査定。

除夜の鐘が聞こえ始める。
ワタシは、おフロに入る準備をする。
「ありがとう、ワタシの足。」
「ありがとう、ワタシの腕。」
自分の体をなでながら、ワタシは部品を外していく。

一年。長かったのか、短かったのか。
最後の日に、ワタシは彼らを査定する。

ロボットと超人類しか存在しなくなった世界では、
人類は、少しずつロボットになっていく。
ワタシの四肢はすでにロボット化されている。
それらが、この一年、どのくらいの勤めを果たしたかを
除夜の鐘を聞きながら、報告する義務がワタシにはある。

そして、いつか、この脳も査定される日が来るのだと思いながら、
煩悩の108つの鐘を聞くのだ。

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