした。
あー…マッチングアプリの写真とまんま同じ。
ほんの少し安堵した。

10歳離れているが、
年齢より若く見える彼。
ファーストインプレッションの時点では、
人柄で好感を持たれるタイプだろうと察知した。

カフェに入り、注文。

恐らく私への気遣いだろう。
レジでのオーダー式だったそのカフェで、
彼は早々に子供達を誘いケーキを一緒に選びに行ったのだ。

会って5分。
何という親しみやすさなのだろう。

テーブルには私と彼の愛犬が残された。
愛犬も人見知り・怖がりで、
あって早々から吠え続けられていたが5分で少し落ち着いた様子。
でもまだ触らせてはもらえないと言った印象。

何を話そう。
この後会話するのだから、
少しぐらい頭に話題のテーマを思い浮かべておかなければ…

悩んでいるうちに彼と子供達はテーブルに戻ってきた。
あれ?人見知りモード弱になってません??
我が子に驚く私。

そこから会話がスタートするのだが、
彼は私だけでなく子供達にも話題を振ってくれた。

・動物好き?
・好きな食べ物は?
・最近よくやってる遊びは?
・Switchのゲームは何をしてるの?

私はその光景に泣きそうになっていた。
この人は私だけでなく、
私を取り巻く環境にまで配慮してくれるんだな…と。

子供達がケーキやSwitchに熱中し出したタイミングで、
私との会話が始まった。

「ここのカフェ、いいでしょ?」

はい、とっても。
そこからはLINEで話していた私の近況について話を聞いてくれた。

どんな話をしたか今となっては定かではないが、
落ち着く空気だったことは覚えている。

1時間半ほど話をし、
その後は近くの海岸へお散歩がてら向かう事にした。

彼は彼の車で。
私たち親子は私の車で。

これが良かったのだろう。
自分のテリトリーがあった事で緊張感が少しずつ和らいでいった。

海岸に到着した途端、
恐れていたことは早々に起こった…。

子供達が海に入水していったのだ。
母としては不覚だった。
あまりの唐突な予定に着替えを持ち合わせていなかったのだ。
うっかりしていた。

しまった…
私は濡れたくない。
そう思っていた矢先に、
当日白パンを履いていた彼は躊躇なく裾をまくり入水していったのだ。

驚いたのと同時に、
さらに嬉しくなった。

子供達には体を使って遊んでくれる存在が身近におらず、
本当に楽しそうであった。
その姿にまた泣きそうになった。

この人は最初から「そのまんま」何だろうな…
そう感じた瞬間だった。

私もボトムスの裾を軽くまくり足をチャプチャプ程度で参加したが、
時間帯が丁度日の沈む頃で…
私はしばしボーっと夕陽を眺める時間をもらっていた。

その間も3人と1匹は楽しそうに遊んでいたようだ。

初対面にも関わらず、
大変やんちゃな子供2人を押し付けて…
私はその時息抜きをさせてもらっていた。

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